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住んでいるまちに貢献したかった主婦が、総合計画に携わる。
宝塚NPOセンターは平成25年度から厚生労働省から認定を受け、新たに「宝塚地域若者サポートステーション(以下、ヅカサポ)」事業を行っている。
サポートステーションを噛み砕いて説明すると、「働くことに不安や悩みを抱えている若者に自信をもってもらい、就労に結びつけられるようサポートする」というもの。
“一度も働いたことがない”“どんな仕事が向いているのかわからない”など、様々な不安を抱える若者が、「自信をもって社会に参加していけるようにうまくサポートしたい」と語るのは、代表の中山光子さん。
平成26年度からは宝塚市立勤労市民センターの運営管理を行うなど、
次々と市民活動の拠点となる事業を広げていくリーダーだ。
少しこれまでの経緯を振り返っていただくと、意外な話からはじまった。
「損保会社を結婚退職してから専業主婦をしばらくやってみるとね、
私にとってはそのサイクルがつまらなかったんです(笑)
夫が転勤族だったので、行く先々でPTAや子育て活動などしていたんですが、
それが現在の仕事につながっています」
転勤の都合で宝塚市に引っ越しをし、5年後には仕事を再開。
しかし働く場所は神戸市で、宝塚市へは寝るためだけに帰ってくるようでつまらなく感じていたという。と同時に、中山さんには“宝塚でずっと生きていくなら、住んでいるまちに貢献できないかな”という思いがあった。そんなときに宝塚NPOセンターの前事務局長の森綾子さんから「まちの総合計画の仕事を手伝ってほしい」と誘われたことが転機となった。
”まちの総合計画”というのは、将来、宝塚市をどのようなまちにしていくのか、
そのために誰がどんなことをしていくのかを総合的にまとめたもの。
宝塚市の防災、福祉、教育など、すべての計画の基本となるもので、
“まちの未来を決めるもの”だといえる。
「はじめに声を掛けられたときは、本当に驚きでした(笑)
そんな大きな総合計画だなんて、私が参加できるの?って。
でも、行政職員以外でもまちに関われるんだと思い、働かせていただくことになりました」
ところが誘ってくれた森さんを、残念なことに病気で失ってしまった。
2011年、働きはじめて2年目で事務局長を継がなければいけなくなった。
「リーダーを失った私たちは、もう一度“原点”に立ち戻る必要に迫られました。
その頃は、事業規模縮小という先が見えていた段階でした。
暗中模索しているときに、たまたま東京でNPOのリーダー研修を受けて、
就労支援と若者支援をあわせた事業である“若者サポートステーション事業”と出会ったんです。
これを受けて、今までやってきたノウハウを生かせないかと考えたことが転機になりました」
結果、厚生労働省に事業提案をして、2013年から若者サポートステーション事業を受託。
そして2014年には勤労支援センターの指定管理を取得。“市民活動の交差点”として、
市民が参加する場とやりがいを生み出し、その市民が主体的に社会参画できる力をつけるために、
NPOやコミュニティビジネス、就労支援に取り組んでいる。
中山さんはこう続ける。
「行政は縦割りですが、わたしたち市民の生活は縦割りなんかじゃない。
例えば、子どもを育てながらも、介護や福祉サービスも利用することもありますよね。
いろんな側面や課題が市民全体、そして一人ひとりの周りに取り巻いています。
そこにひとつひとつ向き合うためにも、社会の課題ひとつひとつに寄り添っていきたい。
そうすることで、どんな人も社会につながることができる環境をつくっていければ、と思います」
それでは、中山さん曰く“市民全体をくるんでいる”という
「まちの総合計画」に取り組むスタッフの話も聞いてみよう。
地域の課題をビジネスに変えていくサポート。
デザインの業界から2年前に転職してきた、企画職の横山宗助さん。いわゆる「モノづくりからコトづくりへ、という東日本大震災以降の流行りに乗ったクチで…」と、そのきっかけを照れくさそうに切り出した。
「東日本大震災直後、飲料メーカーのCMなのに、商品を宣伝するんじゃなくて有名人がみんなで歌を紡いでいる様子だったり、九州新幹線が全土に開通した時のCMで、いろんな人の楽しそうな笑顔が流れる様子をみたりしていくなかで、“人の思いに寄り添うような仕事がしたい”と思ったんです」
そんな横山さんの具体的な業務は大きくわけて4つ。
