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みなさんは「まちづくりコンサルタント」という職業をご存知でしょうか?
「まちづくり」という考え方もすっかり市民権を得た現在ですが、
そう呼ばれるような取り組みをサポートする仕事は昔から存在します。
地域に暮らすさまざまな人たちの思いを聞き取りながら、
その思いをまとめ、実現するためのコーディネートを行う仕事。
世にまちづくりコンサルタントは数多くありますが、
今回は、兵庫県尼崎市に拠点を置く「地域環境計画研究所」の仕事を見ていきたいと思います。
阪急武庫之荘駅からほど近い住宅地にある事務所で、今回はお話をうかがいました。
共同代表を務める若狭健作さんと綱本武雄さん、
そして所員の香山明子さんの三人がこの事務所で机を並べられています。
事務所の設立は古く1975年。
当時から地域環境計画研究所は「地域主義」という理念を掲げられています。
70年代、公害問題が起こり、高度経済成長の弊害が足下の地域に起きた時代。
そんな時代に、地域に根ざした地域の文化や風習に寄り添うべきだ、
という考えを掲げ、まちづくりのコンサルティングを行ってきました。
先代の所長淺野弥三一さんと、現代表の若狭さん綱本さんが出会うきっかけは、
二人が属していた同じ研究室の先生によるご紹介。
現在、代表のバトンを受け継ぐ二人は、当時とは異なる時代背景の中にあっても、
先代から引き継いだ理念「地域主義」をそのまま掲げます。
都市間競争の加熱や人口減少の折に、自らが住む生活環境をいかにしてよりよいものにしていくか。
このような問題提起が様々なプロジェクトの根底に流れています。
「プレイヤー」にとって動きやすい環境をつくる
では早速若狭さんにお話をうかがっていきましょう。
まずはじめに事務所の紹介をしていただきました。
若狭
「先代のころは、技術者や建築士などもそろえて比較的ハード方面に強い事務所でした。
私たちが働きはじめる少し前に、ちょうど阪神大震災が起こります。
先代が震災復興の自治会の支援をずっとしていたのですが、
区画整理の現場に私たちも連れていってもらいました。
その際熱心に話を聞きながら学んだことは、
人の話を聞くのがいかに大事であるかということ、そして粘り強い仕事が必要であること。
その頃から事務所としてもハード系の仕事が段々少なくなって、業務の内容が変わってきました。」
まちづくりコンサルタントへの業務依頼元は行政が主体。
昨年2012年には、尼崎市の「総合計画」を分かりやすくまとめるという業務を依頼されたそう。
どんな業務においても彼らが重視するのは、地域のための取り組みを行う地元住民その他の
「プレイヤー」たちにとって、いかに動きやすい環境をつくりだせるか、ということ。
「ハード方面の仕事が段々少なくなった」というお話がありましたが、
「プランナー」である地域環境計画研究所の仕事は、
その舞台をどう整えるか、を考え、実現することなのです。
尼崎市総合計画の仕事に対する地域環境計画研究所のねらいは、
地域の人たちに、自分たちが「地域に暮らす一人」であることを自覚してもらい、
自分が住む地域にもっと関心を持ってもらう、ということでした。
「総合計画」とは言え、そこで目指されるべきは、何か新しいものをつくるのではなく、
これまでやってきたことを行政と市民との連携によっていかに進めていくのか、ということです。
そこで彼らは、「45万人都市の尼崎が、もし45人の街だったら?」
というテーマを持つガイドブック「45(万)人のまちづくりブック」を提案。
「45万人」を構成するひとりひとりにスポットライトを当てたこの冊子は、
今後中学校教材としても使用される予定です。
地域がうまくまわるための手助け
先に「総合計画」の例を出しましたが、現在では行政のみならず、
行政の紹介によって地域の団体から依頼を受けて仕事を行うこともあるそう。
そこで、幅広い地域環境計画研究所の主な業務を、三つの例を挙げながら説明していただきました。
若狭
「まずひとつめは、地域計画を住民と一緒につくるような仕事。
兵庫県内の中山間地域、豊岡、淡路島洲本、有馬温泉、
様々な地域づくりのとりまとめやビジョンづくりの手伝いをしています。
例えばある地域で考えていることは、廃校になった小学校を地域住民で運営して、
何か新しいことを行う、ということ。
このアイデアをいつ出そうか考えている最中です。」
「もうひとつは大阪市から受託している仕事。
「地域活動協議会」の設立と運営支援の業務です。
簡単に言うと、従来の町内会組織のような地域団体の体力をさらにつけて
