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「NPO法人 月と風と」の事務所は阪急園田駅から徒歩8分。
駅の北側から閑静な住宅街を抜け、人の背丈ほどの太陽の塔ならぬ
“月の塔”のオブジェが現れたら、そこが入口だ。
ガラス張りの事務所内には、ドラムセットや特大の油絵が置かれ、
「ルミナリエ」「八票」など、およそ統一性のない習字作品が四方の壁に張られている。
片隅には1段高く組まれた畳敷きの座敷スペースまで。
ちゃぶ台と本棚がまるでコントのセットのようでもあり、
どこかほのぼのとした空気が漂う、一見すると“趣味の部屋”だ。
ここは一体何の事務所…と思えば、
実はヘルパー派遣事業を柱にしたNPO法人というから二度ビックリ!
地域に開かれた事務所とアートと訪問介護!?
この驚異の三題噺のようなスタイル、
その奥には利用者のニーズに答えようとする真摯な思いが!
目標は、園田をNPO天国ロンドンに!?
今年で活動から7年目に突入。これまで機関紙の発行など、小規模ながらさまざまなプロジェクトを始動させてきた。
その1つが年に2~3回開催する「おふろプロジェクト」だ。
劇場型銭湯と銘打ち、夏なら夏祭り、秋は文化祭など、
簡単なアートのワークショップを楽しんだ後、打ち上げのような感じで一般の銭湯を訪れる。
「わ!変な人、来た。こうやって入浴するんか、とか。何でもいいんですけど。
こっちから出向いて行って、不特定多数の人に障害者の日常を見てもらう。
一番大事なのは介助する人間が楽しそうにすること。こっちがワイワイ盛り上がってたら、
そんな悲壮感漂わせずにみんなやってんねんな。
だったら楽しそうやし、私も手伝ってみよう!となるかもしれない。
もちろん、実際の生活は大変なことも多いですよ(笑)。
でもここで表現するものとしては楽しそう、面白そうをどんどんアピールしていきたい」
手伝う人が増えると理解者が増える。理解者が増えると知り合いが増える。
知り合いが増えると、その町に住みたくなる。
清田さんが最終的に目指すのは、優しい町づくりだ。
それを実現するためにも、NPO法人であることが重要だという。
「スキルもお金もないけど、気持ちがある人が少人数集まって
社会を変える1つになれる手段がNPOだと思っているので。
イギリスではロンドン市内だけで約2万5千のNPO団体がある。日本は全国で約4万8千。
例えば福祉なら『月と風と』、ごみ問題ならあそこの団体とか。
町に小さな団体がいくつもあって自分で興味のあるところを選べる。
誰もが社会をちょっとよくする活動に、
気軽に参加できる地域づくりができればすごく良いなと。
社会福祉法人だと法人税を払わなくて良いとかメリットもあるけど、
資産がいくら、敷地面積がどのくらい必要だとか、始めるまでのハードルが高い。
NPOは活動資金ゼロでも始められるので。気楽にできそうだとか、
『月と風と』がひとつの見本になれればいいかな」
さらなる“見本”として、「月と風と」の事務所を
「ちょこっとカルチャー教室」と名付けて、定期的に地域に開放している。
韓国語、習字、フラワーアレンジ、ヨガ、 そして、
「詩のボクシング第5回兵庫県チャンピオン」の肩書きを持つ清田さんが
講師を務める詩の教室も好評だ。
「事務所を『福祉法人○○』とかにすると、一般の人は入りにくいと思うので。
あえて、こんな教室やってますだけのアピールを続けた方がいいのかなと。
最初は知的と精神と身体と障害をもった人みんなが楽しめるイベントを目指してましたが、
無理だと分かり、だったら小さい教室をいくつか作って選んでもらおうと。
NPOも教室も“小さく沢山選べる”が理想です。
新たにスタッフになる人にも特技を生かして講師になってもらっても、
楽しいんじゃないかな(笑)」
ゼロを1にするために、まずはやってみる。
直行直帰の訪問介護という仕事の性質上、業界では2、3ヵ月に1度程度だという全員参加のスタッフ会議を、
月と風とでは週に1度のペースで行っている。
さらに緊急の場合は、毎日のメーリングリストで報告しあい、互いに質問や回答を投げ掛けあう。
スタッフ間の緊密なコミュニケーションがとても重んじられているのがわかる。
