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自分のスキルや経験を活かしたボランティア活動「プロボノ」。
ラテン語の「Pro Bono Publico」(公共善のために)が語源で、
アメリカやイギリスでは、弁護士を中心に定着しているボランティア。
日本でも、ここ数年で急速に広がりつつある、新しい社会貢献のスタイルです。
この活動に参加する「プロボノワーカー」を、
プロフェッショナルのスキルを必要としている現場につなぐ役割を果たしているのが、
特定非営利活動法人 サービスグラント。
今回の募集はそのプロボノワーカー、
そして、そこからいずれは事務局スタッフへの道も。
まずは、サービスグラント関西事務局の堀久仁子さんに、
プロボノやサービスグラントの活動について、簡単に説明してもらいました。
What’s プロボノ?
堀:
「たとえばボランティアを始めたいという時、公園の掃除に参加するやごみひろいなど、いろいろな方法がありますよね。
それが、自分の体を使って身近に始められるボランティアだとしたら、
プロボノは、自分が持ってる仕事のスキルを活かそうというボランティアのカタチなんです。
サービスグラントは、そんなプロボノワーカーと、
様々な課題を抱えるNPOや地域との間を取り持つ役割を担っています」
サービスグラントでは、
自分のスキルをボランティア活動に活かしたいと考える社会人
=プロボノワーカーを常時募集。
プロジェクトの内容やスキル登録の方法などは、月4回の説明会で案内しています。
一方で、プロフェッショナルスキルの提供を受けたいと考えるNPO、地域の申請を採択。
多種多様に抱えている悩みや思いを解決するために、
それぞれに合ったプロジェクトチームを編成したり、プロジェクト全体をサポートします。
そんな両者のつなぎ手として大事な役割を担っているのが、
サービスグラントなのです。
たとえるなら、
お見合いの場を作って結婚にいたるまでお世話する…的な立ち位置なのかと思うのですが?
堀:
「そうですね(笑)。
地域で活動している人たちが、たとえばお祭りの写真を撮りたいと。その地域に住んでいるカメラマンにお願いして、カメラマンもその日はあいてるから撮ってあげるよ、みたいな流れが普通にあればいいんですけど…。
そういう時に、お互いの出会いの場を作るのが私たちの役割なんです。
前から知っていて、入ってみたいけどキッカケがないし、入る勇気がない。そんな店ってありますよね? その扉を開けやすい仕組みを作るのが、サービスグラントの仕事なんです」
NPO、地域をつなぐ中でも、いま力を入れているのが「地域コミュニティ」。
仕事で培ったスキルを地元大阪の地域活性化のために! という
プロジェクト「大阪ホームタウンプロボノ」は、
今年から始まったばかりで、全国初の取り組みに熱い注目が集まっています。
プロジェクトの中身はといえば、
「夏の盆踊り活性化大作戦!」「手作りタウン誌制作プロジェクト」などなど。
“ボランティア”と構えることなく、参加してみたい!と
好奇心がふくらむユニークな企画が満載です。
ここにも、ボランティアと地域をつなぐ、
サービスグラントの手腕がきらりと光って見えます。
今回はそんなプロジェクトのひとつ、
鶴見区・榎本「まちの担い手を広げるホームページ制作」のミーティングを見学。
実際にプロボノワーカーとして参加する人たちに、
活動内容やプロボノへの思いを伺ってみました。
スキルアップは社会貢献と共に
ミーティングが始まったのは、平日の午後7時から。
プロボノワーカーはもちろん、地域のNPOメンバーも本業が終わってから参加しているので、なかには遅れてやって来る人も。それでも、最終的に集まったのは総勢12名。
プロジェクトがスタートして約半年にもなるというのに、
全員がずっと熱意を失わずに参加しているというその意識の高さに驚かされます。
この日のミーティングで中心的な役割を担っていた、日野良威(ひのよしたけ)さん。
企業でシステム開発に携わり、
独立後はデザインアーキテクト株式会社の代表として、IT関連の現場で活躍。
「ホームページ制作」を目標に掲げたこのプロジェクトも終盤戦にさしかかり、
いよいよITのプロがその手腕を発揮する局面を迎えているようです。
日野:
「僕がプロボノで活動しようと思ったのは、
会社や社員の成長のためには社会に貢献をしなければというポリシーがあるからです。
今回プロジェクトに参加して良かったと思うのは、
WEBデザイナーとしてのノウハウを提供できるということ、
そしてここで身につけたことを本業にもフィードバックできているということ、
その両面がありますね。
もちろん多少ハードな面もありますけど、僕としては本当に楽しませていただいているって感じですね。
いろんなスキルを持つ人のいろんな意見を聞いて、
急激に成長できたような実感もあります」
バラバラな個性がひとつの目標に向かうということ
プロジェクトがスタートしてこの日のミーティングにいたるまでには、
入念なマーケティングや話し合いが積み重ねられてきました。
地方公務員の江上昇さん、化学メーカーで営業職を勤める田中篤さん、
銀行員の後藤智子さん、プランナーの山縣玲子さんは、