自立できるようにする支援を行っています。
現場は浪速区で、事務所もそちらに構え、三人の所員が専従しています。
町内会組織は一般的にいわゆる「地縁型組織」が基盤なのですが、
どんどん町内会の加入率が落ちてきているのが現状です。
特に大阪市浪速区は少ないところでは加入率が20%程度。
基盤が脆弱になれば住民に対する各種サービスの提供も難しくなります。
対して、町内会といろんな活動との協働を企画して、
もう少し大きなプラットフォームをつくるということが目標です。」
「そして三つ目は街の情報発信。
現在ではバルイベントの企画、それを実施する組織のサポートなどの仕事もさせてもらっています。
イベントの中身の提案も含めて、組織づくりからお手伝いしていますね。」
フレキシブルな働き方
では、そんな地域環境計画研究所での働き方についてうかがっていきましょう。
若狭
「事務所としては様々なプロジェクトを行っていますが、
私個人について言えば、私ひとりで約40人から50人の会を切り盛りすることもあります。
そのとき現場で一緒に動いてくれる人がいるといいなと思っているんですね。」
入所したらどのような環境に身を置くことになるのでしょうか?
若狭
「そうですね、大まかにいえば、地域計画を考えたり、
地元の会合に顔を出して地域のひとに顔を覚えてもらったり、
地域のイベントを企画して面白い出会いを見つけたりと、様々なことに携われる環境があります。
例えばある一日の流れを簡単に説明すると、朝には会議の準備をして、会議に行って、
会議中は議事録をとったり、会議がうまく回るように気を配る。
帰ってきたら記録や振り返りを一緒にして、次の会の準備をする。
会議も夜行われることもあったり、「9時から5時」といった縛りはそれほどなく、
働き方はかなりフレキシブルです。」
今回の募集はインターン/アルバイト。
まずはインターンからはじまり、その後適性を確認した上でアルバイト契約へと進みます。
仕事内容については、若狭さんが少し触れた会議運営の他、アンケート調査の入力や分析を行ったり、
グループインタビューの文字起こしをしたり、広報物のデザイン補助など。
事務所と現場の行き来になりますが、現場の方が時間を割くことが多い、とのこと。
アルバイトのその先には、プロジェクトごとにパートナーとして
地域環境計画研究所と協働を行う可能性もあるようです。
地域と長く関わり、その地域が自らの支援によって変わって行く場面を目の当たりにする、
ひとつの大切なきっかけになるのではないでしょうか?
仕事とは別の「遊び」の部分
「地域環境計画研究所の活動には、仕事の他に「遊び」というパートがあるんです。」
そう語った若狭さん。
尼崎という地域にこだわった地域密着の活動「尼崎南部再生研究室」
通称「あまけん」の取り組みを紹介してくださいました。
若狭
「様々な協同者と行うあまけんの活動から発展した仕事として、
「メイドインアマガサキ」という事業があります。
残念なことに、尼崎の人には「どうせアマや」という意識が強く、
率直に街を誇れないところがあるんです。
「いや、ものづくりのまちだからこそ自慢できるものがあるよね」ということで、
2003年から尼崎で生まれたもののコンテストを行っています。
湯たんぽ、天ぷら、ポン酢、などなどの品評会を10年続けて、現在では249点が選ばれています。」
あまけんはもともと尼崎の大気汚染訴訟の和解金を利用した10年間の時限的なまちづくり団体として発足。
お話にあった、地元商店街との共同事業「メイドインアマガサキ」は、
現在アンテナショップが開設され、また2冊の本にまとめられています。
編集発行するフリーペーパー『南部再生』は現在45号まで巻を重ね、
今では購読料によって運営できるようになっています。
また、運河クルージング、工業地帯ツアーといった興味深い取り組みも精力的に行われ、
「時限的」からだんだんと「自律的」な活動になりつつあります。
若狭
「あまけんの活動が10年を迎えて、街の人たちにも認知されてきたかなと思います。
街の人と勝手にやってきた活動が、今や行政がそれをバックアップするようになってきました。
例えば市のプロモーションの大きな基軸になっていたり。
そういう意味では民間の動きと行政の動きが上手く
伴走できるようになってきたということで手応えを感じています。」
「プレイヤー」と「プランナー」両者の視点を持つ
さて、ここでひとつシンプルな疑問をぶつけてみました。
世に多くまちづくりコンサルタントという職業がある中で、
地域環境計画研究所の「売り」はどんなところにあるのでしょうか?
