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株式会社くさかんむりの求人サムネイル
2020.04.27 公開 2020.05.27 更新
株式会社くさかんむり
自然の中で、自分にウソをつかずに働く。手をかけただけ確かな成果を実感できる、茅葺き職人の仕事。

※ハローライフでの募集は終了してますが、採用状況は各社に問合せください


自然の中で生き・働くことは、人をこんなにも自由にし、ウソがない生き方をさせてくれる。

そんなことを率直に感じました。

この日訪れたのは、神戸市北区淡河(おうご)町を拠点とする株式会社くさかんむり。神戸市内や近隣市町村を中心とした茅葺き屋根の修繕・葺き替え作業、茅をつかった建造物づくりを行う職人たちのチームです。

茅葺き屋根の修繕などに関わる会社が全国でいくつかある中、くさかんむりは茅葺きの未来への発展や、伝統・知恵を次世代につなぐ役割を強く意識している気鋭の会社です。

茅葺き屋根の建造物は全国に10万棟。数は減っているものの、その在り方は見直され、屋根以外にも店舗の壁面やモニュメントなどに茅が取り入れられています。また、オランダやイギリスなどのヨーロッパ諸国ではエコロジーやデザインの観点から、茅葺きの建築が多く取り入れられているんだとか。

(美容院の壁が茅葺きでつくられています)



(斬新に茅が取り入れられた児童福祉施設の壁面)



(オランダの住宅)



今回募集するのは、茅葺き職人としてチャレンジをしたいという方。

「自然に関わって生きることと、社会の中で暮らすこと。この2つを両立する答えを、茅葺きは持ってるんです」と語るのは、くさかんむりの代表・相良 育弥(さがら いくや)さん。

なぜそう言いきり、職人として働くのか聞いてみました。


茅は最も面白く、美しい素材。人も含めた生物が共生できる奥深い世界で、自分にウソをつかず働く。


「僕は茅葺きに救われたんです」と相良さん。やさしい口調で語ってくれました。

相良さん アイコン
「僕が中学3年生のときに阪神・淡路大震災が発生しました。倒壊した建物が全部“災害廃棄物”になり、故郷の淡河町に捨てられているのを見て、なんとも言えない気持ちになったんです。祖父が大工で僕も仕事を手伝っていたんですが、『つくっても、地震がきたら廃棄物になってしまう』と思うと苦しくて。でも生きるためにお金はいるし…そこを言い訳にしながらやりたくないことをやってるのが嫌だったんですよね」

現在のやさしい笑顔からは想像できないほど、自分にウソをつきながら、苦しみながら生きてきたという相良さん。しかし、茅葺きに出会い、変わったといいます。
茅葺きの茅とは、ススキやヨシ、稲わらや小麦わらのなどの植物の総称。茅葺き屋根はそれらを束ねたものが使われており、寿命はおよそ2、30年。役目を終えると土に還って肥料となり、刈った場所には新しい芽が生え、次の命につながっていきます。

相良さん アイコン
「茅葺き屋根の建物をみたとき、こんな美しい建物があるんやなぁって思ったんです。見た目の美しさもそうですが、なくなっていくサイクルそのものも美しい。茅葺きを一生懸命やればやるほど、刈ったあとの草原の風景もきれいになるし、草原に住む動物や植物たちも生息が保たれる。そして、自分もこの仕事で食べていける。それまで苦しさを感じて働いていた自分に、ウソをつかなくてよくなったんです」

茅葺きに出会うまでは、人が自然に手をかけることは冒涜なのでは?と考えていた相良さん。しかし、適度に人の手が入ることで生態系のつりあいを取る「里山」や自然環境について学ぶ中で、その考えは変わっていきました。

茅葺きは何千年も昔からある、自然を大切にしながら社会の中で生きていく先人たちの知恵がたくさん詰まった技術なのです。

相良さん アイコン
「茅葺き屋根の材料となる茅は、ススキやヨシなどの人の手が入る事によって作られた半自然草原。そんな自然と人間が半分ずつ関わった草原にはカヤネズミや秋の七草のキキョウやナデシコなどの、今では珍しくなってしまった動植物がたくさん暮らしています。僕は仕事中に、そんな動植物たちの顔が浮かぶんです。

屋根ができると施主さんが喜ぶのが嬉しいはもちろん、自分が仕事をすることで動植物たちも生きられるのが嬉しいんですよね。僕のこれまでの人生の長さなんて比べ物にならないくらいの歴史がある伝統技術を守っていきたいということもこの仕事を続ける理由ですが、あらゆる自然や動植物たち、人も含めて循環している奥深いこの世界が、僕は好きなんですよね

人が自然に手をかけないのではなく、関わり続けることで守られている。「茅葺きはそのシンボルなんです」と相良さんはいいます。

(人と自然が共生するやさしさが、柔らかい手触りからも伝わってきます)


くさかんむりの仕事の多くは、すでにある茅葺き屋根の補修・修繕の仕事ですが、相良さんは茅葺きの可能性を広げるべく、ワークショップを開催したりメディアにも積極的に出演しています。