「自分も独立前に、社会福祉法人やNPOの団体で働いてきた中で、
いろんな意見を出してきましたけど、ことごとく潰されてきた。
確かに突拍子もない内容だったかもしれないけど、
どうしたら実現できるか考えてくれる人が 1人もいない状況は、
すごく間違ったことなんじゃないかと思った。
なので、自分たちの会議では賛成反対に関わらず、
みんなが意見を出し合える雰囲気をめざしている。
NPOはゼロを1にする仕事。
1を100にするのが金持ち、100を万とかそれ以上にするのが政治の仕事だとして、
1がないと何事も始まらない。ぼくらの活動において会議は肝かなと思います」
「ヘルパーのイメージが大きく変わりました!」
異業種から転職して2年目の嶋津優紀さん。再就職を検討していた頃、自立生活している障害者のヘルパー派遣センターで働く人と知り合い、業界に興味を持った。
「それまでヘルパーといえば介護保険を利用した老人施設だけだと思っていたので。
その人から、利用者さんと一緒に居酒屋へいったとか、水族館へいったとか聞くたびに、
ワイワイ自由で楽しそうだな。こんな働き方もあるのかと、イメージが変わりました」
高校時代にヘルパー2級の資格を取得していたこともあり、
その後インターンで現場を経験し、縁あって「月と風と」のスタッフに。
初めて、重症心身障害者の利用者を介護するときは緊張したという。
「実際に気管切開(のどに穴をあける)した方や、
胃から直接食事をする方を見たことがなかったので、最初はすごくびっくりしました」
「不器用なので」と、研修には時間を要したが、その分自分なりのやり方を見つけては
利用者の簡単なプロフィールを作ったり、ケア方法の説明書を作ったり。
「障害といっても知的から重度の方まで幅広いので。
説明書は、失敗を繰り返さないようにしていく中で、出来上がっていった感じです。
先輩は、実際に現場を見て無理そうなら何回も付き添ってくれる。
代表の清田もケアがすごくきれいで、頼りになります」
アロマやお菓子づくりの趣味も生かせます!
再就職を機に園田で1人暮らしを始め、現場へは自転車で向かう。近所なら10分、遠い人で片道45分。
利用者は男女混合で2歳~60代まで。
中学生以上の男性は、身体介護に体力が必要なため主に男性スタッフが行う。
仕事は早朝7時~22時30分くらいの時間帯で依頼があった中から、
女性スタッフは1日に1件~3件。男性はもう少し多めに担当する。
空き時間は自由に過ごせるため、
事務所のカルチャー教室を手伝ったり、自宅でくつろいだり。
嶋津さんは最近、アロマテラピーの講座に通っているという。
「重度で寝たきりの利用者さんから、
エステティシャンに自宅でアロマのパックをしてもらってると聞いて。
それまで興味はなかったんですけど、知識があるのとないのとでは、また見方が変わるかなと。
習ってみるとアロマのバスソルトって意外に簡単に作れるんです。
入浴介助も多いので、そのとき香りだけでも一緒に味わえたらいいかな」
また、得意のお菓子作りでは、利用者の両親を対象としたランチ会で腕前を披露した。
「障害をもってる子供の親御さんは引きこもりがちで、
自分だけでいろんなものを抱えてしゃべる場がなかったりするので。
みんなで料理を囲みながら交流できたらと。
私は昨日のランチ会でチーズケーキを作りました。小規模ですが続けていきたいですね」
文化祭実行委員から、福祉の世界へ!
新家勇輝さんは、入社半年のピカピカの新人さん。この業界に入るきっかけが面白い。
当時園田の大学に通っていた新家さんは、
大学が潰れるのを理由に文化祭が出来ない!と言う不測の事態に見舞われる。
一念発起で文化祭の実行委員長になり、町の工務店にステージの設置をお願いするなど、
なんとか文化祭を成功させた。
これを機に、地域との交流が始まり、
ある日のお祭りで、障害者の事業所が出店している店があることを知った。
「卒業当時は福祉に全く興味がなかったので、
事業所の存在も知らず、 障害者の人も働くんだ!と、カルチャーショックでした」
興味の赴くまま、就職先を福祉の世界へ軌道修正。大学卒業までに資格を取得した。
主に知的障害者をケアする施設での3年間の勤務経験を経て、月と風とに就職。
新家さんにとって、この業界で働くことの魅力とは?
