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「晒(さらし)」と聞いて、どういったものかすぐにイメージできますか?なかなか触れることの少ない分野かもしれませんが、実は約300年ほど前から続く日本の伝統産業なんです。あなたがこの夏着る浴衣も、晒の工程を経てお店に並んでいるはず。
畑で綿花がつくられて、紡績工場で糸になり、サイジング工場で糸に糊づけされ、織布工場で布になります。晒とは、その布に含まれる不純物を落としきれいにする工程やその布のこと。上の写真はまだ晒をする前の布。植物ならではの綿花の成分や糊がついているので、薄い茶褐色をしています。いわゆる「生成りの布」。
大阪府堺市にある石津川に近い地域には、和晒工場が7社あります。今回はそのひとつ、株式会社三共晒で晒の作業を担う方の募集です。日本の伝統産業を支える会社では、どんなことが日々行われているのでしょうか?晒の仕事を細かく知るため、まずは工場長である辻内建人さんに工場内を案内していただきました。
和晒はどんなプロセスで生まれるのか 晒職人の仕事の工程をのぞいてみよう。
「この倉庫にある生地がお客様から預かっている加工前のものです」と案内されたのは、晒す前の生地がたくさん積み上げられた場所。
「生成りってどういう意味なんだろう?」と思ったことはあるものの、その正体を知るのはこの取材がきっかけ。綿花そのものの成分を取り除く前の布がこの「生成りの布」なんですね。この布たち、どういう工程で晒になっていくの?
工程① 釜入れ・釜炊き
加工前の生地が工場2階のカゴに運ばれ、詰められていきます。カゴはクレーンで吊り下げられ、1階の釜の中へダイブ 生地が焚かれ、釜の中では24時間以上かけて、糊抜き、精錬、中和、漂白、水洗いの工程が行われているそうです。
工程② 釜出し・脱水
完成した晒生地をクレーンを使って釜から出します。淡い茶褐色だった生地が真っ白になっています。水分を吸った晒生地をひとりが抜き取り、もうひとりが遠心分離機に詰めて、機械で脱水処理を行います。この工程はなかなかの重労働! 辻内さんは「晒屋の登竜門」と呼んでいるのだとか。
工程③ 乾燥・仕上げ
その後、脱水した生地を乾燥させるために晒生地の端をミシンで塗って、つないだ生地をシリンダー乾燥機に流していきます。
乾燥を終えるとヤールタタミ機を使って、納品用途に合わせたサイズにたたんでいきます。
以上が大まかな和晒の工程です。その後はクライアント先に配達します。
今回の募集で入社すると、以上の工程に取り組んでいきます。日本の伝統産業を支えるひとりになれるこんな仕事は、なかなか他ではみつからないのではないでしょうか。個人でもくもくと取り組むというよりは、各工程を担当している複数のスタッフとのチームワークのもとすすんでいく仕事です。
この道14年の工場長が考える、晒職人に必要な姿勢や能力は?
案内してくださった辻内さんは勤務歴14年目。高校卒業後に三共晒に入社し、現在32歳です。
スポーツマンである辻内さんでも、「脱水作業は、慣れるまで身体がバキバキになった」というほど力仕事なのだそうです。
お昼休みは12時から1時間。会社で弁当の出前をとり、それを食べる人や家に帰ってご飯を食べる人、食べて一眠りする人もいて思い思いに休憩しているそうです。13時から仕事を再開し、17時に退社。早い! 辻内さんはアフターファイブをジムに通ったりしているそうです。
さまざまな種類のニーズが増えてきたのは、さまざまな用途に使われ始めていることを意味します。今でも手ぬぐいや寝間着に使用するというのが定番ですが、浴衣など高級品としても使われています。
これまで、扱っているものが最終的にどんな品物になるのかわからないことが多かったものの、辻内さんは自分が工場長にはなってからは商社など間に入る企業に聞くように心がけ、社員のモチベーションの維持を大事にされているようです。工場長として、どんな人にきてもらいたいと考えているのでしょうか。
その真意は和晒の工程がある程度決まっているので、工場長や先輩の指示がなくても仕事量が増えているポジションのサポートに回ったり、先を読んで動くための段取り力を身につけてほしいという考えです。
和晒工場はサッカーやバスケットボールのように、仲間の動きにあわせて自分の動きも変えていく必要があるようです。チームワークが必要な仕事だけあって、取材中になんとなくみなさん仲の良さが伝わってきました。辻内さんも「人が楽しいです。フレンドリーな会社だと思います」と語ってくれました。
三共晒が同業種からも認められるまでの歴史には、クレームと向き合い続け、挑戦し続ける粘り強い姿勢があった。
近隣に同業他社が7社あり、この7社で日本の和晒の9割が生産されています。平成23年には和晒が堺市伝統産業に認定されました。日本古来の文化でもあり、愛知県の知多半島にも5社あると言います。あわせた12社がすべてです。
