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京都市上京区の路地奥にある町家「518桃李庵」。
ここをひとつの拠点として、
シェアオフィス、コミュニティスペースとしても活用している
ホームズビーは、「場とつながりラボ」を掲げているNPO法人。
地域や行政と関わりながら活動する、
場づくりのスペシャリストね、とイージーに理解していたところ、
全然違ってた! …いや、その理解も合ってはいたけど
まったくそんなに単純じゃなかった!
まずは、
ホームズビーが力を入れる、上京区での活動現場を拝見。
そして、代表を務める嘉村賢州さんにホームズビー設立までの話を聞いた後で、
「518桃李庵」をはじめとする、
地域と関わりの深い活動に絞って、ホームズビーの紹介を進めたい。
いくつものプロジェクトが並行して進行、
既存の組織ともかなり趣きの異なるホームズビーのスタイルからすれば
今回の取材はその一端に触れたにすぎない。
それでも、あちこちに網目を広げながら、
かつてないコミュニティを模索するホームズビーの方向性はとても新鮮だ。
さあ、この世界について来れるか!!?
今回の募集は、社会人インターンだ。
上京区でマチレポやってます
この日、京町家を専門に紹介している不動産屋「エステイト 信」を訪れたのは、ホームズビーの淺田雅人さんと4人の大学生。
物件を仲介するだけでなく、
NPO「京町家・風の会」事務局としても
町家暮らしにまつわる様々な情報発信を続ける井上さんご夫妻から
約2時間にわたって、じっくりたっぷり話を伺っていた。
これは上京区の情報サイト「カミング」のための取材の1コマ。
上京の魅力ある人や町の情報を、マチレポと呼ばれる市民記者が取材して記事にするもので、そのコーディネイト全般を淺田さんが担当している。
淺田さんは、学生ひとりひとりに質問を促しながら、
井上さんからは
「私たちも不動産屋である前に上京の住人なんですよ」
「職業を通じての社会奉仕、不動産屋やからできることを大事にしていかんと」なんて、
町への思いがあふれることばを引き出して、確実に取材現場をまわしていく。
聞けば、淺田さんはこうした取材を週に1、2本ペースで続けているという。
しかも、取材対象となる面白い場所、興味深い人たちを
淺田さんがどこからともなく見つけ出してくる。
「上京区って、清水寺とか金閣寺のようなわかりやすい観光スポットがなくて、
どちらからというと路地奥とか、敷居の高いところに
面白い人がいるというようなエリアなので、
たとえば地方から出てきた学生では、簡単にはそこへたどり着けないんですね。
これは学生に限らずですけど、京都へ来て、京都の表面的な部分しか知らずに
過ごしちゃうのはもったいない。だから、町の案内役としてコーディネイトを
引き受けることで、マチレポが町との出会いを楽しむ第一歩になってくれたら」
マチレポ記者の登録が約100人。実は、学生よりも社会人が多いそう。
気になる取材先を見つけると、取材の段取りをつけた上で
facebookで記者の募集をかけて、一緒に連れて行く。
自分で取材をする以上に大変な作業だ。
「面白そうな人や店の情報をサイトにいくつもリストアップしていて、
取材行きたい人いる? って呼びかけては、記者を集めています。
手間がかかるといえばそうなんだけど、取材だけをしたいわけじゃないので。
今日の取材でも、学生が井上さんから『まちべん』を手伝ってよって誘われてたけど、
そんな感じで、ちょっとずつ町とつないでいくのも役割ですね」
夏休みに町家の和室を開放するという町家の勉強室=まちべんは
「京町家・風の会」の活動のひとつ。
取材中に、その話を聞いた学生の1人は興味津々で、
井上さんに「ほんとに一度来てもいいですか?」と詳細を尋ねていた。
取材そのものがつなぎの場、出会う機会となっていく。
これがホームズビーのやり方だ。
ホームズビー前史の話
「インターンの学生が来るとびっくりされますね。僕が関わってた(京都市未来まちづくり)100人委員会とか、
コミュニティ作りをやっていて楽しそうだなくらいの前知識で来て、
ミーティングに出ると20案件くらいのプロジェクトがあるので、
もうまったくチンプンカンプンという状態で。
それも仕方がないところがあって、
ホームズビーのHPを見ても全然情報が整ってないですし、
正直、情報発信ができてないんですよ」
代表を務める嘉村賢州さん自ら、そうぶっちゃけるホームズビー。
先述の「かみんぐ」も数ある業務のごく一部にすぎないのだ。
ここで、ホームズビーの活動を少しでも理解しやすくするために、
賢州さんがホームズビーを立ち上げるまでの話を先に紹介しておこう。
賢州さんは、
大学生時代から面白そうだと感じたものがあれば、
国際交流、アート、町おこし、環境、音楽など、
