大阪西区にある民間による就労支援・ブックカフェ・イベントスペースなどの複合施設。
グッドデザイン賞受賞
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  • NPO法人まんぼう
    ※この求人募集は終了しました

    ちゃんと役に立ってる。

    NPO法人まんぼう(以下「まんぼう」)は、大阪市中央区にある
    障がい者のための生活介護事業所です。
    今回は、このまんぼうで働くスタッフを募集します。

    ハローライフの仕事を通じて、いくつかの職場のインタビューをしてきたけれど、
    話を聴いて泣きそうになったのは、ここがはじめてでした。

    Prologue

    アネックスパル法円坂というビルの四階に、まんぼうの事務所はある。
    メンバー(まんぼうを利用する障がい者)は毎日ここに通い、
    メモ帳やコースター、はし袋といった自主製品の製作作業に従事している。

    中に入ると、メンバーのみなさんが机に向かって作業をしていた。
    クラシックが流れていて、しん、としている。
    こうした作業所を訪れるのは初めてだったので、どう振る舞ったらいいのか分からない。

    インタビューがはじまる前にも、段取りが定まらず、あたふたした。
    施設長の西村さんがすてきな話をたくさんしてくれたけれど、メモも録音機も持っていない。
    「あわわわ、いい話が流れていく〜」と思いながら、立ち話が続いた。

    そうして、ステップの合わないダンスをするみたいに、この日のインタビューははじまった。
    どうなることやら、と、実はちょっと思ってました。

    STORY1 まさに、どんぴしゃ。

    まんぼうのスタッフは、現在三名。
    この日は一人がお休みだったので、
    施設長の西村マコトさんと、生活指導員の新田有規さんにお話をうかがった。
    利用者さんからは目を離せないので、作業をしているメンバーのそばでインタビューをする。

    まずはじめに、一日の仕事の流れについて新田さんにうかがった。

    新田さん
    「9時に出勤して、メールとか事務的なことをやって、
    9時半からどんどんメンバーさんが来られるんで、来た人から順に雑巾がけしてもらって、
    9時45分から体操して、手話とかダンスの練習があるので教えたりしています。

    それから、朝礼をして作業に入ってもらいます。
    その間は、生活介護の書類や連絡帳を書いたり、作業を教えたり」

    新田さん
    「そういうことをしてたら、だいたいお昼の時間。
    11時半ぐらいから準備して、12時前には昼休みに入ってもらう。
    そのあと1時までメンバーさんは休憩。自由に過ごしてもらってます。
    スタッフはメンバーさんといっしょに昼食食べて、
    休憩を交代でとったりとか、その日あった事の記録をとります。

    午後もメンバーさんは、1時から3時ぐらいまで作業して、ラジオ体操して、
    3時すぎぐらいにおやつ食べて、連絡帳を書いてもらって、
    週に二、三日ぐらいは簡単なゲームをこっちでちょっとして、楽しんで帰ってもらう。
    で、そのあとスタッフは、片付けとか掃除をして、5時半には帰っている感じですね」

    新田さんは、そんなふうにして週五日働いている。
    正直に言ってこのときは、あまり特徴がないと感じていた。
    最初にこの事務所に入ったときに似た、捉えどころのない感じ。

    新田さんがまんぼうに応募してきた時のことを、西村さんが聴かせてくださった。

    西村さん
    「この子、京大の大学院の学部一番なんですよ。
    で、いきなりメールでね、『募集してますか?』言うから、
    頭おかしいんじゃないかなって(笑)。
    来たら普通の子やったんでね、よかったんですけど」

    思わず「なにがあったんですか?」と尋ねる。

    新田さん
    「(笑)どうせだったら面白く働きたいなっていうのがあったり、
    もともとあんまり人がとらないような道を行くところがあって、
    大事な選択ほど直感で選ぶというか」

    新田さん
    「大学も医学部とか歯学部行けって雰囲気はあったんですけど、
    こっちのほうが面白いって理学部に行って。
    それまで研究者になりたかったんですけど、
    あんまり面白くないなあと思って文系の大学院行って、経済とか経営とかやって。

    そこから企業に行くのがあまりにも普通過ぎていやだなあっていうのがありましたし、
    ほんと勉強したいことを全部勉強できたんで、
    ある程度やりたいことはやったんだったら、
    次働くときは、人のためになることをって思ったりもして。

    で、たまたま、ここのホームページ見つけて、
    面白くて、人のためになって、まさに、どんぴしゃだと」

    どんぴしゃ。
    そんな新田さんはまんぼうに入って、仕事をして、
    こんなふうに感じられているそうだ。

    新田さん
    「たとえば、こちらが声かけ一つちょっと変えるだけで、
    メンバーさんにとって、できなかったことができるようになる。
    そういうのをお手伝いできたときは、なんか楽しいって思います。

    それから、なんばに肉まん作りを教わりに行ったり、
    岩手県釜石市に復興ボランティアで行きましたけど、
    それもまんぼうで働いてなかったら、行ってないと思います。

    そういう意味ですごくいろんな経験をさせてもらっているので、
    まあ直感に間違いはなかったなあと(笑)」

    僕はなにかを見落としている、と思った。
    「直感に間違いはなかった」と言うだけのものが、ここにはある。
    まだ感じられていないなにかに惹かれながら、お二人の話に耳を傾けていった。

    STORY2 役に立てる、ということ

    施設長の西村さんが、まんぼうをはじめたのは、十四年も前のことになる。

    西村さん
    「最初は、子どもたちが巣立って夫婦二人になったので、
    こじんまりしたとこに引っ越して、
    いままで住んでた四階建ての家を施設にしてやりはじめたんです。
    別に二度とやめられないわけでもないし、
    誰も喜べへんのやったら、やめてやると、うふふ(笑)」

    ご夫婦で新たになにかしようというときに、
    障がい者の作業所を選ぶというのは、特殊な選択のように思える。
    どうしてだったのだろう?