相良さん アイコン
より多くの人に知ってもらって、家や店舗デザインなどに茅を選んでもらえるようにしたいんです。自然素材でできているので産業廃棄物がほとんど出ないのは、建設業ではすごいことなんですよ。そもそも茅を知らないと取り入れたいとも思ってもらえないので、知ってもらえるようにしないといけないですね」

(土台が茅でできたカウンター。店舗の壁面や神社のお社など、新しく茅が生きる場所を模索し、人と茅が出会うきっかけをたくさんつくってきました)



相良さん アイコン
「茅は建築や農業・芸術・環境など、どの面から見ても面白くて美しい素材だと思います。その価値を次世代に受け継ぐために、前向きに取り組んでいきたい。先人が培ってきた伝統の延長線上で何ができるか?を常に考えています」

相良さんは自らを「先人の言葉を口語訳して、茅葺きの知恵や魅力を発信している人」といいます。

先人たちが生み出した価値を大切にしながら、現代の人々と出会える価値も紡いでいくくさかんむり。自分にウソをつかなくなった相良さんはとても穏やかで、確かな言葉を持つ方でした。


「人柄がいい」職場環境だから長く働ける。手をかけた分だけちゃんと形になっていく仕事。


実際に職人として働く、瀧端 一嘉(たきばた かずよし)さんと山中 和(やまなか わたる)さんにお話を伺いました。

(左が瀧端さん。右が山中さん)


お二人は拠点となる淡河町の近隣に住んでいて、毎日現場に通っています。淡河町は田畑に囲まれたのどかな田舎町ですが、三宮まで車で2、30分程度で行ける便利な場所。くさかんむりで働くとなると、田舎暮らしをしてみるか、三宮などの中心地で暮らすか、どちらも選択できそうです。

お二人になぜこんなニッチな仕事をすることになったのか尋ねると、「たまたまです」と笑います。

瀧端さん アイコン
明るいときに動いて、暗くなったら家に帰る。天気がいいと気持ちいいし、屋根に上りながら作業するので、季節の移ろいを感じたり、自然と一緒に働いている感じがしていいですよ


山中さん アイコン
「ウソがなくてわかりやすいですよね、この仕事は。自分の手で目の前に置いていく茅が少しずつ、でも確かに形になっていく。目標が見えやすく、どこに向かうのかが明確で、変なストレスがない。もちろんできてない部分もすぐわかります。自分の手でやっているからこそ責任感も芽生えますね」


瀧端さん アイコン
「みんなで一緒につくるので、できあがったときの達成感もいいよね」

瀧端さんと山中さんは、10年前から茅葺き職人の手元(仕事の段取りをする人)として働いたのち、相良さんに弟子入りをしました。

瀧端さん アイコン
「相良さんが独立すると聞いて、『この人ならついていきたい』と思ってくさかんむりに入りました。茅葺きが好きだからというより、相良さんについてきたという感じですね。手元をやっていたときも先輩職人たちの人柄がよかったから続いたんだと思います」


山中さん アイコン
「職人って厳しくて恐いイメージだったけど、くさかんむりの人たちは付き合いやすくて、ノリもいい。一緒にいても苦にならないですね

具体的な仕事の内容を伺いました。

瀧端さん アイコン
だいたい8時前に現場に着くようにします。遠い現場の場合は事務所に集合し、乗り合わせて向かいます。日が暮れ出すと全体が見えなくなるので、掃除したり片づけをして直帰します。休日は雨の日や日曜日です」

茅葺きの仕事ならではなのは、「雨の日は現場仕事がなくなる」ということ。その場合、倉庫での作業に取り組んだり、または休日の振替をおこなうことがあります。工期のスケジュールが押してしまうのが難点ですが、晴れた日に少しでも多く作業できるよう工程を組んでいます。

山中さん アイコン
まず入社すると、職人の手元として茅を運んだり、切って加工したりします。難しい作業はなく、新人でもどんどん現場に入らせてもらえますよ。きちんと取り組めば、誰でもできちゃうのが茅葺き職人の特徴かも知れません(笑)。まずは茅とはなにか?を知りながら実践していきます」


瀧端さん アイコン
「はじめてのことがすごく多いと思いますが、きっちり教えていきますよ。職人って恐いイメージがあるかもしれないけど、茅葺きの業界はそんな人が全然いなくて、僕たちも先輩にちゃんと教えてもらいました」

(お二人の作業現場を見学していると、常に声をかけあったり、真剣な中にも笑顔が多いという印象。『現場の空気を悪くしないこと』を心がけているんだとか)


段階的な作業はありつつも、「これができれば一人前」というラインはなく、早い段階で現場に入ることができる業界だといいます。

瀧端さん アイコン
「最初に教える手元の仕事だけでも十分やりがいを感じると思います。手元は下っ端ではなく、職人と同じ目線に立っている重要な存在です」


山中さん アイコン
「手元の人がいなかったら職人は手が回らないもんね」

(作業に使う道具はなんと手作り。屋根に葺いた茅を叩いて整える道具をはじめ、無駄な枝を切るはさみは鍛冶屋でオーダーメイドでつくってもらい、柄は自分が握りやすい形に作っているんだとか)