公共施設の指定管理の仕事と、宝塚市の総合計画、市民活動の促進、
そして生きがいサポート事業(生きがいサポートセンター全県展開事業も含む)。
時間帯や曜日によって何をするかが決まっているわけではなく、担当している4つの事業がまわるように仕事している。
例えば、これは但馬地域へ出張相談に行ったときのエピソード。
「地元の人から、“鹿に畑を荒らされて困っている”という話を聞きました。
猟師さんは、獣害対策としていくら獲ってもキリがないと悩んでいたので、“じゃあその鹿の肉を売りましょうよ。フランスでは高級食材として食べられているんですよ”と伝えたんです。
そしたら、その猟師さんが鹿の肉を売るためにNPO法人を立ち上げることになったんです。
こんなふうに、地域の課題をビジネスに変えていくという仕事でもあるんです。
転職で叶えたかった、モノからコトへのソーシャルデザイン。
地域に寄り添いながらも、一見すれば、まさに描いたとおりの仕事道を歩んでいる。
そんな順風満帆に見える道のりも、実はNPO業界ならではの葛藤もあったという。
ストレスフリーで働くボランティアの楽しさ。
「“ボランティア”という考えに悩んだ時期がありました。先ほどテーブルで資料をまとめてくださっていた方もボランティアの方です。
普通の仕事してくれているのに、有給無給の何が違うの?年齢でもない。
これは最初すっごく悩みましたね」
悩みつつも、働き始めて公共施設管理の企画担当になった2年目。
NPOらしい運営をしようと思えば思うほど、既存スタッフでは賄いきれず、
ボランティアの存在が不可欠になったという。先輩スタッフと議論を重ね、
ノウハウを先輩たちに教わり、結果として12人のボランティアの方が集まった。
「自分自身がボランティアに対する考え方をきちんと理解していないのに、
どうやったら人を集められるんだろうと悩みに悩みました。
この部分については、ほかのNPO法人からもよくある質問なのですが、
今はこう答えるようにしています。
“あなたはボランティア活動を経験したことがありますか?
そのときの動機を考えれば、どうすればボランティアが集まるかわかるはずです”って」
今、ボランティアをしている人自身が楽しんでいないと、新しいボランティアは集まらないし、環境がいい雰囲気じゃないと、そこで働きたくはならない。
つまり無償で働くからには、環境を整えなければいけない。
そのために、担当した公共施設の一階を盛り上げようと考えてコーヒー屋台をデザインした。
「ヨーロッパ調の屋台をデザインして、訪れる市民の方々にコーヒーを配りました。
そうするとボランティアさんも楽しいじゃないですか。単に物を売る作業からさらに進んで、
人を巻き込んでいくような仕事も意図的につくったりしましたね」
楽しそうに配っているとにぎわいの場が生まれ、そこで知り合った人同士のつながりが生まれてくる。この活動が、寄付のみで運営していることを知ると、自分もやってみたいと依頼がくる。
その活動をどんどん広げて、携わっているボランティアの皆さんの話を聞くうちに
「無償で働くことがどれだけ良いことなのかわかった」と横山さんは語る。
ストレスフリーで働くボランティアの楽しさを知ってからは、
横山さん自身も日曜日にボランティア活動としてボードゲームを訪れた方といっしょに楽しむイベントを企画したり、お茶を楽しむ会などを主催されているそうだ。
横山さんは。このほかにも多岐に渡る事業を担当している。
宝塚NPOセンターでは、さまざまな業務が総合的に見えることがやりがいだという。
「介護事業に関するNPOであれば、介護周辺に詳しくなるけど総合的には扱えませんよね。
宝塚NPOセンターは領域が幅広いので、例えば総合計画に携わると“水道工事がどう行われているのか”とか、“道路計画がどう行われるか”などがわかる。一方で、自治会のおっちゃんたちや地縁団体との付き合いができたり、但馬に出張したりと、直接市民や地域の課題と向き合えることがこの仕事の楽しいところであり、難しいところですね。
推進とか協働のようないかにも行政っぽい響きのアウトプットが多いので、もっと柔らかい表現にしたり、宝塚NPOセンターの基盤を使っておもしろい企画を考えたりしていきたいです」
社会を良くしたいと思っている人と、いっしょに試行錯誤したい。
横山さんがさまざまな相談を受ける中で大事にしているのは、組織内でのディスカッションだ。目の前の困っている人のためにさまざまな視点でものごとを考える。
新しいものをつくるうえで議論の時間は欠かせないと思っている。
