大阪西区にある民間による就労支援・ブックカフェ・イベントスペースなどの複合施設。
グッドデザイン賞受賞
地域仕掛け人と考える!地域の選び方WS<2日目レポート>
15.02.12

地域仕掛け人と考える!地域の選び方WS<2日目レポート>

DSC_0153
「地域仕掛け人と考える!地域の選び方ワークショップ」が2夜連続で開催されました。

本イベントは、2月15日にあべのハルカスで行われる「日本全国!地域仕掛け人市in大阪」をより充実させるためのプレイベント。

地域の活性化や移住に興味があっても、「どうやって地域を選べばいいのかわからない」とはよく聞く悩みです。

そこで今回は、各地で地域活性化に取り組む“仕掛け人”をゲストに招き、取り組み事例を紹介していただきながら、ゲストの話や参加者同士の対話から、「地域を選ぶ軸」について考えました。プレイベントとは思えないような濃い内容となったこちらのイベントをレポートでお伝えします。

まずは三重県尾鷲市・紀北町からお越しいただいた“仕掛け人”のお二人に、活動紹介とその活動を始めるにいたった経緯についてお聞きします。

 

尾鷲を知らずして、千葉県から移住する

DSC_0151
 

「私は尾鷲が好きです」

こう話し始めたのは、尾鷲商工会議所の村田 浩子さん。東京では民間企業に勤め、どこにでもいるような普通の会社員だったといいます。どうして尾鷲に移り住むようになったのでしょうか?振り返ると原点は、途上国で出会った子どもたちのパワーにありました。

「海外旅行が好きで、長期休暇にはいつもどこかに出かけていました。途上国に行くと、2,3歳くらいの子どもが家のお手伝いをしているんですね。日本だとありえない光景をみて、“生きる力ってすごい!”と思ったんです。それから、もっと視野を広げたいと青年海外協力隊に参加しました。赴任先は中米ベリーズ、起業家育成を担当しました。いままでそんな仕事をしたことがなかったんですけど(笑)そうやってベリーズの地域や人の暮らしを調べるうちに、日本ではどうなんだろう?と思うようになりました」

村田さんは帰国後、その疑問を解消しようと千葉県船橋の国際交流協会のボランティアに参加します。当り前に住んでいるまちも、誰かに伝えるという視点を持つとこれまでと見え方が変わり、新しい気づきを得ることができたと言います。今までの生活に地域活動が加わり、これまでとは違う生活スタイルが確立された頃、「長期実践型インターンシップ」の求人を見つけます。学生が地域の企業でインターンシップをする、そんなチャレンジを後押しできる仕事に興味を持ったことが、尾鷲へと移住するきっかけとなりました。

「今、ほとんどの学生が大手求人媒体だけで就職活動をしていると思います。でも日本に400万社近く企業がある中で、掲載されているのは僅か2万社。99.5%を知らないまま就職活動をしているんですね。地方には“仕事がない”と言われますが、そんなことはないんです。インターンシップを通じて地域の企業と若者が出会う機会をつくることで、一度県外に出ても地元に帰ってくるという選択肢があるんだよ、ということを伝えていきたいと思っています」

 

縁がつながり、地域に残る道を選択する

地域仕掛け人市プレイベント
 

続いてお話いただいたのは、ホームページやDTP制作を手掛ける株式会社ディーグリーンに勤める立花 圭さん。岩手県の釜石市生まれの、埼玉県の大宮育ち。高校卒業後はアメリカの大学へ進学し、観光学を学びます。そこで「日本ってどういう国?」と質問される機会が多く、そのたびに答えに窮してしまったそうです。

大学の卒業課題は「長期インターンシップ」をしてレポートを出す、というもの。そこで、海の近くに行きたい、プログラムが面白そうという理由から紀北町で4ヶ月過ごすこととなります。

「参加したのは、民宿のマーケティングを担当するプログラムでした。伊勢海老のしゃぶしゃぶを広めるというもので、海まで歩いてすぐ、伊勢海老も食べれそう(笑)と、軽い気持ちで選びました」

4ヶ月間のプログラムでしたが、地域や役場の人から仕事をいただくこともあり、気づくと2年半が経過していました。このまま地域に残るか、都市圏の企業へ就職するかーー今後について悩んでいる時、お世話になっている会社の社長から「離乳食事業の立ち上げ」の話が舞い込んできます。それが現在勤めている、株式会社ディーグリーンでした。

「ホームページや広告のデザインをする会社がどうして離乳食?と思ったんですが聞いてみると、深い理由があって。今、日本では魚と肉の消費量量が逆転しています。紀北町という漁業が盛んな地域でも、年に1軒ずつ魚屋が潰れているんです。会社が潰れると雇用がなくなり、人が減っていく。それに、僕たちが子どもの頃と比べて、旬や地元の魚を食べる機会は少なくなりました。食育や栄養の面でも、魚を用いた離乳食を広める意義はある。全くの未経験ですが、地元の雇用や魚食を守る仕事でとてもやりがいを感じています」

 

お二人から現在の活動とそこにいたる経緯についてお話いただいた後は、今回のテーマ「地域の選び方」について掘り下げて聞いていきます。

移住の理由は十人十色

DSC_0155
 

村田さんはいきなり移住を決断したんですよね。地域をちゃんと知らないで飛び込むには、勇気が相当必要だったんじゃないですか?

