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「2度のファーストレディを経験した、安倍昭恵総理夫人が見ているセカイとは?」安倍昭恵夫人のはたらくセカイ

2016.03.31 NEWS

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世の中には、様々なはたらき方、生き方があります。
ハローライフでは、毎月さまざまなゲストをお呼びし、
そのゲストが見ているセカイを覗かせていただくイベント「はたらくセカイ」を開催しています。
今回は内閣総理大臣の夫人である、安倍昭恵さん。
当日のトークイベントの中から「はたらく」のヒントをレポートにまとめました。
(聞き手:塩山諒)

<profile>
安倍昭恵(あべあきえ)/ 内閣総理大臣夫人
1962年東京生まれ。聖心女子専門学校卒業。
電通勤務を経て1987年、第97代内閣総理大臣・安倍晋三氏と結婚。
その後立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科を修了。
ライフワークとしてミャンマーの学校支援、無農薬有機の食材を使った
居酒屋経営、農場運営など教育と食の振興に力を入れている。
2014年からは女性の社会進出を支援する講座型スクール「UZUの学校」を開校、
多方面に活躍の場を広げている。

■プロローグ■

金曜日の昼間にも関わらず、大盛況の中スタートしたトークイベント。
昨年、ハローライフを運営するスマスタ代表の塩山が安倍夫人によるWeb動画配信番組に出演したことがきっかけとなり、今回のイベントが実現しました。トークの話題は昭恵夫人が安倍首相と出会う前の頃から始まります。首相夫人として幅広く活動する昭恵夫人から見えるはたらくセカイとは?
スマスタ代表・塩山諒がナビゲーターとなってお伺いしました。

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■政治家の妻になるまで■

塩山(以下、塩)いつもブラウン管や新聞では昭恵夫人のことを見ていますが、
そもそも昭恵夫人のはたらくセカイっていうのはどういうものなのか、
今の仕事にたどり着くまでどういう経緯だったのかについて伺いたいと思っています。

安倍(以下、安)私は、幼い時から女の子は結婚するのが一番幸せと言われて育ってきました。
短大卒で大手企業に入社して、バリバリ仕事したい気持ちもあったけど、大した仕事をするわけではなく、
職場は楽しいかったのでそれ以上は求めてなかったです。寿退社が幸せな時代でした。
周囲に女性で仕事をしているロールモデルはいなかったので、女性は結婚をして家庭に入って主婦になるものだと思っていました。

塩)安倍さんとはどんな風に出会ったんですか?

安)私の上司と主人の知り合いが出会わせようと企んだんです。わたしは全然結婚する気がなかったので乗り気じゃなかったのですが、断る理由がなくて「じゃあご飯だけですよ!」と言って会ったというのが最初です。第一印象は、いい人だな〜と思いました。主人の父は当時外務大臣で、彼は秘書をしていたので全然別世界の人で、話が面白かったんです。

塩)政治家の妻として外に出るようになったきっかけは何かあったんですか?

安)安倍の父が亡くなった後、主人が父の後を継いで選挙に出ることになりました。
それまでは専業主婦をしていましたが、山口県に引っ越して選挙運動が始まり、政治家の妻としてのスタートを切りました。

塩)政治家の妻って結構大変なイメージがありますけど、最初はご苦労されたんじゃないでしょうか。

安)服装からおじぎ、握手の仕方まで色々教えて下さる方たちがいて、ありがたい反面それが辛いこともありました。特に大変だったのが、私は子どもがいないので「安倍家の嫁として失格だ」と言われたことでした。主人は持病を持っているので、選挙がスタートして体調が悪いと私が代理で行くことがありました。でも身体が弱いことは政治家にとっては致命的なことなので、それを隠して行かねばならず、先方から怒られたのも辛かったですね。
でも、どうせやるなら楽しくやりたいと思っていました。山口にいる時は結構楽しいことも多くて、犬を連れて色んな所に行ったり、サイクリングしたり、音楽祭をしたり。下関の山陰の海に太陽が沈んでいく景色が大好きだったので、それをバックにBBQしながら音楽聞いたらどんなに楽しいだろうと思い、地元の人と一緒にやってみたりしました。

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■予算も給料も無い!?ファーストレディとして働き見えてきた使命■

塩)先ほど聞きましたが、お給料がない中で色々と活動されているんですね。

安)ええ、国会議員、総理大臣の妻としては予算は付かないです。今は仕事をしたいので、経済産業省とジェトロから二人秘書を付けてもらっています。それまでは、外交については外務省の方が付きますが、それ以外の仕事では役所から秘書が付くことはなかったんです。私にはお給料はないし予算があるわけでもないので、何かやるときは知り合いに頼んだり、企業に応援してもらってやっていますね。

塩)そうなんですね。そこまで精力的に活動されているモチベーションはどういう所にあるんですか?

