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プロローグ
「“障害があっても、住み慣れた街で暮らしたい”そんな、障害を持った人の思いを応援する団体です」開口一番そう語るのは、代表の石倉優子さんだ。実は彼女自身、脳性麻痺・体幹機能障害があり、車椅子生活をされているということもあって、その言葉には重みがある。
石倉代表のように、障害者がまちで生活し、働き、社会参加していくには、介護を含む多くのサポートが必要だ。そのため、“あらゆる生活の場面においてのサポート”を確保するために「地域とどうつながりをつくっていくか」が課題となってくる。その課題に取り組むため、2000 年にサポネが設立されたというわけだ。
現在は、身体・知的・精神の障害のある児童を含めた約100名の利用があり、13名が自立生活をされている。さらに「障害があっても住み慣れた街で働き、遊び、暮らしたい」という理念を実現するため、24時間365日のヘルパー派遣を主軸に置く。そのうえで、当事者主体のイベント事業や、サポーターの研修会などを行う『サポネ・カレッジ』事業、誰もが楽しく過ごせる宅幼老所『サポネの家』事業、ネットワーク事業、障害者と登録サポーターの間に立つ生活コーディネート事業の、合計6つの事業に取り組んでいる。
今回募集するのは、ヘルパーと利用者をつなぐ「コーディネーター職」と、アルバイトの「登録サポーター」だ。入社後は研修を経て、6つの事業のいずれかに配属される。そして2年目以降には、本人の希望や適性を踏まえた配属へとステップを重ねる。例えばコーディネーター職の秋山泰子さんの場合、勤務時間の8割ほどは介護の仕事をしながら、2割の時間はサポネの広報を行っている。
サポーター主体ではなく、利用者主体の考え方へ
新卒で採用された秋山泰子さんは、未経験から介護ヘルパーの世界に飛び込んだ。「農学部出身だったのですが、周りの友だちは食品会社などの大手企業に就職を決めていました。そんなで、私自身、就職活動では”ここ!”という企業になかなか出会えなくて、お金とか売り上げの世界にどうしても魅力を感じませんでした」
親が障害者と接する仕事をしていたため、家族の会話の中では、“障害者が身近にいる世界”が日常だったこともあり、何社か障害者へのヘルパー派遣を扱う事務所を訪問した。その中にあって、『サポネ』を選んだ理由は、“全員から介護っぽさが感じられなかった”からだという。
「実習や面接のとき、スタッフや利用者さんが、自分を飾りすぎるわけでもなく、かといって恥ずかしがるわけでもなく、ともに“自分らしく生きている姿”を目の当たりにしたんです。そしたら自然と“わたしもそんなふうにキラキラと生きたい、やさしさの連鎖をつくっていきたい、と思えて、それでここを選びました」
そんな秋山さんの”ある一週間のケース”を紹介することで、サポネの現場感覚をつかんでもらいたい。
月曜日は、重度障害者A さんの泊まりサポートからはじまる。着替えや顔洗い、歯磨き、人工呼吸器の装着などをサポートし、利用者さんと同様に就寝。利用者さんが起きる30 分前には朝の下準備をするそうで、「利用者さんがほっとされた表情や楽しそうな姿をみると、やりがいを感じます」と秋山さん。
火曜日は、夜勤から帰った後仮眠を取り、重度障害者のBさんと一緒に登録サポーターに運転してもらうワゴン車に乗り、整骨院に通院するためのサポートをする。水曜日はお休み。
木曜日は、脳性麻痺の障害をもったC さんの買い物や食事サポートをする。「Cさんは言語障害があり、指文字を膝に書いて私とコミュニケーションされます。文字を読み上げて、わかるまで本人に確認するようにしています。ずっとわからなかったことが、ある日突然わかったときはうれしいですね」
金曜日はD さん、E さんの介護サポートを2軒こなしたのち、合間に事務作業の時間があり、この時に広報の仕事を行うようにしている。例えば、地域の方に『サポネ』のことをもっと知ってもらうため、「サポネ通信」と呼ばれる小冊子を編集して配布したり、学校や地域の会館で行われる石倉代表の講演会をサポートするために準備を整えたり。そして土曜日は、重度障害者F さんの外出サポートを行い、日曜日はお休み。といった具合だ。週によって小さく変わることもあるが、だいたいの予定は決まっているという。
「実は、石倉代表も実際に『サポネ』のサービスを利用されていらっしゃるおひとりで、2年以上泊まりサポートをさせてもらっているのですが、お宅に訪問してもリラックスして過ごさせてもらっています(笑)何度も訪問させてもらっているうちに、利用者さんとお互いにリラックスできる関係になったときに、やりがいを感じますね」