瀧端さん アイコン
「はじめた当初は職人の手を煩わせないように必死でしたが、だんだんできるようになると、屋根から見える景色が変わっていくんです。頭を空っぽにして、体動かすだけでとても気持ちいいですよ。深く考えすぎず、素直にひとつのことに夢中になれる人なら、この仕事に向いていると思います

肩の力を抜きつつ仕事を楽しむ職人たちもまた、自然とともにある毎日の中で自分らしい生き方を体現しているようでした。


茅葺きとの関わり方は様々。職人それぞれの役割を活かし、伝統をアップデートしていく。


相良さんは「どんな人でも役割があり、最大限に活かせられるようにするのが僕の仕事です」といいます。役割を活かせられる環境を、現場やワークショップの場につくっています。

相良さん アイコン
「茅葺きは屋根を茅で覆うだけではなく、いろんな関わり方ができるんです。デザインを発案したり、茅葺きをSNSなどでどう広められるか考えたり。英語が話せる人は海外でも活躍できるだろうし、人や子どもと話すのが好きな人はワークショップで活躍できます。そんなふうに新しく入る人の得意なことやこれまで得たものを活かして、違う切り口からも茅葺きの魅力を再確認したいですね

(子どもたちと茅の出会いをつくるワークショップ)



相良さん アイコン
「僕は『茅葺きとはこういうものだ!』と言い張る頑固な職人になってはいけないと思ってて。古き良きものを守るだけではなく、今や未来の社会の中でもより良きものであるためにはどうしたらいいか、新しく入る人も自分の役割を茅葺きの中で発揮してほしいですね

職人それぞれの個性を受け入れ、能力を発揮する機会を与えてくれる。相良さんはくさかんむりを「日本一イキイキのびのびしている集団」と胸を張っていいます。
自分が手をかければちゃんと形になり、最後には大きなものができる。仲間と協力し合った先に、人や自然が喜ぶ未来をもつくることができる。「働く」ことにおいて充分すぎるほどの意味が、この仕事には詰まっています。

ぜひ、エントリーを。

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Job description
募集職種
企業名・団体名
株式会社くさかんむり
募集期間
2020/05/26 〆切
募集職種
茅葺き屋根工事現場の作業スタッフ
仕事内容
・茅葺き屋根工事現場の作業全般(資材搬入、葺き替え作業、清掃等)
・茅葺きにおけるワークショップ等のイベント運営
雇用形態
①正社員(試用期間1か月)
②アルバイト(茅葺き現場作業補助スタッフ)
応募資格
未経験者大歓迎
要普通自動車1種免許(MT)※取得見込み応相談
勤務場所
神戸市内や近隣市町村の作業現場
※拠点は、兵庫県神戸市北区淡河町淡河1447になりますが、ほぼ現場での作業になります。
勤務時間
①正社員:8:00~17:00(内、2時間休憩あり、早出・残業あり)
②アルバイト:週3日以上(応相談)、勤務時間は正社員に準ずる
給与
①正社員:月給160,000円~
②アルバイト:日当8,000円~
経験・スキル・前給等を考慮し、面談の上決定します。
休日・休暇
日曜日・年末年始・夏季休暇・慶弔
※雨天時に現場での作業を中止する場合、倉庫作業等の実施、または休日の振替をおこなう場合があります。
待遇
社会保険、雇用保険
採用予定人数
2名
選考プロセス
1)本サイトからエントリー後、
 履歴書・職務経歴書を弊社までメールでお送りください。
 【メールアドレス】abe@kusa-kanmuri.jp
2 ) 書類審査後、通過者の皆様にのみご連絡
3 ) お電話にて面談日時を相談の上、決定。
4 ) 面談を実施
5 ) 面談の結果を全ての方にお知らせし、採用が決定
職場見学
仕事内容や職場の雰囲気を体感いただける、職場見学を受付ています。
ご希望の方は、「希望日・見学を希望する理由」を記載の上、エントリーフォームよりご連絡ください。
・実施日:個別対応
・場所 :神戸市内や近隣市町村
・内容 :作業現場の見学、質疑応答など
WEBサイト
http://www.kusa-kanmuri.jp/
メッセージ
私たちの紹介を見ていただいてありがとうございます。
基本的には屋外での作業ですので、体力的に楽ではない仕事ですが、外仕事が未経験でも大丈夫です。

ちょっと特殊な業界ですので、他の同業者と比較して選んだりできませんし、 仕事の内容でわからない事が多いと思います。

けれど記事を読んで心が動いたり、伝統や文化、人や自然、知恵や職人に興味がある人には、きっと得るものがある仕事だと思います。古くから伝えられてきた茅葺き屋根やそれをとりまく自然は、いつも新鮮な学びを与えてくれる。私達もそこから学び続けています。

一緒に成長していく新しい仲間に出逢えることを楽しみにしています。ご応募お待ちしております!