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ワヅカナジカン援農プロジェクトの求人サムネイル
2015.03.05 公開 2015.05.06 更新
ワヅカナジカン援農プロジェクト
”お茶の郷”に暮らしながら働く

※ハローライフでの募集は終了してますが、採用状況は各社に問合せください

地域との関わりで見つけた雇用問題


日本茶の高級ブランドとして全国に知られる、宇治茶。
その生産量の約4割を担うのが、京都府南部にある和束町だ。

大阪市内から電車に揺られること約1時間半。
JR加茂駅へ到着すると、「ワヅカナジカン援農プロジェクト」の発起人である山下丈太さんが、
ほがらかな笑顔で迎えてくださった。
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山下さんは、大阪府枚方市生まれ、和束町育ち。
大学入学とともにまちを離れ、社会人時代は競走馬育成牧場での丁稚奉公、
営業職のサラリーマン、学習塾の教室長など、様々な職種で関西を点々とした後、
2012年にUターンし、和束町雇用促進協議会の契約社員として入社。
コミュニティデザイナーという役割のもと、地域内外の人を繋ぐため、
また観光者や移住者促進のため、まちのPR活動をおこなってきた。

たとえば、町外から訪れる参加者に宿泊場所と食事を提供しながら、農作業や日曜大工、子どもの家庭教師を手伝ってもらうワーキングホリデーを実施したり、和束茶のPRのために地元農家と一緒に県外のデパートやスーパーへ赴いて催事に出店したり。
地域の方との連携なくしては、運営できないシゴトを数多く重ねてきた。
そうした交流のなかで、ふと沸き上がってきた問題を解決するべく、
2014年に「ワヅカナジカン援農プロジェクト」を立ち上げた、という。

和束町へ向けてハンドルを握る山下さんに、プロジェクトの経緯を訊ねてみた。
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「そもそもUターンのきっかけが、“2030年には和束が限界集落になる”という新聞記事で。
それを見たとき、町を元気にする仕事がしたい、という想いが芽生えました。
大学時代も社会人時代も、1〜2週間ごとに和束には帰っていたんです。
このまちには仲間がいるし、僕にとって居心地のいい場所だったから。
和束には電車が通ってないし、不便なところもあるんだけど、ここに帰ると、
違う世界へ来た感覚に陥るというか、時間がゆったりと流れていて、
あくせくせずに暮らす方がたくさんいる。都会なら顔を合わせてもしゃべらないことが大半だけど、和束の人はみんなに挨拶するし、ちょっとした話もする。そういう温かさがあるんです。

和束へ気持ちが傾いていた時期に、ちょうど和束町雇用促進協議会が人材を募集していて、
ポンと入れてもらった。地場の人の協力がないとできないシゴトばかりで、
付き合いを続けるうち、たわいないこぼれ話から、まちの問題点が見えてくるようになったんです。そのひとつが、とある製茶屋の社長さんから聞いた雇用の問題だったんです」
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和束町では、茶葉の育成から加工までを一貫しておこなう茶農家が大半だ。
“雇用の問題”とは、茶農家にとって繁忙期である春〜夏にかけて、短期雇用できる人材探しが困難なこと。人口約4,300人の町内だけでは、働き手が不足している。
かといって、京都市内や大阪市内から毎日通うには根気がいる山間地域だ。
そこで山下さんは、都市部から若者を集め、シェアハウス生活を送りながら茶農家で働くという
「ワヅカナジカン援農プロジェクト」を、様々な分野の知恵を借りながら編み出した。

プロジェクト2年目の変化


「ワヅカナジカン援農プロジェクト」は、5〜7月の3ヶ月間、
町内のシェアハウスで参加者が共同生活を送りながら、茶農家での収穫、
運搬、工場作業などのシゴトをおこなうというもの。
シェアハウスの準備や、農家と参加者とのマッチング、3ヶ月間のシフト調整などは、
山下さんを中心とした事務局メンバーが引き受けてくれる。

プロジェクト1年目である2014年は、3ヶ月間で計10数名が参加。
事務局メンバーの友人や農業経験者など、国内のみならず、海外からの参加者もいたのだとか。
各自シフトに応じたシゴトとなるが、概ね、朝8時に出勤し、夕方5〜6時には終業。
住まいは全員がおなじ1軒家だが、女性、男性それぞれでの相部屋生活を送るのだそう。
朝食・夕食は自炊で、昼食は週2〜3回のお弁当も出たという。
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2年目となる今年は、山下さんの独立に伴い、
新たに立ち上げる『ゆうあんビレッジ合同会社』を母体としながら、引き続きプロジェクトを運営。拠点となるシェアハウスは、なんと8つの部屋を持つ町営施設へ変わる予定だ、という。