とても楽しそうに語る秋山さんだが、実は一度、この仕事を辞めようと考えたこともあるのだとか。「仕事をはじめた最初の頃の私は、“こうしなければいけない”というガチガチの考え方のカタマリでした。利用者さんと一対一の関係で接している時間が長いからこそ、自分の嫌な面ばかりが見えてくるんですよね。その時はきつかったし、苦しかったし、泣いたし、“辞めたい”と思ったのが1年目です」
例えば、カレーを買うためにスーパーマーケットに行っても、何を買うか迷ったり、そもそもカレーにするかどうかで迷ったりしている利用者さんの様子を見ると、「もうこれに決めたらいいやん!」と思うことがたくさんあったという。
先輩に相談すると「それは、あなたからみた“サポーター主体”の考え方になっている」と叱られた。利用者の立場で考えれば迷うのは普通だと言われつつも、自分の視点を上手に変えることが難しかったという。でも、辞めることから踏みとどまれたのは、自分が成長したかったから。そして自分の成長を見守ってくれる先輩たちがいたのも大きい。『サポネ』では、肩書きや年齢の上下関係に関係なく、叱ってくれる人や励ましてくれる人がたくさんいるという。面倒見の良い仲間が多いことも、サポネの魅力のひとつだと秋山さんは語る。
「相手の反応は、自分が変われば自ずと相手も変わるかもしれないし、そう考えると、まずは“自分が良い方向に変われば”と、今は思っています」
障害のある利用者と、どういう言葉で接していいのかわからなかった。
一方で、いわゆる転職組として『サポネ』に加わったのは、中谷旭善さん。映像系や旅行代理店の仕事をしていたが、東北地方太平洋沖地震をきっかけに、「自分の趣味趣向で仕事を選ぶのではなく、誰かの役に立つ仕事に就こう」と、医療系メーカーの営業職に転職した。
「大きな総合病院などを中心に、営業に行っていました。医療系酸素を扱うメーカーだったのですが、その現場で見かけたヘルパーさんたちが、なんだかかっこよく見えたんです」
そんな想いを抱いたことから『サポネ』に転職後、重度訪問介護とヘルパー2 級の資格が取得できるまでの間は、宅幼老所の『サポネの家』に配属された。『サポネの家』とは、赤ちゃんからお年寄りまで、障害のある人もない人も誰が集える地域の家であり、安くてゆったりとできるカフェや縁側のある和室などがある。ちなみに、資格の受講は勤務扱いで必要経費も全額補助される(登録サポーターの場合は半額補助)のも嬉しい制度だ。
中谷さんの最初の仕事は、『サポネの家』で知的障害をもった利用者さんと、お絵かきすることだった。はじめは、今までの社会生活において経験のなかったことのオンパレードで、どういう言葉をかければいいのかわからなかった。でも、介護の仕事をはじめてから、自分が変わっていくのを感じたという。例えば、豊中のまちを歩けば、障害をもった知り合いにあうようになり、自然に「バイバーイ!」と手を振ることが多くなった、という。
「そんなふうに、まちで声を掛け合う生活なんて今までなかったですね。これまでのサラリーマン生活では、コミュニケーションをとらなくても、極端に言えばノルマさえこなしていれば問題なかった。でも、今思えばその状況って、“あまりにも感情がなかったな”と、この仕事を通じて痛感しましたね」
そうやって過去を振り返り、自分が変わっていくことに喜びを感じている中谷さんだが、一見関係のないような過去の海外旅行経験も、実は『サポネの家』で活かされている。
「近隣住民の方に『サポネの家』がどんなところを知っていただくために、“異文化交流会”を企画しました。日本に住んでいるベトナムの方と一緒に、ベトナム料理をつくったり、ベトナム語講座をやったりしたのですが、思った以上にたくさんの方に来ていただけました!」
こういったイベント以外にも、『サポネ・カレッジ』事業と呼ばれるサポーターのための研修会があり、腰痛予防や栄養管理、医療的ケア、カウンセリングなどについて、講師を招いた学びの場を実践している。また、最近ではサポーターだけでなく、ひとりでも多くの人にサポネに関わってもらえればという思いで、防災やまちづくりなど幅広いテーマで開催し、地域とのつながりづくりにも着手しはじめているところだ。
『サポネ』が掲げる理念にあるように、「家族や親族だけが介護するだけでなく、みんなで支える社会にしていきたい」という思いが事業の背景にある。
