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あなたを守る、日本一大事な就職活動 <イベントレポート>

2013.05.30 NEWS

それぞれのしあわせな「働き方」や「仕事」を考える、
4日間連続 ハローライフのオープニングイベントのレポートです。
3日目は「あなたを守る、日本一大事な就職活動」

大阪府で実際に労働相談を担当されている方をゲストに迎え、
いわゆるブラック企業の体験者と現在イキイキと働く若者のケースを比較しながら
労使関係や労働者を守る法律などへの正しい知識を学ぼう!というイベントでした。

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うーん、ちょっとむずかしそうな話だなーと思った方に
このイベントを企画した想いをちょっとだけ・・・

今、「働く」「仕事」って、少し暗い捉え方のほうが多いように思います。
「社畜」や「ブラック企業」なんて言葉が改めて注目を集めているのも
「景気はこれからよくなるの?」
「いつまで不安定な働き方が続くんだろう?」
「こんなに大変な働き方をして一体何になるんだろう?」
という不安を抱える人の想いや社会のおかしさを強烈にあらわした言葉だなぁ・・・と。

イキイキと働き、今よりもっと楽しく働きたい!とポジティブにチャレンジし続ける人もいる一方
「働く」ということに対して大きな問題を抱えている人もいます。

なんとか正社員になりたいと
就活生が何十社とエントリーをして、やっとの思いで就職できても
実際に働いてみたときに新たな問題にぶち当たることもあります。
大阪府には、年間1万件を超える労働相談が寄せられています。
若者からの相談もあり、「知っていれば防げた」ものもあるんだとか。

「就職活動」というのは、会社の会社概要や理念を理解したり
業種や業界のボキャブラリーを増やしていくことだけでなく
「そもそも働くってなんなのか」ということを考えたり
仕事における問題を勉強することもまた「就職活動」だと思うのです。
先行きの見えづらい時代。誰もが働く現場でつまずきトラブルに合う危険性と隣合わせに生きています。
言わばそれは、「自分を守る」ための就職活動とも言えます。

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まずはいわゆる「ホワイト企業」代表として
日本一社員満足度の高い会社に2年連続で選ばれたChatWork株式会社のグループ会社になる
ChatWork Academyの山本さんに、社員を大切にする基本姿勢や働き方についておうかがいしました。

ITを通して心の豊かさを実現する事をミッションとして事業展開するChatWork Academy。
「ITを効率よく活用し残業させない。」
「コミュニケーションを何よりも大事にしている」
「失敗してもいい社風。傷だらけになれと教えられています。」
など、社員との関わり方から会社の考え方をお聞きしました。

会場にはChatWork Academyのインターン生の鈴木さんもお越しくださいました。
「社員満足度への取り組みがあることは、インターンとして入ってから初めて知りました。
会社の方の経営の在り方を見ていると、自分が将来どんな会社で働きたいかという
判断基準も大きく変わりました。」
とお話くださいました。



うってかわって・・・・
さて、ここからはダークな話。
いわゆる「ブラック企業」での勤務経験のある福田さんにお話をおうかがい。
誰もが知っているある大企業での辛い経験を赤裸々に話してくださいました。

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聞き手
働き始めてどのくらいでおかしいと思うようになったの?

話し手
「あれ?おかしいな」とは
働いている時はぜんぜん思わなかったんですよ。
新卒で入社したので、社会ってこんなもんなんやと思ってました。
ちなみに大学時代にそこでアルバイトをしていて、そのまま正社員で入社しました。

聞き手
今考えるとおかしかったなと思う点は?

話し手
朝6時前に出社して外での仕事、21時くらいに会社戻ってきて
そこから夜中0時すぎまでデスクワーク。
家に帰るのが夜中の2時とかなんで
そこからお風呂入ったりなんやかんやしてて寝るのは3時とか。
これが毎日。
1週間に1回、2回ではなく、ほぼ毎日なんですよ。

聞き手
休みなし?

話し手
休みは月何回と決まってるんですが
繁忙期は月4回とかでしたね。
自分がいつ休みなのかっていうのも前日の夜に聞かされてわかるような状態でした。

聞き手
その他なにか辛いことはあった?

話し手
先輩や上司の暴力ですね。血流すくらいの暴力が日常茶飯事でありました。
当時は、こんなもんなんやと思って働いていたので、反論したりすることもなく
笑ってその場をやりすごしていました。

金銭的なことで言うと
業務上で物を壊してしまったとき、ほんとだったら保険が適用されるはずなんですけど
上に報告せずに、自分で払って片付けるっていう暗黙の了解みたいなのがあって・・・
大きいものを破損すると一気に10万20万と自腹になるので
消費者金融に借金をして払っていました。
退社するときには60万円以上の借金を抱えていました・・・

聞き手
辞めるときはどんな感じだった?

