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型にはまらない転職活動を。コタツを囲んで、転職希望者と企業のマッチングを図る合同企業説明会

2022.04.04 「コタツ転職EXPO BY NANKAI」レポート
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2022年2月19日。転職希望者向けの一風変わった合同企業説明会(以下、合説)が、なんば駅に直結する複合施設「なんばスカイオ」で行われました。

その名は「コタツ転職EXPO BY NANKAI」。参加する企業の数だけ設置されたコタツを囲んで、経営者や人事担当者と転職希望者が交流を深める南海電鉄主催のイベントです。今回は、女性活躍を推進するJ.P.モルガンが協賛パートナーに。企画と運営を担ったHELLOlifeが実施する女性の活躍推進プロジェクトのマッチング支援という視点から、女性にとって働きやすい環境整備をしている企業を「女性応援」企業として紹介しています。

(司会は、DJの中島ヒロトさん!)

テーマは、「おもしろい会社と自分らしいくらしを手に入れる」。昨年に続き、2回目の開催となる今回は、転職希望者を対象として実施。南海沿線(南大阪から和歌山)に拠点を置く企業20社、約70名の転職希望者が集まりました。南海電鉄まち共創本部・企画部の豊田真菜さんはこう語ります。

「一度社会に出て働いたことのある人の方が、都心の企業にはない沿線企業の魅力を理解してもらいやすいと考えました。結婚、出産、育児といったライフイベントを迎え、自分がどういう仕事をしたいか、どう暮らしたいか、どう生きたいか、を見つめ直したとき、南海エリアをひとつの候補として検討してもらえればという思いがありました」

「少人数×コタツ」だから取り繕わなくていい

企業ブースを自由にまわる一般的な合説と違い、「コタツ転職EXPO」はプログラム型。今回も、全4ターン(1ターン20分)ある企業と転職希望者の交流タイムは、すべて事前抽選による指定席制に。少人数での実施形式(各ブース最大7名)やラフな空気感が、転職希望者と企業担当者のざっくばらんな対話を生み出していました。

イベントに参加した転職希望者はどんな感想を抱いたのでしょうか? アンケートからいくつか声を紹介します。

  • 通常の選考と異なりリラックスしてお話できました。
  • リアルな質問ができました。
  • 普段聞けないことをきけました。
  • カジュアルに企業様とお話ができる距離感がよかった。生の社内の雰囲気を感じられました。
  • 知らなかった企業に出会えて面白かったです。また、自分らしく働きたいってどんなことだろうと考えるきっかけになりました。

昨年度開催された新卒学生向けのコタツ就活に参加し、内定につなげた参加者は10名いるそうです。その一人が、京都の大学に通う髙橋和奏さん。京都に住んでいる髙橋さんは今年4月から一人暮らしを始め、中尾食品工業で働くことが決まっています。

「まず『コタツ就活』という名前に惹かれました。『こういうイベントに参加している企業は絶対おもしろいだろう』『経営者や先輩とも同じ目線に立って話せるのであれば、入社後も自分の意見を聞いてくれるのだろう』という期待感もあって友人と参加したんです」と髙橋さん。

「私一人に三人の社員さんが対応してくれた一次面接では、1時間ほどにわたり、仕事から趣味までたっぷり話すことができました。『ライブに行きたいので有給を取りたい』などと、何も取り繕わずに話せたことが驚きでしたし、楽しかったですね。だから、二次面接後の社長面接でも、今さら隠すことなんて何もなかった。内定をいただいたときはまだ選考中の会社もありましたが、ここまで素直に話せるのならと思って入社を決めました」

南海沿線エリアの魅力を発信

イベントを主催した南海電鉄を中心とする南海グループは、かねてより「沿線の人口減少」という課題を抱えていました。この課題に対して長い時間軸で取り組むために、2018年に「南海グループ経営ビジョン2027」というビジョンを策定しています。

そのなかで重点戦略のひとつに据え、全社的に取り組んでいるミッションが「沿線価値の向上」です。「くらしたい場所」・「出かけたい場所」として選ばれる沿線づくりに向けた取り組みとして実施した当イベントの狙いについて、豊田さんはこう語ります。

「南海沿線エリアでは、堺の刃物や自転車、泉州のタオルや毛布など、特色ある地場産業が有名です。でもそういった会社に限らず、時代のニーズに合わせて事業転換に挑んだり、新しい商品やサービスを開発したりしている魅力的な会社が多くある。そして、海や山といった自然にも都心にも近く、暮らす場所としての魅力もある。そのことを知ってもらいたかったんです」