あらゆる分野で仲間を集めては、プロジェクトを立ちあげていたという。
ところが、就職活動が始まると、周囲の様子が変わってきた。
「それまで損得勘定抜きにして人とつながれていたのに、
メリット、デメリットで人を判断するような雰囲気になってきたんですね。
僕は、その頃から異業種交流会なんかも好きじゃなくて、どうしても
自分を飾ってみせたり、自分の特技、強いところで人とつながろうとするじゃないですか。
だけど、時間がたくさんあれば、弱い部分も見せあって関係性が作れるし、
その方が安心できることもあるなと」
確かに言われてみれば、
初対面の人を前にすると、つい自分の得意なところで話してしまうかも。。
そこで賢州さんは、もっと腹を割って話ができる場として、
シェアハウス「西海岸」をオープン。
家の一部を365日間、24時間開放(!)して、
賢州さんの不在時でも使える、開けっぴろげな場所とした。
「ただし、一見さんはお断りで。
ウェブなどでも一切告知せずに、紹介制だけで広げていきました。
それが5年間で1000人くらいが出入りするコミュニティに育っていったんです」
他愛のない話をしたり、いっしょにご飯を食べたり。
それが夜も深い時間になってくると、真剣に悩みを打ち明けて、
ときには涙を流しながら話すような瞬間が生まれたそう。
「それを、”魔法の時間”と呼んでいたんですけど、
一度そういう時間を味わうと、出会って数週間の人でも無二の親友のような関係になれた。
こういう関係性、場を持ち続けたいというのが自分の原点としてありますね」
魔法の時間! とても理想的な場。
なんだけど、それを仕事として成立させることは難しかった。
「魔法の時間が生まれるようなコミュニティ作りをして
世界に広げていこうとしたんですけど。
すると、どうしても仲間からお金をとらないとやっていけなくて、そこで悩んでしまった。
縁があって出会った仲間の幸せを実現するために始めたことなのに、と。
だから、今では、そうしたコミュニティに関しては、
人が集って活用してもらえるなら、それが自分たちのネットワークや財産にもなるので、
もう完全にお金とは切り離しました。
シェアハウスやシェアオフィス、今、コワーキングスペースも準備してますけど、
ホームズビーにとってお金とは別ものですね」
ということで、また振り出しに戻った!?
ホームズビー理解への道はなかなか険しい。
少数精鋭、多彩なメンバーについて
長くなるのでもう結論から書くと、賢州さんは多様なプロジェクト、コミュニティに関わってきた経験を生かして、
そこで自然と培われたファシリテーション能力、コミュニティ作りの力を
仕事に結びつけている。
企業、地域、NPOや社会起業家。
大きく分けてその3つの対象に向けて、「場づくり」をキーワードに、
講座やイベント企画、会議の運営、組織づくりまでを手がけている。
これらのうち、地域を対象にした活動のひとつが、
冒頭で紹介した上京区の「かみんぐ」取材現場へとつながってくる。
と、ここまでOKですか?
ついでに、複雑になりそうなところを先に説明しておくと、
ホームズビーの現スタッフは7人。
地域、とりわけ上京区にどんどん入りこんで、
面白いつながりを発掘、開拓しているのが先述の淺田さん。
賢州さんは地域に特化せず、全国を飛びまわって、
上場企業からベンチャーまで、あらゆる対象を受け持ちながら、
ファシリテーションの研究開発をおこなっている。
他に、京都府のNPOパートナーシップ・サポートセンターに一度就職をして、
行政、NPO、助成金といったメカニズムを熟知した荒川崇志さん。
子育て中の主婦として、ファシリテーションの力を
ママ友、子育ての世界で活用しようとしている篠原幸子さん。
この4人がホームズビーの主力メンバー。
見事に得意分野がバラバラ、
サイボーグ009ばりに、それぞれ特性を生かした仕事ぶりだ。
「ファシリテーションって触媒になりやすいんです。
どの対象ともやれるし、関わればその分野のことがさらに深く理解できる。
一見、なんでもやってるように見えますけど、そこは意識的ですね。
もちろん、手をつけたがりというところもありますけど(笑)」と賢州さん。
たとえば、NPOの業界、あるいは地域おこしの業界、ファシリテーション業界…
そうした狭い業界に閉じこもるのではなく、むしろ、それを融合させてつなげていくこと。
さらに賢州さんと話をしていると、
「スピリチュアルな領域も範囲内です」なんて発言も飛び出した。
「誤解の多い世界なので、出しかたに気をつけてますけど、否定はしてないということです。
最先端の組織論では、”瞑想”を取り入れたりもしてますから、
ある意味で、今ではスピリチュアルも避けて通れないですし。
全然、自分は傾いてないですけどね」
この貪欲なまでに、あらゆるものを取り込んでいく力。
そんな賢州さんが率いるホームズビーなんだから、
ひと言で言い表わせなくて当然だ!?