村田:
「やっぱり関東に住んでいると、三重県はすごく遠く感じるんですね。伊勢神宮に行きたいなって思ってたけど何年もかかったくらい。でも実践型インターンシップという仕事がとても珍しくて。応募するだけ応募してみよう、という気持ちで応募したらご縁をいただいたんです」

「都会での生活も好きで特に不満はありませんでした。自分がやりたい仕事を選んだ結果、尾鷲という地域での生活が始まったという感じです。もちろん辛いこともありますけど、それすらも経験として楽しまなきゃ損だなって。自分で決めたことなので、後悔しないように。あんまり深く考えてないかもしれないですね(笑)」

立花さんはインターンを経て移住されましたよね。最終的には、何が決断を後押ししたんでしょうか?

立花:
「僕は学生の時にインターンとして紀北町を初めて訪れました。そしたら、何も知らないのに2日目から仕事をふられて(笑)。民宿に泊まりに来る子ども向けの体験プログラムだったんですけど、その時に“自分は誰かに求められている”感じがしたんですよね。そうやって民宿以外の人にも声をかけてもらえるようになって、気づいたら残る理由が増えていました」

「それと、地域の人と話していると、自分のまちが好きだっていう愛情や熱意をすごく感じるんです。それが今まで住んできたところとは違って、日本の文化を知らないで育った僕にとって、紀北町での生活は相当カルチャーショックだったんです。自分の知らない世界が広がっていて、面白いなって」

地域仕掛け人市プレイベント
 

生活する場所を選択する上で、自分自身が「どのように生きていくか」という考えは欠かせないと思います。お二人はどのような「生き方」をしていきたいですか?

村田:
「やりたい仕事があって、尾鷲という地域に来ているので、特に環境面でのこだわりはありませんでした。でもここにきて、本当に自然環境が素晴らしいなって思います。少し歩けば海に着いて、シュノーケリングを楽しめる。ちょっと上を見ると、星がすごく綺麗に輝いている。それと、せっかく来たのだからたくさんの人と関わりたいですね。飲み屋に行くとみんな60歳以上だったりして、おじいちゃんたちがいろんなことを教えてくれるんです。それがすごく楽しくて。世代を超えた付き合いができるのも地域の魅力の一つ。人間関係は深いと思うので今ある環境に感謝しながら、いつまでも誰からでも学ぶ姿勢を持ち続けたと思っています」

立花:
「みんなで何かをつくるというのがすごく好きなんです。地域のお祭りもそうで、灯籠を3ヶ月かけて手づくりするとか。新しく手がけている離乳食事業も0から調べてつくっています。そういうチャレンジをしやすいのが田舎なのかなって思うんです。お刺身を買えばすむところを、魚を捌いたり、味噌を手作りしたり、あえて手間をかけることが楽しいですね。自分で何かをやってみるということがすごく好きで、その機会がたくさんあるところを選んだ結果、今の場所にいるんだと思います。地域にこだわりはなくて、永住するかどうかも正直分かりません。気になったところを転々とするのもいいかもしれないなと思っています」

地域仕掛け人市プレイベント
 

ゲスト自らの体験をベースにした話を聞いた後は、参加者同士で「地域の選び方」「地域との関わり方」について考えます。
レクチャーで紹介された「地域との関わり方5分類」の一つを選んでもらい、グループわけを行いました。
※詳細は5日のレポート参照
テーマは、「自分にとって“地域”とは?」「理想の生き方って?」の2つ。
グループで出てきた意見をいくつか紹介します。

 

実際に体験してみて、課題の深刻さや暮らしの魅力を知ることが出来た

地域仕掛け人市プレイベント
 

地域でソーシャルビジネスをおこしたい

「地方で暮らし始めて、過疎化という問題を目の当たりにしました。実際に現場にいくことで課題の深刻さを感じ、これは無視することができないと思って、いま取り組んでいます。理想の生き方と聞かれると答えるのが難しいですが、自分が楽しみながら誰かの役に立ったりコミュニティを盛り上げたりすることが大切なんだと思います」

仕事を問わず地方で暮らしたい

「地域に興味をもったきっかけが、みんな多様で面白かったです。例えば、住んでるアパートのエントランスに変な人がいて自分の生活が脅かされているから(笑)とか。奥さんも同じ地元でUターンを考えていたり、定年退職後、地方と都会のパイプ役になるために活動をしていたり。私は昨年地方にインターンして、そこでの暮らしを体験しました。それはもう期待以上で、魅了されました。将来は海、漁港の近くで暮らしたいなと思っています」

地域仕掛け人市プレイベント
 

ゲストの話に触発されたり、自分と異なる考えを持っている人と対話をすることで、自分自身の価値観を整理する時間になったようです。
みなさんもぜひ、自分が目指したい生き方と照らしあわせ、地域との関わりを考えてみてください。
今回は各日2名のゲストにお越しいただきましたが、各地の豊富な事例を聞けるのは、地域仕掛け人市in大阪です。短期~長期のインターンシッププログラムや各地域で活動する先輩移住者の実体験を聞くことができます。
地域と関わるきっかけの一つに、ぜひ足をお運びください。