だからこそ、いっしょに働く人にはこの考え方を求めている。
「社会を良くしたいと思っていっしょに試行錯誤してくれる人と働きたいです。
しっかりとした固定給で週5勤務がいい!という方とは、正直なところ、いい社会運動は起こせないと思っています」
スキル面でいえば、できればデザインやライティング、ファシリテートのようなアウトプットができる人、と付け足す。講座が多いため、チラシづくりをしたり、コンセプトやキャッチコピーを考えたり、想いを具現化できる人ならさらに活躍できると考える。
どの業務にも共通しているのは、講座が多いことだ。
適性もあるだろうが、採用されてから最初にする仕事は講座を企画、運営することになる可能性が高い。講座を立ち上げ、企画、デザイン、講師のキャスティング、あるいは自分が講師をすることもある。それが慣れてくるとNPO設立の定款チェックなど、硬い内容もこなせるようになってもらいたい。
どの事業も複数人で担当するため、相談できる先輩は多い。
一方、“まちづくり”は“ひとづくり”とも言われ、暮らすことと働くことは、
切っても切り離せない表裏一体の存在だ。
そこで、“働くこと”に不安や悩みを抱えている若者に寄り添うのが、
冒頭でも説明した『宝塚地域若者サポートステーション(以下ヅカサポ)』だ。
宝塚NPOセンターの事務所から歩いて5分程度の場所にある。
ここは、主に15~39歳の若者の職業的自立をサポートするため、
キャリアコンサルタントや臨床心理士など、専門スキルのあるスタッフを含めた8名のスタッフが在籍する。
2014年度の相談件数は1,263件。働きたいけれど何をしたらいいのかわからない、と
働くことに不安や悩みを抱えている若者は予想以上に多いという。
そんな彼らの悩みに、毎日寄り添っているのは、入社2年目の臨床心理士として働く高瀬さんだ。
学生時代は心理学を学んだ。
「学生の頃から友だちの相談にのることが多く、
高校時代に進路を決めるときにはカウンセラーになろうと考えていました。
でも、いざ大学で勉強してみると座学が多くて面白くなかった(笑)
一時はカウンセラーになることを諦め、卒業後に雑貨屋や飲食店などで2年ぐらいアルバイトをしていたんですが、やっぱり諦めきれずに大学院で学び直しました」
そして大学院を卒業後、“誰かの役に立ちたい、人を支援する仕事に携わりたい”という想いを抱き、宝塚NPOセンターに就職した。ヅカサポでの仕事は自分の性格にあっているという。
「ここでは、いろいろな想いを抱えた若者や保護者と一対一で話をしていきます。
そのうえで、面談だけではなく、マナーやコミュニケーション、面接対策など、様々な講座も実施しています。“社会に出ていく若者にとって必要なことはなにか”ということを、自分たちで考えながら取り組んでいけるというところ、その中で若者の成長が目に見えることなどに、やりがいや楽しさを感じています」
困っている人に寄り添うことが、相手の心を開く。
ヅカサポの1日は、朝9時から全体ミーティングを行い、10時から18時は個別面談や講座運営、事務作業などを行うのが、基本的なスタイル。
面談は1時間ごとに予約を受けつけていて、多い日には1人で1日6人の面談を担当する。
登録者数は500名弱。
高瀬さん曰く、ヅカサポのスタッフは面白い方が多く、個性的で楽しい職場。
大変なときも、お互いの能力を活かしながらアドバイスしあえる関係性ができている、という。
主体的にみんなで講座を考えるそうで、高瀬さんが受け持った講座について、教えていただいた。
「例えば“プチコミュニケーション”という講座を担当したんですけど、
すごろくをして、とまったところに書いてある質問に答えるというものなんです。
でも、コミュニケーションが苦手な方もいるので、そういうときは少人数で、小道具なんかを使いながら話しやすい雰囲気をつくるように心掛けています。そこから、自分のペースで少しずつ自信を持っていただけたらな、と」
そうやって寄り添うように話を聞くのが、高瀬さんの信念だ。
昨年、高瀬さんは宝塚市若者就労支援事業も担当し、7月から毎週講座を開いた。
最後の修了式には、参加した若者の成長した様子を見て、涙する場面もあったという。
また今後は、ヅカサポにとどまるだけでなく、地域にもどんどん出ていきたいと考えている。
「いろいろな経験をしてもらいたいので、例えば宝塚NPOセンターでつながりのある方の畑を借りて、野菜を育ててみたりなど、地域の方々にも協力していただくことがあります。宝塚NPOセンターの特徴を活かしながらも、“地域”という場所や人のつながりをもっと増やしていきたいと考えています」