歴史を紐解くと、商都大阪を控えた石津川沿いでは江戸時代から和晒をつくる農家が多かったそうです。昭和40年には、全国で109軒中、石津川沿いには30軒が操業していたと言います。三共晒の現在の社長である中野泰司さんにとって、和晒はどんな存在なのでしょうか。
工場は平成元年の建て替えまでは木造の建物だったと言います。中野さんにとってその工場が遊び場。生地の上に乗って遊んだり、川が洪水になれば工場に流れてくる亀をもらった思い出があるそうです。
そのため中野さんは高校卒業後には三共晒ではなく、大阪・本町のブラウス生地を販売する会社に勤めたそうです。しかし、中野さんが20歳の頃に「戻ってきてくれ」と生まれて初めて頭を下げてきた父親。「それで戻ろうと決心しました」
入社後最初に目にしたのは、自分の父親が職人の方たちにキツい言葉で「働け」という姿だったと振り返ります。
そしてある日、大きな出来事が起こります。それは中野さんが入社して間もない頃のこと。三共晒の工場を任されていた社員と当時の社長である父親との間でもめごとがあり、突然その社員がいなくなったのです。
晒は染色して初めてその品質がわかるもの。染まらないことで、その前の工程である和晒工場の品質が悪いことがわかります。クレームの嵐が押し寄せて、取引先の方の力を借りながら、3年の月日を要し改善に至ったと言います。
クレームはチャンス、そこを乗り越えてお客様の信頼になると振り返る中野さん。改善したのちには技術が身につき、染色屋からのくちこみで仕事が広がっていったと言います。
伝統は、守っているだけでは終わる。自社オリジナル商品開発などの新しい取り組み。
クレームを乗り越えて技術がついたとはいえ、課題はさまざま。三共晒のような晒屋に届く生地をつくる機屋(はたや)が現在日本で35社しかないこと。さらに後継者不足で高齢化している産業であること。若い後継者は中野さんと同級生のひとりのみなんだとか。
自社ブランドの新しい商品をつくっていきたいと意気込む中野さんは、伝統を守る意識の先を見ていました。
また、中野さんの趣味である撮影技術も活かされています。Instagramの企業アカウントを3ヶ月前にはじめたそうですが、すでにフォロワーがたくさんいます。(会社の雰囲気が伝わってきますので、ぜひご確認ください!)
自分ひとりの力では何も変わらない。スタッフとともに前にすすみつづける会社。
新しい挑戦に取り組む「攻め」の経営だけでなく、社内改革や職場環境づくりなどの「守り」にも中野さんは力を入れています。
水やガス・電気を多く使う仕事であるため、コスト削減・節約にも徹底し、利益の3分の1を社員に還元すると約束されています。みんなのがんばりがそのまま収入に反映するため、社員のモチベーションもあがっていると言います。
最後に面接で必ず気にしているポイントをお聞きすると、工場長の辻内さんと近い回答が返ってきました。
工場長や社長の話を聞いて、株式会社三共晒は家業から企業へと成長していることがわかりました。成長のプロセスで大事にしたことはチームワーク。誰もが均等に働くことの喜びを噛み締められるような、気持ちの良い職場になっています。あなたが入社することで、堺市の伝統産業をさらに成長させてみてはどうでしょうか?
Job description
募集職種
- 企業名・団体名
- 株式会社 三共晒
- 募集期間
- 2017/08/18 〆切
- 募集職種
- 和晒の漂白・加工(伝統産業)職人
・綿布漂白作業及び乾燥作業全般
・配送作業(軽自動車での近隣への配送)
- 雇用形態
- 正社員(試用期間3ヶ月)
- 応募資格
- 未経験可
- 勤務地
- 大阪府堺市中区毛穴町195
- 勤務時間
- 7:30〜17:00
- 給与
- 178,500〜259,200円
経験・スキル・前給等を考慮し、面談の上決定します。
- 休日・休暇
- 土日祝他(年間休日数:119日)
- 待遇
- 社保完備
交通費支給(7000円/月まで)
皆勤手当あり(20,000円)
賞与あり
- 採用予定人数
- 1名
- 選考プロセス
- 1)本サイトからエントリー後履歴書を弊社までご郵送ください。
(大阪府堺市中区毛穴町195)
2 ) 書類審査後、通過者の皆様にのみご連絡
3 ) 面談日時を相談の上、決定。
4 ) 一次面談を実施
5 ) 面談の結果を全ての方にお知らせし、採用が決定
6 ) 勤務開始
- メッセージ
- 体力の必要な仕事ですが、スタッフのチームワークのもとすすめていく仕事です。
未経験の方には1から丁寧に教えますので、安心して飛び込んできてください。
日本の伝統産業を支え、一緒に成長していきましょう。 みなさんのご応募をお待ちしています!
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