場づくりからビレッジへ
上京区=ホームズビーの拠点での活動に話を戻そう。
「518桃李庵」はホームズビーが事務所を構える、路地奥の京町家。
たとえば、毎週金曜夜には「ごいちや食堂」というごはん会を開くなど、
シェアオフィスにして、コミュニティスペースとして運営されている。
淺田:
「この家の大家さんが隣の家に住んでるんですけど、
なぜか食事をたくさん作るのが大好きな方で、
大家さん自身もこっちの家に顔を出せるような人に貸したかったという、
うちらにとってもすごくぴったりな大家さんで。
もう2年半くらいごはん会はやってますけど、告知はほぼしてません。
全然知らない人がふらっと来るというよりは、
信頼関係のある人を紹介しあうような感じで空気感を保ちたいので」
淺田さんのこの話を聞いて、
賢州さんのシェアハウス「西海岸」のことを思い出せれば、
もう立派なホームズビー通。
そう、ここではお金や仕事とは別の価値観が保たれていて、
でもだからこそ、ここで生まれたつながりが仕事になっていくこともある。
「ほんとそうなんですよね。
特に京都は、職住一致の文化がそもそもあるし、
そう思えば当たり前の話なのかもしれませんね」
ちょうど事務所にいた荒川さんにも、そのあたりのことを補足してもらおう。
「まーしー(淺田さん)がマチレポのために、
町の資源を探してるかといえば、そうじゃない。
それが日々の出会い、日常なんですよ。
ホームズビーという団体とは関係なく、人とつながったり、
いろんな人が集まってそれぞれが勝手に合わさっていくようなことを、
まーしーは地でいってますから」
淺田:
「ホームズビーは課題を解決するNPOというよりは、
新しい価値観を提示していくようなNPOで、
そのためにいろんな研究や調査、社会実験をしています。
その先に、新しいライフスタイルとか、
働き方とか、生きるスタイルみたいなものを提示できればいい」
荒川:
「間違いなく『場づくり』って、僕らのキーワードですけど、
それがゴールじゃなくて、ツールなんですね。
場づくりを通して、実現したい未来に近づいていくという」
ホームズビーの活動がだいぶクリアになってきた。
ちなみに、地域のなかでも、
ホームズビーが上京区に力を入れてるのは意図してのことだそうで、
人のつながりをどんどん膨らませて、
ひとつの「生態系」として、
もっと住みやすい都市に変えてしまおうという目標があるそう。
名付けて「今出川ビレッジ構想」。
淺田:
「すごく身近な話でいくと、僕がこないだ引越しをしたんですけど、
普通は不動産屋さんに足を運んで、物件を見てまわってというプロセスを踏みますよね。
だけど今回は、今までにこの町で作ってきたつながりから家を探してみて、
1カ月くらいでいい家を見つけることができた。
人のつながりを増やしていけば、
これから、他にもいろんなことができるようになってくると思うんですね」
固定観念にとらわれない、新しい暮らしかた、働きかた。
ホームズビーが掲げることば「場とつながりラボ」、
そこに「ラボ」と書かれた理由がようやく腑に落ちた。
インターンに託された可能性
最後に、ホームズビーで求められている社会人インターンって一体、どんな人? どういう人ならここで活躍できるのか。
荒川:
「そこなんですよ! 事業はたくさんあって、
インターンだからって雑務をこなしてほしいわけではなく、
だけど具体的に何を? って聞かれると答えるのが難しい。
マチレポのコーディネイトがやれるとかだと、イメージしやすいかもしれません」
淺田:
「マチレポを手伝ってもらえたらありがたいですね。
うちは結構、放置ぎみなところがすごく多くて、
それがいい面も悪い面も、うちの文化になってるんですけど、
基本は自発性にまかせてます。
なので、『教えてくださいー』みたいな人よりも、
ホームズビーを使ってこういうことをやりたいというのが
明確にある方がうまくいく気がします」
この春には、
ロンドンから世界に広がりつつあるオープンシェアオフィス「THE HUB」が、