若狭
「私たちはあまけんとしてのプレイヤーの蓄積があるので、
街の人がどんなことをしたいのか、
そしてその方法論が分かるというのは大きいと思います。
例えば地域で雑誌がつくりたいと考えている人たちはいますが、
雑誌をつくったことのないコンサルタントもたくさんいるわけです。
私たちは雑誌もイベントも、プレイヤーとしてのノウハウを持っています。
同じ目線でプレイヤーをサポートすることができます。」
もちろんまちづくりコンサルタントの中には、
リーダーシップを取って「こうすべきだ!」と計画を立て、実行することが得意なところもあります。
しかし地域環境計画研究所の場合は、地元の人たちと近い目線を持ち、チームづくりを共に行うような仕事が得意。
プランナーの仕事はもちろん、ときにプレイヤーの立場をとることで、
いわば「二足のわらじ」を上手く使い分けているのです。
「本当のクライアントは誰か」ということを理解する
若狭
「私たちはプロなので、アイデアはたくさん浮かんできます。
でもそれだけでは不十分で、そのアイデアをどんなタイミングで提案するかが大事なんです。
早すぎると「あいつがやった」となってしまいますからね。」
「そうではなく、地域の人たちが「自分たちがやった」と思ってもらえることが
一番良いんじゃないかなと思います。」
こうした「プレイヤー主体」の考え方は、必ずしも綺麗ごとだけではありません。
そこに至るまでの想いを強くする、そんなひとつのきっかけがあったのです。
綱本
「実は以前関わっていた現場で、市民の了承を得る前に事務所と役所とが話をまとめて、
物事を進めようとしたことがあったんです。それを知った地元からの怒りの声はものすごいものでした。
当時若造の私はその場面を目の当たりにして、
「地元の人を大事にしないと仕事が成り立たない」ということを身をもって知ったんですね。
以降の関係修復にも膨大な時間がかかりました。
「本当のクライアントは誰か」ということを理解し、その人たちといかにうまく連携するか。
ここにこそ時間を割いたり心を砕いたりしないといけないということを学びました。」
「人の話を聞くことが重要である」というと、とてもシンプルな当たり前のことに聞こえるかもしれません。
しかしその裏には常にシビアな現実が存在しているということを忘れてはいけません。
協同する人との出会いの大切さ
ここで、地域環境計画研究所の所員、香山さんにもお話を聞いていきましょう。
まずはこの仕事に就く前に、どんなお仕事をされていたのでしょうか。
香山
「以前は、震災後のまちづくりに関して、住民ボランティアやNPO活動に助成する
兵庫県の外郭団体に務めていました。当時は一応尼崎までテリトリーだったんです。」
その時、雑誌『南部再生』と出会い、同時に「あまけん」と出会います。
オープンな編集会議に参加し、雰囲気の良さに惹かれた香山さん。
前職を辞めた後に若狭さんからの「うちにお手伝いに来ませんか?」というお誘いをもらいます。
香山
「当時は『南部再生』しか知らなかったのですが、武庫之荘駅に迎えにきてもらい、
事務所に来るまでの10分足らずの間に会社として何をしているのかをざっと説明してもらって(笑)。
そして翌週から働きはじめました。週三勤務からはじまって、その1年後にフルタイムになりました。」
人と人とのつながりが重要になるまちづくりコンサルタントという仕事において、働き手との出会いは最も重要なもの。
これまでハローワークに求人を出すことがあったようですが、
仕事内容が分からないまま応募される方が少なくなく、面接にいたらないこともありました。
若狭
「結局こちらの仕事を分かってもらっていないと続かないし、お互い不幸ですからね。」
「自分が何をしているのかが分かる」サイズで働く
こうして香山さんは、あまけんの参加者の一人から地域環境計画研究所の一員になります。
「結局、履歴書を書くことなく所員になりました。」と笑いながら語ります。
香山
「もともと大きな組織の中で働くことを考えていませんでした。
自分がその中で何をやっているのかが分かるくらいのサイズの組織で、
全体が見れるような業務につきたいなと思っていたんです。
