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「学ぶ」、「働く」、「生きる」ということ。
「生きている限り、日々勉強だ」なんて言葉は、小さい頃、”大人からよく聞かされた言葉ナンバー3”くらいに入るんじゃないか?と思うくらい。
それくらい、誰もが同じように言われてきたであろう言葉、ではないでしょうか。
でも、その勉強が ”点を取るための勉強”から”生きるための勉強”に変わったのは、
一体いつの頃からなんでしょう。大学生?社会人?
「今がそのタイミングですよ」と、指差しで教えてもらった経験は、実は誰もないはずです。
そう考えてみると、学校での座学は、”教えてもらう”という前提の元にあるもの。
でも、実際の社会は、待っていたって誰かが何かを丁寧には教えてくれることは、少ない。
だったら、そこから一歩すすんで、やりがいや生きている実感を、
より自然に、より主体的に感じるにはどうしたらいいだろう?
そんな命題を掲げ、「学ぶこと」、「働くこと」、「生きること」を
ゆるやかにつなげているのが、今回訪れた『NPO法人JAE』です。
正直なところ、オフィスを訪ねるまでは「ちょっと堅い雰囲気のオフィスかも」
なんて勝手な印象を持っていたのですが・・・、
目の前に現れたのは、予想に反して、手馴染みの良さそうな木があたたかみを醸す空間。
そこで、「どうも、こんにちは」と声を掛けてくださったのが、代表の坂野 充さんです。
その一声を聞くだけでも、なんだか、人を威圧することのない穏やかな空気感が伝わってきます。
さっそくJAEが掲げる「学ぶと働くをつなげる」という話から、うかがっていくことにしました。
「もともと、仕事や社会を体験できるプログラムを、塾のようなスタイルの中で立ちあげたことが団体のはじまりです。それが今の小学生向けキャリア教育プログラムや、大学生向けの長期実践型インターンシッププログラムにつながっています。その根底にあるのが、子どもや若者たちが仕事もしくはそれに類する体験や学びを通じて、”自分で考え、自分で切り拓いていく”という力をつけてもらいたい、ということですね」
なるほど、そう聞くと「学ぶ」と「働く」が、あっさりつながってしまった気がしますが(笑)、
それはつまり、”将来働いている自分像”を想像することが、ゴールなのでしょうか?
「そうですね、例えば大学生インターンを例にとると、
インターン先で働く自分をイメージして、そこに就職することが“目的だ”と思われがちですよね。
でもね、実際のゴールはそこじゃないんです」と、坂野さん。
創業からおよそ10年間、これまでにインターンに参加した学生数700名、参画企業数300社ほど。
実際の企業で、社員と同じように営業や商品開発を通じながら、企業の抱える課題解決をしていくこのプログラムでは、その経験をもとに、自分で会社を興した学生、裁量権のある中小企業やベンチャー企業に就職する学生も多いといいますが・・・
「背景にあるのは”自分が向いていること”や”どんなことがやりたいのか”という
潜在的な自分の内面が、徐々に明確になっていくということなんです。
それは、何かを実践してはじめて、そのプロセスの中で形成されていくものなんですよね」と、
これまたじっくり言葉を選ぶように話します。
それは、坂野さん自身が、大学生のときにインターンシップを経験したことがあるから。
想像するだけならその場で終わってしまうけれど、
実践することで”自分が社会のどこの部分で機能していけるだろうか?”と
真剣に考えざるを得ないことを、身をもって学んだといいます。
「ただ、インターンシップという言葉ひとつをとってみても、
大学生たちからすれば、得体のしれない社会に、一歩踏み出すための”社会実験”のような感覚。
一方で、日頃、若者と接点のない中小企業からすれば、”遊びじゃないのに、
学生が金をもらわないで仕事する意味がわからない!”っていう感覚の企業もまだまだある。
それを聞いて、やっぱり認識のズレがあるんだなって思っちゃいますよね」
たしかに、この認識のズレこそが、いつの間にか目に見えない溝になって、
“企業と若者がわかりあえない平行線”をつくってしまっているような気もします。
だからこそ、「学生側の意識だけでなく、企業自身も“学生になにを提供できるのか?”