安)主人も二回目の総理大臣はないと思っていましたが、二回目があって、これは大きな天命なんだと感じています。
総理大臣夫人を2回やるっていうことは世の中のために何かやりなさいってことではないかと。この立場で居られるのは僅かな時間しかないと思うので、世の中の役に立つのであれば批判を少々受けようとやりたいなと思っています。
私には、得意なこともなくて、周りを見渡すと友人たちは素敵なキャリアを積んでいたり、温かい家庭を築いていたりしていて、「主人はどんどん偉くなっていくけど、わたしは何をしたらいいんだろう?」と悩む時期もありました。でも、この立場になってから自分がやらなきゃいけないことが少し見えてきたように思います。

塩)少し見えてきたというのは具体的には・・?

安)私は皆をつなげる立場だと思ってます。経済発展していく間に、いろんなものが分離されているように感じることがあって、
自分のことばっかり考えている人がいたり、色んな物がバラバラになっているように思うんです。3.11の大震災で、繋がっていかなきゃいけないとより思うようになりました。安倍シンパはどちらかというと右に寄っている人が多いと思いますけど、私のまわりには真左みたいな人もいます。私は、相容れないものはないと思っているんです。一億総活躍時代、みんなちゃんと使命を持って生まれてきているので、それが活かせる社会になればいいと思っています。

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(この日もお二人の秘書と一緒にいらっしゃってました。)

■使命を見つけるカギは、自分自身の心の声を聞くこと■

塩)使命感を感じるのは難しいと思いますが、どうすれば感じられると思いますか?

安)人と比較しないで、自分自身の心の声を聞けるかどうかだと思っています。
多くの情報がまわりに溢れていますし、他人がかっこよく生きる姿を見て「なぜ自分はできないのか」と思うこともありましたが、「私は私でいいんだ、神から与えられる何かがあるんだ」と思うようにしていました。「なんの才能もないけれども、神さま私を使ってください」と祈っていると、ふっと私に出来そうなことが目の前に降りてくるので、それを掴めるかどうかが大切なんだと思います。

塩)若い世代は神様の存在の感覚がない人が多いと思うのですが、昭恵夫人にとっては身近な存在なんですか?

安)私はキリスト教系の学校に行っていたので、何かあると神様に祈るのは日常だったんですが、今は神は外側ではなく内側にあると考え方が変わってきています。自分に問いかけをしていると自分の中から湧き上がってくるものがあると思っていて、それを大事にしたいと思ってます。今年は「見えないものを感じる」がテーマなんです。現代、私たちはあまりにも見えているものに左右されやすいと思うのですが、見えないもの、愛とか友情とかご縁とか、日本人は本来そういうものに敏感だったと思うんです。そういう感じられる力が弱くなってると思うので、直感力をいかに育てていくかが大切だと思っています。

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■ファーストレディとして見る今のセカイ■

塩)社会のビジョンについて語るときに「再チャレンジ」について話されていますが、これも直感力と繋がる部分はありますか?

安)2012年に主人が総裁選に出るか出ないかという話になった時に、二人の候補に次いで主人は三番手だったんです。元総理が総裁選に出て「ここで落ちたら次はないから、出ないほうがいい」という話を多くの方からされました。私が、「本当に落ちてもいいの?」と主人に聞いた時に、「別にいいじゃないか。一回受験に失敗したとか、就職に失敗した、倒産した、ケガをしたなどで挫折した人はたくさんいるけれども、そんな人たちもまたチャレンジできるような社会にしたいんだ。だったら自分も、今回ダメでも何回でもチャレンジすることを実践したいんだ。」と言うのを聞いて、自分もそれを応援したいと思ったんです。主人は本当に再び立ち上がれる社会にしたいと思っていて、私も心から共感しています。

塩)大阪は生活保護の多さや若者の雇用の問題もありますが、再チャレンジのしやすい街だと思いますか?