そんな中谷さんにも、実は心に残る“失敗談”がある。それは、移動介助での出来事だ。利用者さんは身体障害者の方で、呂律が回らないときもあるがコミュニケーションは充分とれる。車椅子を押して駅改札に向かうと、駅員さんが「どこまで行かれますか?」と聞いてきた。スロープの準備を到着駅に連絡するためだ。
「駅員さんの中には、障害者とどう接していいのかわからず、ヘルパーに向かって話しかけてくる人もいます。それで条件反射的に“三宮駅まで行きます”と、私が答えてしまったんです。すぐに利用者さんから“お前が答えるな!”と、その場で怒られました。まったくそのとおりで、利用者さんが答えられることなのに、できることを先回りしてしまった。意識しなければボディガードのように必要以上に動いてしまうことが、最初の頃は多かったですね」
介護の現場はひとりだけど、ひとりじゃないから安心。現場に出るとひとりになるが、「それでも心細くはない」と中谷さん。例えば、多動性障害のある利用者さんと動物園に行ったときのこと。
「ちょっと目を離したすきに利用者さんを見失いました。仕事用ケータイのメーリングリストで状況を知らせると、みんなから返ってくるレスポンスが速いんです。もしかしたらゴリラを見ているかもしれないよ”とか、以前にその利用者さんのサポートをした先輩方から経験談が集まってくるんです。その結果、事故にはいたりませんでした」
介護の現場では、ひとりだけど、ひとりじゃない。現場に出ても仲間が助けてくれる。だから、安心して「自分のような未経験の方でも勇気をもって飛び込んできてほしい」と語る。そんな中谷さんの今後の目標は、介護の制度について熟知することだとか。
「現場にお金のことや制度のことなどについて、“働く上でも気にしなくていいように”と、良い雰囲気づくりをしてくださっているのですが、それに甘んじずに制度のことを理解しておきたいです。というのも年々介護の制度が変わっていくので、利用者さんの親の不安などに応えられるにしておきたいんです」
『サポネ』では、秋山さんや中谷さんのように、福祉系で学んだ経験のない方が多く活躍している。しかも、離職率も少ない。
ここで、代表の石倉さんからのキラーパスが飛びわかったことだが、今回コーディネートを担当してくださったスタッフの世古口敦嗣さんも、同じく未経験でこの業界に飛び込んでこられたそうだ。
「僕はもともと映画や音楽好きで、ずっと配給会社に行きたいと思って就職活動していたのですが、全部ダメでして…。実家が工務店なので“後を継がないか”と言われていたのですが、どうしても嫌だったんです。その理由として、どこかの内定が必要だと思って、はじめは“介護だったらすぐ見つかるだろう”くらいの気持ちだったんです」
そんな軽い気持ちで面接を受け、選考に合格した後の実習として、電動車椅子に乗った脳性麻痺の方と一緒に夕食を食べに行く、という同行研修までしたのだそう。「カウンター3席ぐらいの狭いお店で、どう考えても入口から車椅子では入れない店に入ろうとするんです。そしたら利用者さんが、自分でマスターに交渉して扉を外してもらい、カウンターに入って見事夕食を食べることができたんです。それを見たときに、“こういう方を支援したら刺激になるな”と感じました」
サポートしていくうちに障害者の現状がわかり、この仕事がやりがいであり、むしろしなければいけないこと、“ライフワークにしていこう”という気持ちに変わったそうだ。
最後に改めて、石倉代表に採用に関することを聞いてみた。
「介護経験がなくても問題ありません。いろんな個性を大事にしたいので、“なにごともポジティブです!”という方ばかりを求めているわけでもないですから。利用者さんの中には、悩みやすかったり自信がなかったりする人もおられるので、同じテンションに寄り添える方のほうが合うかもしれない、と思うときだってあります」
実際、サポーターから社員となって、現在は主務者として活躍されている方がいるが、もともとは引きこもりで、人に会うのが苦手だったという。それが、あるときパソコン操作が上手だということを他のサポーターやスタッフが発見し、仕事を任せてみると、メキメキとそのスキルを発揮した。そうやって少しずつ経験を重ねて自信を持ち始め、成長していったという。
「人を支えることで反対に自分が元気になり、成長していく方がたくさんいらっしゃいますね」
確かに前述のサラリーマンから転職した中谷さんのインタビューでも、介護の仕事に就いたことで、逆に元気をもっているように感じた。
そうやって、利用者さんとヘルパー、ともに元気をわかちあう“相乗効果”が生まれていることもたくさんあるそうで、なんと石倉代表自身も、スタッフの世古口さんから夢を叶えてもらったそうだ(!)