「普通によそさんの家に行って話して、笑ってもらったり。
休日にふと、あの人何してるんだろうと考えたり。
たぶん、普通に社会人やってたら、こんな感覚はないだろうなと。
単純に身体が大きくなったとかでもいいんですけど。
介護する方の成長を見られる楽しさというか、何でしょうね。
友達とも親とも違う、遠い親戚みたいな視点なんですかね(笑)」
今は、学生時代にハードコアバンドのドラムとして鳴らした腕前を
何かに生かせないかと計画中だ。
「ぼんやりと考えてることですけど、自分の趣味も絡ませつつ、
障害者の人を交えた音楽系の祭りができれば面白いかなと。
みんなにどのタイミングで提案しようかと、考えてます」
障害者のマイナスをプラスに変換!
代表の清田さんは大学卒業後、社会人を経験したが体調不良のため2年で退職。その後、大学で社会福祉学科を学んだこともあって、福祉の道を志す。
資格を取るため専門学校へ入学し、研修先で障害者と触れ合ったことが、
今の活動を支える礎になった。
「ある日、障害者の人とお風呂に入る研修があって。
当時、ぼくは27歳で後がなかったこともあり、
『試験に受からなかったら、ヤバイんですよ~』という話を湯船に浸かりながらしてたんです。
相手の方は脳性麻痺で、話すときにのどや腕にも脳から指令がいって、
すごく力んだ話し方になるんですけど、
ぼくの話を聞いて、『ぐぁ~』って30秒ぐらいかけて
『が、ん、ば、っ、て』と。
一言の重みが違う、すごく認めてもらった感じがあって。
これが、障害を持ってる人の魅力かもしれない。彼らと関わりたいと思ったきっかけです」
また、「月と風と」を立ち上げるまで、地元劇団に所属していた清田さん。
俳優活動を通して、自己を解放する喜びとマイナスをプラスに換える、
アートの底力に感銘を受けたという。
「入団テストのときに演出家からコンプレックスについて質問されて、
悩みがちな性格と答えると、それなら悩みがちな役なら
上手く演じられるねと言われハッとした。
ああ、そんなに頑張らなくてもいいんだなと。
自分がコンプレックスと思っていることも、
突き詰めて舞台で表現すれば お金がもらえる武器になるんだ!と気付けた。
そこから気持ちが楽になったし、頑張ろうと思えたんです」
へルパー活動=アートマーケティング!?
その後、障害者が出演する舞台を見て、確信は深まった。「登場人物が街中で奇跡を探す話で、
最後に障害者の人がピンスポットを浴びて車椅子から立ち上がるんですね。
そこで奇跡が起きた!となる。周囲の観客は泣いてたりするんですけど、
ぼくは立ってるだけの人やんと思った。同時に、障害を武器にして“奇跡”を見せてる。
すげえな!と。たぶん、この人は障害があることで、嫌なこともあったかもしれないけど、
いま舞台でみんなを感動させられている。
周りに変だと言われたことをアートとして表現することで、
逆に自分はこれでよかったんだと肯定できるのかもしれない。
専門学校卒業後、いろいろな介護の現場で働くなかで、
もし自分が独立するなら、そんな支援がしたいなと思ったんです」
基本の介護はもちろん、大事にしたいのは、
障害者の「表現したい気持ち」をぐっと引き出すこと。
「障害者の人たちは、周りと違うと言われ続けるなかで、
自分から何かを発信しようというモチベーションになりにくい。
最終的に生きているだけで素晴らしいとか言われて、なんだそれはと。
ここでは、利用者さんが自分自身を肯定できるような活動を支援したいなと。
ヘルパー活動はマーケティングでもあるので、
バイトがしたい、狙ってる子とデートがしたい……って
利用者の声をまずは否定せずに、どう実践できるか考える。
内容によってはうーんと悩んだり、タブーと言われることもあるけど。
そのことを一緒に面白がれるスタッフが、理想ですね」
もちろん、基本の介護も怠らない。
「NPO法人月と風と」では特に「重症心身障害者」の利用者が多い。
重症心身障害者とは、両手両足の麻痺や言語でのコミュニケーションが難しいだけでなく、
気管や肺などの呼吸器系、食道や胃などの消化器系が機能しにくいため、
お腹に開けた穴からチューブで直接栄養剤の注入を行うなど
「医療的なケア」が必要な人たちのことを言う。
負担が多いからと対応を断る施設も多く、
必然的にこちらへの以来が集中する背景もある。
初心者にはハードルが高そうにも思えるが、
清田さんはあえて、応募者に資格の有無は問わないという。
それは、これまでの経験からヘルパーにもっとも必要なのは「心」だと知っているから。
「介護の仕事は人付き合いの中で慣れていくもの。
目の前の人を大事にするにはどうすればいいか、
考えながらやれば今すぐ資格がなくても働ける。
言葉でのイエス、ノーが無理な利用者さんでも、嬉しそう、嫌そうぐらいなら判断がつく。
それなら「嬉しそう」の部分をもっと伸ばしたい。
作業に慣れるまでは、ぼくら先輩スタッフも同行しますし、
資格は最終的にとってもらえればという感じですね」
実際、中途採用の20代正社員スタッフも重症心身障害者の介護は、
こちらで働くまで経験がなかったというから、
経験や資格不足を理由に断わられることはなさそうだ。
来たれ!この活動を面白がれる人。そしてさらなる改善を!