施設に併設された立派な厨房を利用して、夜は“給食”が登場。
地元食材を使った、地元のお母さんたちによる手料理がいただける仕組みを始動させる予定。
また、昼食のお弁当も週3回きっちりと出るようになるということで、
個別の出費といえば、宿泊・保険代・週3回のお弁当代・給食サービス費などを含め、
月5万円を事前に支払うことと、各自が自炊する際の生活費くらいだ。
参加費以上にきちんと給料が入るので、仕事として稼ぐことができる。

町営施設の利用、町のおかあさんたちの出陣と、町全体のバックアップも、
昨年のプロジェクトが功を奏した結果。受け入れ体制は万全だ。

和束茶が生まれる現場


和束川の上流へ向かう道から車窓をみると、きれいに手入れされたモコモコとした茶木が、
山の急斜面に、規則正しく連なる。
その美しい景色に見とれていると、山下さんが車を停めた。
昨年、受け入れ農家としてプロジェクトに参加した、『渡辺製茶』さんの工場だ。
出荷前の茶葉がうず高く積まれた工場内へおじゃまする。
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渡辺製茶は、約8ヘクタールもの茶畑で、煎茶や碾茶など全8種のお茶を栽培している。
収穫した茶葉は自社工場へ運び、荒茶(あらちゃ)と呼ばれる一次加工まで製造。
その後は問屋へ卸し、さらに加工され、宇治茶として全国へ出荷される。
現在、四代目として茶園を守る渡辺俊明さんが、プロジェクトへ参加した動機は
やはり“雇用問題”だ。

「これまで繁農期は、パートやアルバイトを募集したり、友だちに声を掛けたりしていました。
でも、忙しい時期の人手探しは、ずいぶん苦労するんです。
まず、数ヶ月のまとまった期間に来てくれる人が見つからない。
しかも天候相手の仕事なので、“雨だから今日は休んでおいて”ということも時々あって…。
人出不足や、変動の多い現場のわがままを解決してくれたのが“ワヅカナジカン”でした」。

同プロジェクトで、茶農家と参加者の仲介役を引き受けるのが、山下さんを筆頭とする運営事務局。茶農家の要望をヒアリングし、必要な現場に参加者を送り込むべくシフトを組む。
そのため、茶畑での屋外仕事になるか工場内作業になるかは、各農家の状況に応じて変動する。
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「畑でお手伝いしてもらう作業は、畝から収穫した芽を、車、さらに工場まで運搬するのが基本。
慣れてきたら、お茶刈りもしてもらいます。工場では、製茶工程において、機械が順調に流れているかのチェックと、製品の計量、梱包、出荷準備などでしょうか。
屋内外ともに重労働だし、汚れるし、夏場は暑い。
それでも、去年は覚悟を決めてきてくれた方が多かったですね。
なかには海外での農業経験がある方もいて、こちらがいろいろと教えてもらいたいくらい、
刺激的な時間でした」

経験者は大きな強みだが、逆に未経験者でも大丈夫?
「すぐに覚えられる作業がたくさんあるから、問題ないですよ。
自然のなかで働きたい、という方に来てもらえたら」と、渡辺さん。
仕事の付き合いだけでなく、「メンバーの誕生日会や飲み会も、いい思い出」と、顔がほころぶ。
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「手間暇かけて栽培した新芽を、心を込めて製造して、出来上がったお茶をみんなと眺めて。
感動を分かち合えた、あの瞬間は嬉しかったですね。和束の茶畑は、急峻な山の斜面にあるのが特徴で、そんな困難な場所だからこそ、肥培管理をていねいにおこなって、愛情をかけて育てる。
大量生産ではなく少量多品種栽培で、昼夜の寒暖差ある気候がより美味しい茶葉にしてくれるんです。宇治茶の産地として評価されるのも、土地柄を活かしながら手間を惜しまない栽培にあると思います」

和束に生まれ育ち、誇り高くお茶作りに勤しむ渡辺さん。その姿からは、
農業のハウツーより、仕事に向き合う上でもっと大切な心を教えてもらえる気がする。

町を離れる寂しさから移住者続々!?