「私は音楽が好きで、習い事をしてみたかったんです。そしたらスタッフの世古口くんから“夢、叶えましょうか?”と言われ、私がボーカルで、彼がギターとキーボードをやってくれて。スタジオや家でも何度か練習したんですよ。それで、サポネのクリスマスイベントで演奏しました(笑)うれしかったですね。こんなふうに障害のある人もない人も、いっしょに遊んで、働いて、暮らせる世の中になれば、みんな元気をもらいあえると思うんです」
『サポネ』の利用者は、個性的で力強い。だから、関わり続けると、生きる力がわいてくる。このサポネの仕組みがまち全体に広がれば、きっと暮らしやすいまちのモデルケースになりそうだ。
Job description
募集職種
- 企業名・団体名
- NPO法人 障害者の自立を支えるサポートネットワーク(サポネ)
- 募集期間
- 2017年5月18日(木)〆切
- 募集業種
- 1】コーディネーター職
介護、事務、利用者とサポーターの調整
イベントや研修の運営など
2】介護職(登録サポーター)
派遣/利用者の外出サポートや家事サポート
入浴介護など、障害者の生活を支える仕事です。
生活介護/障害者デイサービスでの仕事です。
- 雇用形態
- 1】コーディネーター職
正社員(豊中市に引越することが採用の条件です)
2】登録サポーター
アルバイト
- 応募資格
- 未経験可(仕事に必要な資格の取得に掛かる費用の補助あり)
1】コーディネーター職
無資格でも可
2】登録サポーター
介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)や重度訪問介護従業者資格、介護福祉士など介護の資格所有者
- 勤務地
- 大阪府豊中市周辺
- 勤務時間
- 1】コーディネーター職
シフト制(9h拘束で1h休憩)
(例:9:00-18:00、13:00-22:00、20:00-翌9:00)
週1回程度、泊まりサポートがあるかもしれません。
2】登録サポーター
働きたい時間帯や曜日など応相談(週1回でも可)
- 給与
- 1】コーディネーター職
195,000 円+各種手当て
(年1回昇給。賞与あり1~2回/年)
2】登録サポーター
時給890 円~1250 円(有資格に応じて変動します)
- 休日・休暇
- 1】コーディネーター職
週休2日制・年末年始休・盆休・慶弔あり
2】登録サポーター
シフトによる
- 待遇
- 交通費全額支給・社会保険・雇用保険
資格取得に掛かる費用の補助制度
コーディネーター職のみ
育児休暇・介護休暇・出産休暇
- 採用予定人数
- 1】コーディネーター職 2名
2】登録サポーター 若干名
- 選考プロセス
- 1】コーディネーター職
①本サイトからエントリー後
履歴書を当法人にご郵送ください。
(大阪府豊中市本町1-13-34 チェリオビル3階)
※お送り頂いたものはお返ししておりません。
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②書類審査後、全員に採否の結果を連絡。
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③お電話にて面接日時を相談の上、決定。
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④面接を実施(随時)
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⑤面接終了後、全員に採否の結果を連絡。
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⑥お電話にて実習日時を相談の上、決定。
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⑦実際のサポート現場での実習あり(計2回)
※実際に障害者支援の現場を見て体験し肌で感じて頂き本当に働きたい仕事なのかを考えて頂く機会と思っています。
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⑧実習終了後、全員に採否の結果を連絡
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⑨採用後、事務所にて採用の手続きなど予定
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⑩勤務開始(新卒:来年4月から 中途:要相談)
2】登録サポータ―
①本サイトからエントリー後
履歴書を当法人にご郵送ください
※お送り頂いたものはお返ししておりません
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②書類審査後、全員に採否の結果を連絡
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③お電話にて面接日時を相談の上、決定
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④面接を実施(随時)
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⑤面接終了後、全員に採否の結果を連絡
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⑥採用後、事務所にて採用の手続きなど予定
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⑦勤務開始
- メッセージ
- 「介護の仕事を通して、社会を変えることができる」
僕には夢があります。サポネを通して、障害者が暮らしやすい社会を実現したいという夢。
介護の仕事はこれからの社会を創りかえるチャンスがあると思います。社会を少しでも変えたい人、募集しています。未経験でも大丈夫です。
充実した研修システムと手厚いスタッフ同士の関わりがあり、不安を安心に変える環境がサポネにはあります。
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