という意識を持つことが必要になってきているんです」と、坂野さん。
そこで、今回募集する『JAE』のコーディネーターの出番というわけなのです。
ひとくちにコーディネーターの仕事といっても、
関わるファクターは、小学生から大学生、学校の教職員に、企業の経営者や社員たち、
そして地域の住民までと、本当にさまざま。
そのうえで、入社すればどこかのチームに属することになりますが、どの事業担当になろうとも、
かならず「人」と「企業」をつないでいくことが、全ての軸になるといいます。
黒子に徹することで生まれる、本当の親心。
「それでね、主に大学周りのコーディネーターを担当しているのが、もっさんなんですよ」
と、坂野さん。
すると、オフィス奥のデスクゾーンからふらりと現れた、知的そうな男性。
この人こそ、「自分の進もうとしてたベクトルとJAEのベクトルが完全に一致して」という、
まるで相思相愛のドラマのような想いを実らせた、山本幸一さんです。
山本さんは4年前に入社し、地域でのキャリア教育コーディネーター、JAEの事務局長を経て、
2013年からは再び現場に復帰。今は、主に大学生向けの「アントレターン」のコーディネーターとして、企業や学生をつなぎながら現場を飛び回っているといいますが、
インターンは1年近くかけて事業設計をし、そこから実際の運営やフォローを重ねていくので、
一人につき10社担当するが限度だ、といいます。
「僕たちのメインビジョンは、学生や若者が、自分の人生に”夢”とか”誇り”とか”希望”を持って生きていけるか?っていうところにあって、それを真剣に考えているんです。
だから、受け入れの企業数が多ければいいという問題でもない。
ただ、教育現場も意識を持って変わっていかないといけないし、若者がこれから出ていく”社会”自体も整えていかなきゃいけないと思うんです」
そうアツく語る山本さん。
なるほど、たしかに“理想の社会像”ならば、とてもよくわかる話なのだけれど・・・
ただ、これほどまでに山本さんが強く思う理由って、なにかあるんでしょうか?
「僕ね、20歳のとき、成人式で地元の友達と再会したんです。
久しぶりで嬉しかったんですけど、でもいつの間にか道を外してる友達も、何人もおったんですよ。それが、僕の中では衝撃やって。オギャーって生まれた瞬間は同じで、小さい頃も一緒に遊んでたのに・・・
“今の自分と相手は、どこで違うようになったんやろ?”って思ったときに、
それは家庭環境や人の存在が大きいってことを、その瞬間に思ってしまったんですよね」
と、山本さん。
だからこそ、学校教育だけじゃなく、地域社会の中でこどもたちが育っていく環境を、
みんなが手を取り合ってつくっていかないといけないな、と思ってしまった。
その想いから、自分の生まれ育った地域で寺子屋や塾の経営をした経歴があるんだそう。
また、「これ去年の話なんやけど」と教えていただいたエピソードでは、
とある会社で、ECサイトのWEBマーケティングのインターンシップをしていた学生に対し、
なんと半年間のプログラムが終わる3日前に、その学生をクビにしてしまった(!)んだとか。
仕事は成果を挙げたけど、最後の最後で力を抜く性格を見かねての、断腸の思い。
一見厳しいようだけれど、「社会に出てから適当なことやってたら、
“はい、さようなら”ってそれで終わりじゃないですか。誰もフォローしてくれない。
だから僕も企業側もすごい悩んだんですけど、一緒に相談して・・・それでやむを得ず、
でもあえてクビを宣告しました」と。
もちろんその学生は大号泣だったそうだけど、
「この機会がなければ、きっと自分のそんな部分を見つめ直すことなんてなかったと思います」と、あとから感謝されたといいます。
そんな山本さんの言葉を聞いていると、「~してしまった」というワードが何度も出てきます。
しかし、それは決して悲観的な口ぶりではなく、
”前を歩いている人が物を落としたから、思わず拾ってしまった”というような、
なんとも自然な流れであるように。
「今思えば、成人式の日に感じたことを”使命”と呼ぶんでしょうね」と語る山本さんをみていると、「人には天職というものがあるんだな」と、つくづく考えさせられます。
自分らしく生きる、選択肢の自由。
そんな山本さんの話を受けて、代表の坂野さんは、
インターンは、企業と学生の成長を計る”リトマス試験紙”みたいだ、といいます。
「お金をもらってるから仕方がない、お金を払っているから当たり前という、
社員だったら通用する”双方の割り切り”が一切通用しないですからね。
お金が目的じゃない分、やりがいや目的でしか計ることができない。
いわば、”精神的な報酬”なんです」
そうなってくると”何を得て、何を与えられるのか?”という、
本当の意味で「働くとは?」という課題に、正面から向き合わざるを得なくなりますよね。
「そう考えると、どこに住んでどんな仕事をするかっていうのは、多様であるべきだなと思うんです。そして実は、僕個人としは大阪ってちょっと住みづらい。
田舎にいきたいなって思ってるんです(笑)」と、坂野さん。
ここにきて、いきなりの爆弾発言ですか?と思いきや(笑)
坂野さんは、都会の生きづらさを ”働くと生きるが分断されているから” と表現されます。
「例えば大阪市内で働いている人が、全員大阪市内に住んでるわけじゃないですよね。
ということは、生活圏と働く場所が完全に切り離されていて、どちらの場所においても、周りとの関係性が薄くなっている。だとしたら、”人の関係性が密な場所”を、心地よく思うのもわかるし、地方で働くことが自然な選択肢のひとつになればいいなって思うんです」
“最初から最後までやる”ことで、見えるもの。
そういう意味では、いまよく耳にする「地方で暮らす」という選択肢は、
心理的な意味でも、物理的な意味でも、都会に比べ、いろんな距離が近しい気がします。
だから、「こんな事業までやってるの?って意外に思われることもあるんですけど」
と紹介してくださったのが、中小企業庁からの委託を受けて
2015年2月にJAEが事務局を担当した「地域仕掛け人市 in 大阪」。
西日本各地の魅力あるまちで、先進的な取り組みをしている地方暮らしの先輩と、
地方暮らしをしたいと思っている参加者が、交流できるイベントを開催したといいます。
この事業をメインで担当したのが、入社2年目を迎える小澤香菜さん。
一見すると、華奢で大人しい方なのか・・・と思いきや、
前職は不動産関係でバリバリ営業をこなしていたキャリアウーマン!