市民全体をくるんでいる課題に、ひとつひとつ向き合いたい。
最後にもう一度、中山さんから今回採用する方のお話を聞いた。今回は、横山さんのような地域づくりに関わるスタッフを2名、
高瀬さんのような若者就労支援に関わるスタッフを1名採用したいと考えている。
地域づくりに資格は必要ないが、若者就労支援の方は、キャリアカウンセラーや教員免許、
社会福祉士などの有資格者が望ましいと考えている。
4/1から働くことになり、3ヶ月は試用期間として働き、1か月ほどで講座企画などを先輩スタッフとともに運営する予定だ。
「宝塚NPOセンターの今日までのプロセスを見ていないスタッフもいますので、
そういう意味で“ハングリー”なスタッフがほしいと思っています。
私は、突然事務局長になりました。
しかもNPOセンターと関わる前は、行政といえば住民票を貰いに行くぐらいの感覚でしたが、
この仕事で行政に関わるようになり、今ではまちについて意見が言えるまでになりました。
誰もが、そういう立場や視点をもてば世の中が変わっていくと思うんです。
私自身が変わったから。そういう人が増えれば、きっとまちはよくなると思っています」
最初にお伝えしたように、市民全体を取り巻く課題は、縦に横にとつながっています。
すべての課題がつながっているので、ひとつひとつに向き合って、
社会を市民の視点で変えていくような活動を続けていきたいですね」
あなたにもできることがある、と言わんばかりのエピソードだ。
そしてまだ階段の途中だという。
この階段の先へ、彼らといっしょにのぼってみませんか?
きっと良い社会が待っていると思います。
(取材・文/狩野哲也、撮影/藤吉航介、コーディネーター/榊 沙織)
Job description
募集職種
- 企業名・団体名
- 認定NPO法人 宝塚NPOセンター
- 募集期間
- 2015年3月24日(火) 〆切
※書類選考、面接は随時進めますので〆切までに採用決定者がいる場合もございます
- 募集業種
- 1】NPO支援、地域コーディネーター
NPO・市民団体などの起業・運営相談、講演会
「誰もが活躍できる地域」を作るための企画、運営、コーディネート
2】若者就労支援スタッフ
働きにくい15~39歳までの若者のキャリアカウンセリングと講座運営を通じた就労までの支援
- 雇用形態
- 契約職員(試用期間3ヶ月)
- 応募資格
- 未経験可、経験者優遇
2】のみキャリアコンサルタント(標準レベル)、
臨床心理士、社会福祉士等の資格保有者優遇
- 勤務地
- 1】宝塚市栄町2丁目1-1 ソリオ1-3F
2】宝塚市栄町1丁目1-9 アールグラン宝塚201号
- 勤務時間
- 9:00~18:00(うち、1時間休憩あり)
- 給与
- 18万円~20万円
(経験・スキル・前給等を考慮し、
面談の上決定します)
- 休日・休暇
- 週休2日制(日・月曜日)・祝祭日・年末年始・慶弔
- 待遇
- 交通費支給(実費上限なし)
社会保険、雇用保険、労災保険あり、
退職金制度なし
- 採用予定人数
- 3名
- 選考プロセス
- 1)本サイトからエントリー後、履歴書・職務経歴書を下記住所までご郵送ください。
※宝塚市栄町2丁目1-1 ソリオ1-3F
宝塚NPOセンター採用担当宛
※お送り頂いたものはお返ししておりません。
▼
2 ) 書類審査後、通過者の皆様にのみご連絡
(書類到着後随時)
※お電話にて面談日時を相談の上、決定。
▼
3 ) 面談
▼
4 )採用決定
(面談後2週間以内に郵送にて合否に関わらずすべての方にお知らせします)
▼
5 ) 勤務開始(4月1日)
- 応募者への質問
- 1】なぜ、ソーシャルセクターを働く場に選んだか教えて下さい。
2】あなたが理想とする働き方を教えて下さい。
- メッセージ
- 行政の最上位計画である「総合計画の事務局」から地域の緑化活動をする「地域団体支援」、施設管理、NPOの設立・コンサル、そして、若者の就労支援まで幅広い事業に取り組んでいるNPOです。地域の課題は多種多様。全てが繋がって絡み合っています。 その絡みあった課題を多岐に渡った事業を通じて解いていく、熱いハートと冷静な視点をもつ仲間を募集しています。仕事を通じて、幅広い経験とスキルを向上させたい人をお待ちしています。
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