垣根がない「ローカル」の魅力

参加した企業の担当者にも、話をうかがいました。「コタツに惹かれて参加したいと思っていたところ、たまたまお声がけをいただいたので二つ返事で参加を決めた」と語るのは、熊取町のデザイン事務所・スピッカート代表の細尾正行さん。

事前アンケートでは人気No.1。終了後のフリータイムでも、制限時間ぎりぎりまで、参加者が入れ替わり立ち替わり話を聞きに来ていました。

「まず感じたのは、参加者の方々の本気度が違うということ。これまでのお仕事で違和感を感じているポイントややりたいことが明確で、当社の仕事内容との相性を見極めている印象を受けました。実際に応募するという方も何人かいらっしゃいましたね」

天王寺駅からも和歌山駅からも快速で約30分。大阪府南部の最寄り駅から約2.5km離れた住宅街の一角に事務所を構えるスピッカート。熊取町内に暮らしている細尾さんは、エリアの魅力についてこう語ります。

「自宅で犬を飼い始めて1年ほど経つのですが、散歩していてすれ違った人たちと自然に挨拶できるところに安心感を感じます」

WEBサイト制作を中心にグラフィックデザイン全般を手がけているスピッカートの事業形態にも、地域性は表れています。「地元から遠方まで、お客様の業種も規模もさまざま。大手企業も近くのピアノ教室も、ご依頼があればお応えする」そんなスタンスを取っている同社は、かしこまらない写真館「日日花(にちにちか)」を2021年10月にオープンしました。

「これまで2回ほどワークショップなどのイベントを開催したのですが、参加してくださった方との交流から新しいつながりが生まれています。デザイン事務所だとお付き合いする相手は限られてしまうので、誰でも来られる場をつくることは大事だなと実感させられました」

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魅力ある企業や人が、人を呼ぶ

もうひとり、話を聞いたのが常磐精工株式会社のアトツギである喜井翔太郎さん。大阪府堺市に拠点を構える同社の社員は約20名。看板を中心に感染症対策のパーテーションやストレッチャーなどを企画製造しています。

「地域性が強い合説だなと惹かれて参加しました。経験上、通勤に時間がかかる社員は長く働き続けられない傾向があったので、南海沿線や会社の近くに住んでいる人、住みたい人との出会いを希望していたんです」

堺市で生まれ育った人間として感じる南海沿線エリアの魅力は、今後どんどん発展していくんだろうという期待感を持てるところです。堺市の新金岡やなかもずなどは、新しいマンションが建ったりと、町がきれいに生まれ変わっていますしね」

大学卒業後、大企業で2年間働いた後、2014年に地元に戻り、常磐精工に入社した喜井さん。いずれ家業を継ぐという未来は既定路線だったなかで、そこに甘んじることなく独自の道を切り開いてきました。

「祖父が創業し、父が引き継いだ会社を自分の代で終わらせるのは申し訳ないという気持ちもありました。でも、大企業の一員として働いてみて、社内や社会に対する影響力は中小企業の方が大きく、チャレンジしやすいところにやりがいを感じています。

特に顕著なのは、商品開発までのスピード感の違いです。コロナ関連商品などはまさにそうですが、必要と思えばすぐ開発に着手して商品化できますから。僕は第二創業のような感覚で仕事をやっていますが、堺市が交流会やピッチコンテストを開催し、第二創業をバックアップしてくれたりと、社会の追い風が吹いていることを感じています」

数年前に喜井さんが改定した企業スローガンは「MAKE THE BEST. 常に今、最高だと誇れるものを作ろう。」文言こそ変わったものの、そこに息づく魂は職人だった祖父の時代から受け継がれています。

「看板やパーテーション、ストレッチャーといった当社の製品を突き詰めると、アルミのパイプが私たちのコア技術です。その強みを活かして、すでにテレワーク用のスタンディングテーブルなども展開していますが、今後はさらに商品の幅を広げていきたいと思っています」

今回のイベントで印象的だったのは、参加者の目の色です。細尾さんが「本気度が違った」と言うように、イベント終了後のフリータイムでは多くの参加者が残り、熱心に担当者と話し込む姿があちこちで見受けられました。

「コタツ転職EXPO」は、転職希望者が自分に合う企業と出会うチャンスです。南海沿線エリアに興味がある人、場所や業界にこだわらない人、新しい世界に飛び込みたい人……。自分らしい生き方につながる自分らしい働き方、暮らし方を見つけられる人が、ひとりでも増えることを願っています。