渡辺さんの茶園を後にして、まちの中心部にある「和束茶カフェ」へ。
店内に入ると、町内の茶農家から届く茶葉数十種(!)が勢揃い。
直売所兼町のコミュニティスペースで、実際にお茶を味わうこともできる。
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「和束町の茶農家さんの多くは、問屋さんへ卸して、直売はしていない。
けれど、みなさん誇りを持って作られているので、“和束茶”としての価値を見いだして、
もっと売り出していこうという動きがはじまっています」と、山下さん。

最近では山下さんの仕掛けで、農家数軒の「かぶせ茶」をブレンドした
「和束茶ブレンド」なる商品が誕生。
かぶせ茶とは、栽培の際に茶木へ寒冷紗をかけ、遮光した後に収穫をおこなう煎茶の一種。
試飲してみると、口に含んだ瞬間、ふくよかに広がる濃厚な甘みに、うっとり。
こんなに美味しいお茶を毎日飲めるの!?と、カフェで合流した矢守沙奈絵さんに訊いてみた。
矢守さんは、昨年のプロジェクト参加者のひとりだ。
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「シェアハウスで毎日飲んでいたのは、ほうじ茶。和束の人は、家庭ではほうじ茶を飲むみたい」。

矢守さんは滋賀県出身。元々、地元のレストランでホールスタッフとして働いていたが、
”好きなことをしよう”と退職。その後、facebookで同プロジェクトを知り、参加を決めたそう。
山下さんとタッグを組んでいた、プロジェクトメンバーのひとりと顔馴染みだったこともあり、
”おもしろそう!”という好奇心で、和束町へ来たという。

「(地元から)外に出たい!という気持ちがあって。
ただ、農業をやりたいっていう熱い想いはまったくなかった(笑)。
でも、ちょっとだけ(農作物を作る仕事を)かじりたい、知りたいという気持ちはあって。
農家さんのお手伝いが出来るし、共同生活も楽しそうやし、いいかなって」

男女がひとつ屋根の下に暮らす昨年のシェアハウスは、最大16名のメンバーがいたという。
なかなかの大所帯だ。
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矢守「朝7時頃に起きて、8時出勤。12時からお昼ごはんを食べて、
夕方5時か6時頃に終業、帰宅。
誰かがお風呂に入っている間、誰かが晩ごはんを作る。
みんな揃ってごはんを食べて、食後はライブ(笑)。
音楽好きのメンバーが多くて、楽器を持ってみんなでセッションしたりして、すごく楽しかった」
昨年は、参加者の大半が男性で、女性は2名だけだったそう。
男性陣にまぎれて、大変ではなかった?と心配するも、「全然!」と笑う。

矢守「むしろ、女子は2人で一部屋を使えたので快適。
男の子は10数人でひとつの大部屋だったので、ちょっと大変そうでした(苦笑)
でも、一番楽しかったのは仕事かな。

農家さんも、山下くんをはじめとするプロジェクトスタッフも、
いい人ばっかりで、環境が良かったんだと思う。
雨の日にカッパを来て泥んこになりながら作業したり、茶葉が詰まった重たい袋を運んだり。
しんどいこともあったけど、帰ったらみんながいて楽しい時間が待ってるしって(笑)
これまで夏は冷房がきいた場所で働く仕事ばかりで、
暑いときに屋外で働く人って大変やなって思ってたんですけど、やってみると全然平気だった。
夜はどっと疲れが出たけど、そのせいでぐっすり気持ちよく眠れました」
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プロジェクトを通して、和束での暮らしを満喫した矢守さん。
実は昨年のプロジェクト終了後、あまりの名残惜しさに移住を決意!
現在、町内の古民家で暮らしながら、隣町の木津川市内のカフェで働いている。

「たった3ヶ月の間だったけれど、その間に見慣れた景色が見れなくなることが寂しくて。
農家さんはもちろん、近所のおじさんとか年が近い友だちもできたりして、
みんなとさよならするのも寂しかった。和束町は、ほんとに優しい人が多い。
一番そう思ったのは、小雨が降っているとき、傘もささずにシェアハウスのメンバーと
帰ってたら、話したこともないお家の方が“あんたら、傘持っていくか〜?”って声を掛けてくれて。ナンボほど優しいねん!って(笑)。“珈琲飲んでいくか?”って言ってくださる方もいました」

プロジェクト後のIターン組は、矢守さんの他にも2名(!)いるという。
取材の途中、「ここ、好きな場所なんです」と、矢守さんが原山地区にある畑を案内してくれた。
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山の中腹から麓まで、茶畑が波のように続く大絶景。
山々に囲まれた平野部に目をやると、民家と茶畑、田んぼが織りなす、
まさに“茶源郷”と呼ぶにふさわしい景観が広がる。
たしかに、この清々しい景色のなかで働く経験をしたなら、
うしろ髪を引かれて帰れなくなるかもしれない。