話し手
よく「3年はがんばれ」みたいな話あるじゃないですか?
ぼくもそれは意識していたし、自分の努力が足りないだけやと思っていました。
それに「社会はこんなものなんや」「これが普通だ」と思っていました。
だから辞める1ヶ月前とかまで「辞めよう」という考えが浮かばなかったですね。

ある日、血流して帰ったら
母親に「あんた、もう辞めてもいいんやで」ってゆわれて
そのときに初めて、辞めるという選択肢が出てきました。
コーヒーを飲みながら「あ、明日辞表出そう。」とたんたんと思った感じ。

話をするより前に拳が飛んでくるような会社だったので
辞めたいと話すると、「とりあえず辞めんな」と殴られました。
家の前まで何度も来たりとか、電話がめっちゃかかってくるようにも。
最終月の給料は未払いのままでしたが、なんとか辞めることができました。

聞き手
入社する前は、まさかこんなことになるなんて思ってなかったですよね?

話し手
就職活動のときに、くわしくそこの会社のことについて調べていませんでした。
アルバイトで働いてはいたけど、そこまでガッツリ入り込んではいなかったので・・・
会社概要や条件以外のことはほとんど知らないまま入社しました。

でも今あらためてインターネットとかで
「社名 新卒 どうしたらいい」って検索かけたら
ぼくと同じようなことで悩んでる人が、掲示板に相談をめっちゃ書き込んでます。

聞き手
一緒に入社した他の同僚たちは今どうしてるの?

話し手
同時期に入社した人は、関西だけで200人いたんですが、
4月に入社して、8月の時点で半分辞めていました。ぼくは半年で辞めました。
辞めてから3年くらい経って、色々調べたんですがぼくが知る限り
今同期は4人しか残ってないですね。
誰もが知ってる超有名な会社なので、毎年200人とか大規模に今も毎年採用しています。

聞き手
辞めてからはどういう状態だった?

話し手
とにかく働くことがこわくなりました。
次がんばって入社しても、またこうだったらどうしようって。
しばらくひきこもった後、アルバイトをしばらくして
大学時代の先輩が働いているところでぼくも今働いています。
何の情報もない初めてのところい飛び込むのがこわくなりました。

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なんとも壮絶なエピソード!
「誰もが知っている会社」という言葉が、「誰でもこんな状況になってしまう可能性が大きくある」
ということを物語っています。
辛い経験を話してくれた福田さん、ほんとうにありがとうございました。

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これまでの話をうけて、参加者同士でグループディスカッション
「印象的だった話」「もし、福田さんと同じ状況になったら?」

その後、大阪府総合労働事務所の佐々さんに
労働法の基礎知識、トラブルに合ったときの基本的な考え方や姿勢、相談に関する機関や対処方など
「しあわせな働き方をささえる労働法」についてご講義いただきました。
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会場がいっぱいだったので
廊下で立ちながら一緒に勉強するスタッフ
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使用者と労働者との間で結ばれる労働契約は
正社員、非正規社員、アルバイト、パートなどどのような労働形態であっても
本来、対等な立場で結ばれるもの。
(自分で意識していなくても法律上結ばれている)

単純に物を買ったり借りたりする
売買契約や賃貸契約とは違い
労働契約の対象は「人」

使用者と労働者の関係が長く続くよう
お互いの信頼関係が非常に大事。(誠実配慮の関係が重視される)

その他
業務命令や互いの義務、
増えてきたトラブルに対応して新しく改正された法律のことなど
トラブルにあったときにポイントとなる内容をお話いただきました。

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仮の労働条件通知書の中に
どんな違法が含まれているか、クイズ形式で学んでいきます。

「自分で考えや疑問点を発言していくことが大事。
自分で考えて意見をまとめて丁寧に説明していくこと。
働くことは、コミュニケーションが基本ですので
職場の人との関係を自分で調整しながら、力を見につけていきましょう。

そのためのお手伝いをわたしたちはしますし
なにか実際の相談事がでてきたら、ぜひ労働事務所のような機関を活用してください。


大事なのは、疑問や不当な働き方に対ししっかりと声をあげていくことだと感じます。
とても勉強になるイベントでした。

就活生のみなさん、転職をお考えのみなさん
悩んだ時、迷った時はひとりではなく
専門の機関におとずれてみるのもいいかもしれません。
会社選び・働き方選びに、ぜひ大きな視野をもって就職活動をしてみてくださいね!