しかも、この事業の担当になったいきさつが、「気になっていたプロジェクトだったので、
すぐに”担当させてください!”と代表にメールしておいた」というから、
その溢れるバイタリティにちょっと驚いてしまいました。
もともと、自身も大学生のときに別の場所でインターンシップを経験していたそうで、
とある地域のまちづくりに関わっていたことが、手を挙げたそもそもの根本。
だから「地域で暮らす」ということに興味はあったし、
このイベントが定員の200名を大幅に越える参加者が集まった大盛況ぶりも、
大きな手応えを感じたといいます。
「出展団体も参加者も、その場に集まった人たちは面白い人ばかりでレベルも高かったし、
地方は“資源のあるなし”じゃなくて、“面白い人”がいれば、地域って活性化できるんじゃないかな、って思いました。でも一方で、あの場にまだ来れていない地域や人ってまだまだいるんです。
そういった“これからの可能性を秘めている地域や団体”こそ、もっとサポートすべきなんじゃないかと、思うようにもなりましたね」と、小澤さん。
それって、なんだか社会に出るまえの学生や、
働くことに迷ってる若者をサポートするところに、重なる部分がありませんか?
「そう思うのも、たしかに自分がインターンをしていた経験が大きいですね」と、きっぱり。
インターンの時に、国交省の職員の方々と接したことで、一時は国家公務員を志していたものの、
先輩の話を聞く中で“やっぱり違うな・・・”という結論に至った小澤さん。
社会に出る前は、ただただ想像で“かっこいい仕事”に憧れていたけれど、
実際に動くことで“自分が好きなこと”と“憧れる仕事”は違うということを痛感したといいます。
「条例や法令をつくって終わりとか、分析してリサーチしてコメントを書いて終わり、
じゃなくて、私は“最後までやり通せる人”になりたいと思ったんです。
だから、例えば今の仕事でいうと・・・午前中に企業との面談スケジュール調整やインターン希望の学生と面談をする。午後は企業でインターン報告会をしたら、また社内に戻ってきて、最後に学生向けのセミナーを運営する、みたいな感じですね」と、なんともあっけらかんと語ります。
「やっぱり現場に足を運んで、自分が“事を起こせるプレーヤー”になりたいんです。
好きなことなら全部自分でやりたい。
そのほうが楽しくないですか?」と、にっこり笑う小澤さん。
何かに本気で向き合うためには、待ってるだけじゃなくて、自ら環境を掴みとっていく。
その道中にはきっといろんな痛みがあって、そこから自分なりに成長していくことこそが、
“生きるための勉強”に他ならないんだろうな、と思わざるをえません。
どんな人にも、かならず“可能性のタネ”がある。
最後に、坂野さんと山本さん、小澤さんに集まっていただいて、
「みんなが考える『JAE』らしさってなに?」と、疑問をぶつけてみることにしました。
坂野
「ベクトルで表現するなら、おおまかにいうと同じ方向の中にいると思うんですよ。
でも、関わる人が多様だから、僕らが完全に同質になりきるのは違うと思うんです。
より自分が関心を持っているところとか、こうなりたい理想像っていうのを、大事にしてほしい。
でも、広い意味で“若者”や“社会”をみるときに、JAEが掲げてる共通の価値観を持っている。
これがないと、多分どこかで無理が生じてくると思いますね」
小澤
「あ!そうだ、わたし、いま『JAE』の共通する価値観思い付きました!