安)西成に行くと、路上で寝ているおっちゃんたちとお話をします。ちゃんとした仕事をしていた人もいて、驚くほど普通に話せるんです。その一方で、どうしてここまでになってしまうのかと辛い思いになります。生活保護をもらいたくても、家族に迷惑かけたくないなどの事情がある。普通だったらせめてちゃんと屋根のあるところで寝たいという気持ちがあると思うのに、それを放棄しちゃってる。普通に話せる人たちがそうなっているのは悲しいなと、西成に行くと思うんです。

■「ホームレス」ではなく「ホープレス」■

塩)昔ホームレスのおっちゃんと話した時に、お前は何もわかってないと言われたんです。「ホームレスというのは、希望がないホープレスなんだ。家や仕事がないのが問題なのではなくて、結局希望が持てるようなものがないといけないんだ」と。他の部分で支援があっても生きる希望が持てるようなものが必要だと思ったんです。再チャレンジしていく時には、支援や制度だけではなく、変化していくことがクリアに見える物語などが必要なのかなと思います。

安)私はそもそもすごい怠けもので、自分のやりたいこともないタイプなんです。離婚しようと思ったことは一回もないけれど、もし自分が一人になってしまったら私はどうやって生きていくのかを40代のころに考えたんです。たまたま主人と出会って総理夫人になってるけど、自分が努力して掴んだものではなくて、違う人と結婚してたらどうなってたかわからないんですね。
だから、少年院や拘置所、西成などを訪れると、すべて他人ごとではないと思ってるんです。私もちょっと違えばそうなったかもしれないって。私の仲の良い友人から、トイレットペーパーが買えなくて盗んだっていう話を聞いたこともあるんです。だから、私はこういう立場なので、他人事にせずに何ができるかを考えています。

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■子どもを持つ女性が安心して働ける環境を■

塩)その中で、女性が離婚したり、ひとり親になっても子どもを育てながら働ける環境をつくっていこうとされているんですよね?

安)子どもは社会の宝だと思うんですね。子どもはみんなで育てていけるようになったらいいなと思います。知らない大人と子どもたちとの関係が希薄になっているのが凄く残念だなと思うんです。人のためになんかしたいけどチャンスがない年配の人たちはたくさんいると思うんですね。そういうところをマッチングさせたら、一人で子どもを抱えて仕事に行けない女性も安心して仕事にいけるんじゃないかと思います。

塩)そういう思いは安倍さんや自民党には伝えたりするんですか?

安)私が言っても聞いてくれなかったりします(笑) 私は社会貢献支援財団の会長をしていて、先日そこで表彰を行ったのですが、
広島の80代の女性が家でご飯が食べれない子どもたちに365日毎日ご飯を作っているんです。子どもたちは毎日おばちゃんのところに行って、ご飯を食べながら学校での出来事を話しているんです。そういう活動ってホント小さい活動だけど、女性ならではの活動だと思うんですよね。その話を主人に伝えると「そういうのいいなあ」と言っていました。自分がいいなと思ったことは主人が聞く聞かないに関わらず話しています。

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■エピローグ■

最後に昭恵夫人に伺ったのは、「昭恵夫人のはたらく意味とは?」という質問。
「なんだろう…」としばらく考えてから「社会のために働いている」と答えて下さいました。

「働くとはよく傍を楽にすると言いますが、私が活動しているのはお金のためではなくて、社会のためになにかしたい、という部分になるのかな。どんな仕事をしていても自分のためではないです。仕事によって人と繋がることが出来るし、その出会いがまた別の誰かのためにもなるんじゃないかなと思っています。」
終始ニコニコと笑顔で穏やかに話される姿から、チャーミングさと、誠実で真っ直ぐな想いを持たれている強さを感じました。

最後に参加者から若者へのメッセージを求められた際にも、そんな昭恵夫人の人柄が感じられる一幕がありました。

「生きていれば嫌なことも批判したいこともある。でも、自分の発した言葉や心の持ち方は必ず自分に戻ってくると思っています。感動して、わくわくして生きていると巡り巡って自分自身が良くなっていくと私は信じているんです。『こうやって元気に生きているだけでも感謝しよう』とか、『今日はいいお天気だな』とか、そんな風に考えていればちょっとしたことでも次の一歩に必ず繋がっていくと思います。嫌なことがあれば落ち込んでもいいけど、わざと笑顔になってみることで誰かが寄ってくるかもしれない。そうしたちょっとした感謝や明るい気持ちを忘れないでいてほしいと思います。」

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さて、「安倍昭恵夫人のはたらくセカイ」もこれにて終了です。
あなたの人生のヒントとなるような気づきや発見はありましたか?

次回のはたらくセカイにもぜひご期待ください!