利用者は尼崎を中心に西宮、伊丹など約30名。ヘルパーの仕事は直行直帰で行う。
現在、正社員スタッフは清田さん含め男性2名、女性3名。うち女性1人は事務員。
その他、登録ヘルパー7名で運営する。
最後に、改めてスタッフから未来の同僚へメッセージを。
嶋津:
「困ったことはみんなで考えてくれる。しんどい時はしんどいと言える機会を作ってくれる。
悩みを話せる、スタッフ間の仲の良さが魅力です。
活動に関しては、改善の余地がまだまだあると思うので。
福祉に限らず社会経験のある人には、ここはこうした方がもっと良くなるよとか、
アイデアを提案して欲しい。 あとは、私としゃべってくれる、優しい人がいいですね(笑)」
新家:
「人が増えたら、もっとできることもあるだろうなとも思うので。
そこで一緒に盛り上がれる人に来てもらえたら。
暑苦しいぐらいやる気のある人、待ってます!」
清田:
「知ってます? 月って太陽ほど自己主張は強くないけど、表面温度はすごく高いんです。
太陽ほど押し付けがましくはないけど、じつは熱い思いをたぎらせている。
そんな優しい支援ができれば。
資格や福祉経験は全く問いませんが、僕らの活動を面白がれる人。
そこは、絶対ですね」
経験はないが、福祉業界に興味のある方、
同じ業界で挫折した、または今の環境に疑問があるという方。
はたまた趣味を仕事に生かしたいという方まで。
「面白そう」と思ったら、迷わず問合せを!
どこも同じでしょ!なんて二の足を踏んでいた時間が惜しまれるほど、
素敵な人&職場との出会いが待っているはず!
取材:石橋法子 撮影:佐伯慎亮 コーディネーター:辻かおり
Job description
募集職種
- 企業名・団体名
- 特定非営利活動法人 月と風と
- 募集期間
- 2014年8月8日(火)~2014年8月31日(日)
それ以降の募集につきましては随時こちらのサイトにてお知らせさせていただきます。
- 募集業種
- 障害者の方への訪問ケアスタッフ
- 雇用形態
- 正社員
- 応募資格
- ヘルパー2級以上
※無資格でも可(今後取得見込みであれば。)
- 勤務地
- 主に尼崎市。そのほか西宮市、伊丹市
- 勤務時間
- 週40時間のフレックス
- 給与
- 基本給160.000~
※試用期間中(3ヶ月)は基本給のみ(手当その他なし)
- 休日・休暇
- シフト変動制月8日
夏季休暇3日・年末年始休暇4日
- 待遇
- ・社会保険完備
・交通費(上限20,000)
・住宅手当(10,000/月)
・子ども手当(二十歳未満一人につき10.000/月)
・職務手当(5,000/月)
・介助コーディネート(5,000/月)
・移動(800/日)
・夜勤(3,000/回)
- 採用予定人数
- 未定
- 選考プロセス
- このサイトからエントリー
その後、履歴書をご郵送ください。
↓
書類選考
通過者には面接の日程を連絡いたします。
不採用の場合、応募書類は返却いたします。
↓
面接
↓
採用
- 応募者への質問
- ・人生で大切にしてることを3つあげて、その理由も教えてください。
・最近何に怒りましたか? できるだけ詳しいエピソードを。
- WEBサイト
- http://tsukikaze.mond.jp/
- メッセージ
- 働く人の居心地のよさを意識し、自分の家族・自分の時間・自分の収入を大切に、『休み・給料・やりがい・風通しのいい組織』このバランスを常に考えながら、お金を稼ぐ活動・社会とつながる活動・自分が好きな活動。
これ3つを1つの仕事としてやれたら最高だ!ということを目指し、日々活動しています。 ちょこっと人の役にたち、とにかく楽しいことをして生きていきたい!このまちをみんなが居心地のいい場所にしていきたい!この活動をおもしろがりたい!そんな思いをもった人をお待ちしています。
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