東京に続いて、日本で2番目に京都市上京区に誕生。
能舞台、竹林、茶室などを備えた絶好の場所で、
ホームズビーがその「HUB Kyoto」の立ち上げメンバーにもなっている。
いずれ、ホームズビーの事務所もそちらへ移ることに。
淺田:
「地域の拠点として大きなインパクトを持つだろうし、
世界中にHUBのネットワークがあるので、
海外のフリーランスの人が京都に来たときに、
まず最初に訪ねてくるような場所になると思う。
そういう意味では、たとえばマチレポでやってるような地域の資源発掘と、
海外とをつなげていけば、さらに面白いことになってきそう」
聞けば聞くほど、
ホームズビーの話のネタ(仕事のタネ)は尽きそうにない。
ただ、いたずらに活動を拡大しているのではなく、
必ず自分たちの足元(地元での暮らし、コミュニティ)を見据えているのは確か。
インターンとしても、
まずはマチレポのコーディネイトなど、
わかりやすいところから関わっていくことになるだろう。
最後に、もう一度
賢州さんに登場いただいて、今回の記事をしめてもらおう。
「なんとなくカテゴライズされた地域とか、環境とか、
そういう世の中の通念だけで活動しても、たぶん最後まで走り切れない。
持続可能じゃないんですね。
たとえそれが他人の自己実現だとしても、
縁のあった仲間を幸せにするということなら、本気になれるし、
その仲間を幸せにする延長で、社会の仕組みそのものを変えなきゃいけないなら
そこは徹夜してでもがんばれる。
あと、これは最近言いはじめたことですが、
日々のお金のやり取りを、なるだけコミュニティ内でまわしたいと思っています。
衣食住、文化のすべてを、顔の見える相手とで地産地消したい。
コミュニティ内でいろんなプロトタイプをつくって、失敗も共有しながら、
文化も産業も育てていけば、そこで生まれた商品はグローバル経済とだって戦えるかもしれない。
そういうコミュニティをつくっていきたいですね」
社会と暮らしに密接に関わりながら、突き進んでいくホームズビー。
「仕掛けるのが好きなタイプばかりで、組織固めは全然できてません」と
代表自らが明かす団体だからこそ、
そこに蓄積された無数のリソースを使えば、インターンという枠にとらわれることなく、
自分がやれること、仕事につなげることは無数にありそうだ。
(取材:竹内厚 撮影:大島拓也 コーディネーター:喜多舞衣)
Job description
募集職種
- 企業名・団体名
- NPO法人場とつながりラボhome’s vi(ホームズビー)
- 募集期間
- 2013年12月4日(水)〆切
※それ以降の募集については、随時お知らせ致します。
- 募集業種
- 下記の中より、関心や得意分野にあわせて選択頂きます。
・ワークショップ、ファシリテーションのサポート
・事務、会計、雑務全般のサポート
・WEBマガジンの編集、記事作成
・WEBサイトやFacebookページの企画・広報作業
・コミュニティスペースの活性化の企画
- 雇用形態
- <社会人インターン>
週2日程度から応相談
- 応募資格
- 特になし
- 勤務地
- 主に京都市内
- 勤務時間
- 10:00〜17:00のいずれかで応相談
- 給与
- 特になし
- 休日・休暇
- 応相談
- 待遇
- 特になし
- 採用予定人数
- 若干名
- 選考プロセス
- このサイトからエントリー
↓
担当者とのメールのやりとりにて、日程調整
↓
京都市内にて面談
- 応募者への質問
- ・当団体のどの点に興味をもちましたか? あなたが貢献できることも含めて教えてください。
・当団体を通じてどのようなことを学びたいですか? その理由を含めて教えてください。
- webサイト
- http://www.homes-vi.org/
- メッセージ
- 当団体の文化でもあるのですが、あまり指示は出しません。
自分で自発的に考え動ける方であれば有意義に時間を過ごせると思います。
-
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