このプロジェクトで「マーケッター」として活動してきたメンバー。
アンケートをとったり、地域の活動に参加できていない若者に話を聞きに行ったりと
ホームページの制作にそなえて、事前の調査を重ねてきました。
本業はバラバラで、プロボノに対する思いもそれぞれだけど、
ミーティングに参加する彼らからは、
同じ目標を持って一緒に活動してきた絆のようなものが感じられます。
江上:
「僕はマーケティングに関しては素人だったんですけど、
取材してヒントを探したり、特殊な能力がなくてもできることはたくさんありました。
僕は普段、保守的な組織の代表みたいなところで働いてるけど(笑)、
ここではみんなあだ名で呼び合っていて、キャリアや肩書きも意識しないフラットな関係なんですよね。
しかも、みんな自分の利益のために働いているわけじゃない…
これってまるで夢の国ですよ(笑)。
遊びとも仕事とも違う、第三の空間を経験できたことは、本当にいい勉強になりました」
田中:
「仕事の時間がある程度コントロールできるようになったので、
地域に貢献できることがしたいと思ってプロボノに登録しました。
今回のプロジェクトでは、いろんな人と関わることができて楽しかったですね。
異業種の人々が集まってひとつのプロジェクトに取り組むには、もちろん難しい面もありました。
それぞれにいろんな思いがあって参加しているし、
スケジュールが合わなかったりもしたけど、決まった短い時間の中で意見のすり合わせをするって、なかなかのチャレンジですよね。
僕自身は、そういった部分も楽しみながら参加していた感じです」
ボランティアは「人」という財産がもらえる場所
続いて登場するのは、
鶴見区・榎本「まちの担い手を広げるホームページ制作」のプロジェクトマネジャーとして、
スケジュール調整などのまとめ役を担当する橋本敏夫さん。
システムエンジニアとして会社勤めのかたわら、
約20年もボランティア活動を続けてこられた、ボランティアのベテラン(?)。
そんな橋本さんにプロボノについて聞いてみました。
橋本:
「ボランティアはいろんな人と会えて、おしゃべりさせてもらって、
人と人のつながりという財産がもらえる場所です。
こんな人がこういう人を知ってるで~っていう風に、人はまたどんどん繋がっていくしね。
もちろん、どんな仕事でも仕事はしんどいけど。
僕自身は若い人もたくさん知ってるし、実際にやってみて、
若い人たちに『こういう活動があるよ』と知らせるためにプロボノに入ったんです。
プロボノはある程度の意識を持ったその道のプロの人が集まるから、
話も進めやすいね。みんな良くできる人やし。
それに、こういうことは若い人が引っぱっていくのがいいよ。
年寄りがあれこれ言うのはよくない。
だから僕はマネジャーをやってるんやけど(笑)」
最後に、このプロジェクトで
マーケッターとして活躍してきた後藤さんと山縣さんにも話を伺いました。
後藤:
「NGOや単発のボランティアは経験があるんですけど、
地域貢献もプロボノも初めてで、当初は『この進め方でいいのかな?』と不安に思いながらやっていたところがありました。
マーケッター4人で『分からへん』って右往左往しながら…。
振り返れば、面白い経験になりましたが(笑)。
職種もバラバラなメンバーがチームを組んで同じプロジェクトに取り組むことで、
学んだことはたくさんありましたね。
トップダウンの仕事と違って、関係がフラットなので、
全員で話し合って物事が進められるというのも、私にとっては新鮮な経験でした」
山縣:
「異業種交流会みたいな場に参加したことはありますけど、そういう表面的な関係ではなく、深く、そしてゆるく繋がれる関係性がいいなと思いました。
NPOの前向きな人たちと関わることができたのも良かったですね。
地域にはこんな方々がいるんや、と発見できたというか。
ただ単に『ホームページを作りたい』でなく、
いろんな人を巻き込んでいこうというこの地域のパワーと、
プロボノが入ってきたことで『何かやってくれる、それはきっといいことだ』という期待感に触れて、やりがいも感じましたね」
プロボノワーカーたちに話を聞いて感じたのは、
ボランティア活動を単なる奉仕活動ではなく
「自分にもメリットがある」という意識を持つ人がほとんどだということ。

また、職種も年齢もバラバラなメンバーがチームを組んでひとつのことに取り組む。
そこで生まれるフラットな絆は、一生ものの財産だそうです。
そうして第2、第3の居場所ができていくのがプロボノの醍醐味でもあります。
と同時に、
いろんな人を巻き込んでいこうする地域のパワーと、
プロボノが入ることで「何かやってくれそう」という期待感もひしひし。
サービスグラントでは常時、
プロボノワーカーを募集しているので
まずは説明会に参加するなどして、是非チャレンジしてください。
さらに、自ら地域、NPOをつないでいきたいという意欲がわけば、
事務局スタッフへの道もあり。
金銭的な損得勘定を超えた「仕事」のとらえ方に風穴をあける、新しいムーブメント。
プロボノから新たな社会貢献に挑みましょう。
(取材:小我野明子 撮影:沖本明 コーディネーター:喜多舞衣)
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