“人の可能性を信じていて、それをサポートしたいと思っている!”
小学生でも大学生も、相手へのリスペクトがあって将来性をすごく信じてる。
どうですか?みんな、そんな感じじゃないですか?」
坂野&山本
「おおっ!なかなかのドヤ顔やなぁ!」
「なんや、その“言うたった”感は(笑)そのとおりやけど」
なんだかコントをみているかごとく、誰かがボケて突っ込んでいくこのやり取り。
実際、代表の坂野さんも、「僕、みんなの雑用係なんで(!)」と
さらりと言えちゃうこの関係性は、傍から見ていても、風通しのよいフラットな環境にみえます。
「肩書き、権威、オフェンス、ディフェンスとかで判断するんじゃなくて、
各自が力を発揮できる場所って必ずあるはずです。だから、正直、どんな人でもいいんです。
その人なりの役割があると思うんで」と、坂野さん。
だからルールで縛ることになんの魅力も感じない、ともいいます。
しかし、言い換えれば、“自分自身のマネジメント”が何より必要になる組織だということ。
「どこまでどうするかは自分次第」という坂野さんの言葉は、
“人に向き合う以前に、自分自身と向き合う覚悟が必要だ”
といっているようにも、聞こえるのでした。
だからこそ、人に関わる仕事に、終わりはありません。
例えるならば、永遠に広がり続ける波紋みたいなかんじでしょうか。
その中心に『JAE』がいることで、アツい志を伝播させ、
ワクワクの波紋がいろんな人や場所に広がっていく。
どんなに小さな波でも、必ずそれは次の波へと伝わっていくものだから。
だとすると、楽しく生きる未来のおとなを増やしていくために、
次の新しい波紋をつくるのは、これを読んでいるあなたかもしれません。
【記事を読んで、NPO法人JAEに興味が湧いた方はぜひイベントへ!】
9月21日にハローライフで開催する「ホンネで話せる夜の合説〜NPOというキャリア編〜」にNPO法人JAEが出展します。少しでも気になる方は、ぜひお話を聞きにいらしてくださいね!
Job description
募集職種
- 企業名・団体名
- NPO法人 JAE(ジャイー)
- 募集期間
- 2017年2月16日(木)〆切
- 募集職種
- コーディネーター職
①小中高対象
・小中高での企業と連携した教育プログラム導入、カリキュラム開発、学内体制づくり
・教職員向け研修(キャリア教育、カリキュラムマネジメント)
・地域内の連携体制づくり
②大学対象
・大学での実践型インターンシップ導入、カリキュラム開発、学内体制づくり、教職員向け研修
・若者がより活躍できる企業をつくるための社内研修、企業が相互に学び合う場づくり
・受入企業開拓のため他団体との連携
- 雇用形態
- 正社員(試用期間3ヶ月)
- 応募資格
- 未経験可、経験者優遇
- 勤務地
- 当法人オフィス
(大阪市北区万歳町4-12浪速ビル西館401A)
- 勤務時間
- 9:30~18:30(内、1時間休憩あり、残業あり)
- 給与
- 18万円~
経験・スキル等を考慮し、面談の上決定。
- 休日・休暇
- 週休2日制・祝祭日・年末年始・慶弔
- 待遇
- 通勤手当支給(上限15,000円)
社会保険、雇用保険あり
- 採用予定人数
- 2名
- 選考プロセス
- 1)本サイトからエントリー後、
履歴書・職務経歴書などを弊社まで郵送ください
※お送り頂いたものはお返ししておりません
▼
2 ) 書類審査後、通過者の皆様にのみご連絡
▼
3 ) お電話にて面談日時を相談の上、決定。
▼
4 ) 一次面接を実施
▼
5 ) 面談の結果を全ての方にお知らせし、
通過者は二次面接の日程を調整。
▼
6 ) 二次面接を実施
▼
7 ) 面談の結果を全ての方にお知らせし、
通過者は勤務日を決定
▼
8 ) 勤務開始
- 応募者への質問
- ※エントリーフォームの自己紹介欄にお書きください。
・あなたが課題意識を持っていることや実現したい社会像など関心のあることを教えてください。
- WEBサイト
- http://www.jae.or.jp/
- メッセージ
- 私たちの携わっている分野は、まだまだ開拓されていない領域です。
同じことを繰り返すことは少なく、日々新たなことにチャレンジできる環境です。
一緒に創っていこう!という人とお会いしたいと、ぜひ思います。
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