ワヅカナジカンの、その先


「プロジェクトのいちばんの目的は、地域や地元産業の活性化。
いろんな方に来ていただいて、和束町のことを知ってもらいたい。
もうひとつは、田舎暮らしの新しい提案ができたら、と思っています。
“ワヅカナジカン”を体験いただくことで、このまちに限らず、農山村地域に住むのは不可能じゃない!という自信を持っていただいて、都市部の若者を田舎へどんどん引き入れたい。
プロジェクトが終わった後、“引き続き和束で暮らしたい”と思っていただけるのが理想ですね。

和束町は、シゴトがなくて出て行ってしまう若者が多い。
でも、こうした小さなコミュニティーのなかでも、もっと雇用を生み出せるかも知れない。
それもすごく楽しくて、充実したシゴトが生み出せるんじゃないか?って。
その実現に向けた第一歩が、“ワヅカナジカン”なんです」と、山下さん。

参加者には、プロジェクト期間中のサポートだけでなく、
終了後の仕事紹介や空き家探しにも、山下さんが相談にのってくれるという。
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最後に、山下さんはどんな方に来てもらいたいと思っている?

「まずは、田舎暮らしを考えている人。
スローライフって、田舎に行けば、さも“楽そうだ”みたいなイメージがあると思う。
でも実際は、都会より田舎のほうが圧倒的に大変なんです。
人間関係が濃密な分、自分の行動が、自分だけのものに留まらない。
良いことをしても、悪いことをしても、すぐに噂が立ちます(笑)
いきなり田舎に飛び込んで、そんな現実に打ちひしがれたら、
二度と田舎に足を踏み入れなくなると思うんです。
でも、こうしたプロジェクトを通して田舎暮らしを体験すれば、
まちの人も“チーム全体”として見てくれるから、個人の負担が少ない。
ただし、協調性は求められます。共同生活なので、ある程度の我慢が必要になってくる。
あとは仕事に対して真面目なこと。地域を知るためにこのまちへ来た、
そんな気持ちで積極的に学ぶ姿勢を持った方に来てほしいですね」

空気、水、食べ物が美味しい山間部での暮らしは、憧れがある反面、
便利な都会に慣れた私たちにはハードルが高すぎる、とも思う。

けれど、地元から信頼を集める山下さんの肩を借りながら、
限定3か月の田舎体験、それも給与のある“シゴト”としてまちの一員になれるなら、
リアルな地方の暮らしが、きっと味わえるに違いない。
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 広報・企画:和束町雇用促進協議会
(取材・文/村田恵里佳、撮影/大島拓也、コーディネーター/古市邦人)

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Job description
募集職種
プロジェクト名
ワヅカナジカン援農プロジェクト
募集期間
2015年5月5日(火) 〆切
※それ以降の募集につきましては随時こちらのサイトにてお知らせさせていただきます。
募集業種
茶にかかわる生産補助業務すべて
(京都府相楽郡和束町)
雇用形態
アルバイト
(5月1日〜7月31日まで、共同シェアハウスでの住み込みになります)
応募資格
・未経験可。
・将来、農業に従事、あるいは農山村地域での生活(田舎暮らし)を考えている方。
・地域振興に興味を持っている方。
・軽トラック運転経験者優遇。
勤務地
京都府相楽郡和束町内の茶農家
(複数箇所の農家さんから、勤務先が決まります)
勤務時間
8:30〜18:00(休憩1時間あり)
17:00〜24:00(夜間製茶工場補助、休憩1時間あり、延長あり)
給与
時給1000円〜(能力・勤務時間帯により異なる)
休日・休暇
平均週休2日(季節労働のため、連続勤務有り)
待遇
ファームステイ保険完備
(シェアハウスでの共同生活のため)
採用予定人数
20名まで
選考プロセス
1)サイトからエントリー後、電話によるヒアリング。
 その後面接を実施。
 ※面接実施時に履歴書をご用意ください。

2)採用者には、採用通知及びプロジェクト申込書を送付。

3)面接
 ※会場は原則として現地にて。
 状況により町外になる場合もあり。

4)募集人員最終〆切は、4月25日まで。

5)プロジェクト開始
応募者への質問
1】このプロジェクトを選んだ理由
2】将来の夢はありますか?あればご自由にお書きください。
WEBサイト
https://www.facebook.com/wazukanajikanproject
メッセージ
5月〜7月は茶生産の現場が最も活気に満ち溢れる季節です。
皆様のお力が直接生産農家さんの作業効率向上につながります。
暑い季節でもありますので、体調管理をしっかりしながら、農家さんの期待に応えられるようなガッツある方を歓迎いたします。
と同時に、将来田舎暮らしや、農業を通じたライフスタイルをお考えの方を歓迎致します。