そして街に関わる仕事につきたい、とも。
仕事内容は本当にいろいろですから、そういう意味で飽きることはありません。」
これまで一番やりがいのあった仕事についておうかがいしてみると、
香山さんがはじめて関わった仕事「メイドインアマガサキ」という答えが挙がります。
香山
「私たちが調査員として、事前にエントリーした企業や商店から商品のことを聞きだし、
審査会ではその取材した内容を、私たちが7人くらいの審査員の前でプレゼンするんです。
それを継続し、去年は集大成として全9回のすべての商品・製品の中から
グランプリを選ぶ「メイドインアマガサキ総選挙」をやったのですが、
この仕事が会社としても代表的なものになっているので印象深いです。」
では逆に、仕事をする上で大変なことについてうかがっていきましょう。
香山
「少数精鋭の会社なので、個人の裁量が大きいんですね。
自分では割と相手の話に興味を持って話を引き出すのが好きなんですが、現場に入れば、
たった一人で大人数の会議を切り盛りしなければならないことがある。
そうなると、人の話を聞くだけじゃなく、整理して展開していくよう場を回していくことが大切です。
それを自分ひとりでやる局面が割とあるので、それが大変ですね。」
組織としての全体像が見えやすい、という一方でそのために個人個人の能力と、
ひとりひとりのインプットとアウトプットが何より鍵になってくるという現実があるのです。
チームとしてできる仕事を増やして行く
最後に、これからの展望や変えていきたいことについてうかがってみました。
若狭
「今は結構個人の力量でしている仕事が多いんですが、
これからは「チーム」としてできる仕事を増やしたいなと思っています。
私たちが先代に育ててもらったように、
私たちも自分の経験を誰かに伝えていかないといけないと思っています。」
では最後に、どんな「後輩」が来てほしいと思いますか?
香山
「若い人ですね(笑)。
そして何でもいろんなことをできる、器用な人。臆さずにいろんなことに挑戦してほしいです。
それから私たちが事務所にいないことも多いので、勝手に動きたがる人が合っていると思います。」
加えて、「新しいアイデアを事務所にもたらしてくれる人がいいですね。」と若狭さん。
経験の多い少ないではなく、地域に暮らす人たちの声をどれだけ丁寧に聞くことができ、
その思いを実現するためいかに粘り強く仕事ができるかが重要です。
経験豊富な先輩とともに、地域の思いに寄り添い、支援し、
形にしていくという仕事に就きたい方、ぜひ今回の募集に手を挙げてみてはいかがでしょうか?
(取材:榊原充大 撮影:瀬光真莉子 コーディネーター:塩山諒)
Job description
募集職種
- 企業名・団体名
- 株式会社地域環境計画研究所
- 募集期間
- 2013年10月1日(火)~2013年10月31日(木)
それ以降の募集については、随時お知らせ致します。
- 募集業種
- アシスタント(地域調査の集計分析、会議運営、議事録作成、チラシ・ポスター等のデザインに係るアシスタント)
- 雇用形態
- インターンののちアルバイト
- 応募資格
- ・20歳以上
・街が好きで人が好きな人
- 勤務地
- 兵庫県尼崎市
- 勤務時間
- 10:00~17:00 (担当プロジェクトに応じて変動)
週2~3日程度(担当プロジェクトに応じて変動)
- 給与
- アルバイト 時給900円~
- 休日・休暇
- 担当プロジェクトに応じて変動
- 待遇
- インターン…交通費支給(一日上限1000円)
アルバイト…交通費支給(一日上限1000円)
- 採用予定人数
- 若干名
- 選考プロセス
- 同サイトよりエントリー後、追ってこちらから連絡致します。
その後、履歴書による書類選考 → 面談による選考 → 採用決定となります。
- 応募者への質問
- ・街にかかわるお仕事で活かせそうな、あなたの得意技は何ですか? (例:誰とでも仲よくなれる/デザインができる/人の話を聞くのが得意など)
・あなたの好きな街や村はどこですか?
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