    西村さん
    「それは、なんか縁としか。
    別に選んだわけでもないんですけど、たまたまそういう環境になったというか。

    子どもの頃、NHKの児童劇団っていうところにいたんですけど、
    たまたま劇団時代に毎年、近江学園という児童福祉施設に寝泊まりしに行ってて。
    みんなと泳ぎに行ったり、鮎採りに行ったり、いろんなことして遊びまわって、
    ぼちぼち帰ろうかなあと思ったら、芝居したり、人形劇したり、影絵したり、
    そんな夏休みの遊び方をしてた」

    西村さん
    「それ以外に障がい者の人たちと会うことは、ほんとなかったんですけど、
    やっぱり障がい者の施設があると、ちょっと覗いてみたくなるっていうか、
    どこか行ったらちょっと見してくれって見学させてもらうことが、
    いままで知らず知らずにあったっていうか。

    んで、なんか大きなおせっかいなんですけど、
    『私やったらこうするのになあ』とか、だんだんそういうふうになってきて」

    人は子どもの頃から、なにかの仕事に足を踏み入れているのかもしれない。
    「私やったらこうするのになあ」がはじまりになって、ふくらんで、
    まんぼうという形に実を結ぶ。

    西村さん
    「なんか、いままで生きてきて、やってきた事が
    『ここやったら全部生きてくる』って、『ここで役立つやん』って。
    ちょっとお三味線が弾けたり、ちょっとキーボードが弾けたり、
    下手でもここだったら役に立つというかね、ちょっとずつ」

    お三味線に、キーボード。
    そうそう、説明しそびれていたけれど、まんぼうの最大の特徴は、
    「楽笑・まんぼうショー」という舞台を年に何回か行っていることだ。
    長いものでは、一時間半にも及ぶお芝居をメンバーのみなさんが演じるという。

    この「まんぼうショー」を実施するのに、児童劇団での経験が役に立った。
    それだけでなく、こんな贈り物もあったそうだ。

    西村さん
    「当時の、大昔の劇団の仲間達が二十人ぐらい応援してくれました。
    何十年も会っていないんですよ。
    三十年、四十年、一回も連絡もしてないのに、私がこんなんやり出したら
    『リハーサルの日あけてるで』って電話くれる。よく電話が分かったなと。

    みんな、ほんまにお金じゃなく、
    役に立てることを一番の喜びで来てくださってる。
    こっちもうれしいし、向こうもこっちに喜ばれることで、
    喜んでボランティアができるっていう、お互いにいい方へ、
    プラスの方へ向いていっているって思っています」

    西村さん
    「もうほんとに、うれしいな、ありがたいなって。
    この十四年何ヶ月、毎日なんかうれしいなあって言っている、
    そんな施設なんです」

    役に立ててうれしい。助けてくれてうれしい。ありがたい。
    それが互いにつながっている。
    西村さんの話を聴きながら、こちらもなんだか元気になっていくのを感じた。

    STORY3 「‥‥しゃべりはったんですよ。」

    インタビュー後半は、「まんぼうショー」でのエピソードをたくさん聴かせていただいた。

    西村さん
    「私、お笑いの勉強してる人はね、
    うちに何ヶ月か通って来たらいいのになって、つねづね思ってるんですけど。
    こないだもメンバーさんが、どんどんどんどん横に肥えていってはって、
    パンパンで衣装入れへんっていう事態が生じてて、
    衣装着る練習してくださいって言ったら‥‥

    『がんばれー、オーエス、オーエス!』
    って言ってるから、ふって見たら、チャック上げてる。
    笑うでしょ?いま常にそんなんですよ」

    笑っていいものか、とも思ったけれど、ふき出してしまった。

    西村さん
    「メンバーさんがかんたーんな手品をする事があってね。
    特養っていうお年寄りの施設で、舞台の真ん中に行って、手品で花をぽんと出すと。

    ほんで、その花をボトッと下に落としはったんですね。
    それを四回繰り返したんですよ。花を全部、四回とも。
    側に付いてるスタッフは、どんどん青ざめていく。
    お客さんは、お年寄りやから、なにが起こってんのか分からない(笑)。
    私、四回目花落としたあたりで‥‥もう転げまわって笑い止まらない。

    五回目に、やっと見事に成功しました。
    ぜんぜん想像しない動きをしはるやん。
    とにかく毎回ハプニングが起こって、毎回ステージで気絶しそうになるんです。うふふふ」

    他の人の帽子を持って舞台に出てしまう。おしゃべりをしていて役者が出てこない。
    和太鼓を叩くのにバチを持っていない。決めゼリフを序盤から連呼してしまう。
    「まんぼうショー」は、そんなことの連続なのだとか。

    西村さん
    「もうとにかく、面白いですよ。
    いっつも、なにが起こるか分からないっていうか、
    まともにできた試しがないというね(笑)」

    そんなふうに”気絶しそうになりながら”行っている「まんぼうショー」。
    このショーによって笑いや元気をもらっているのは、スタッフのみなさんだけではない。

    西村さん
    「『舞台に立てるとか観てもらえるなんて、うちは無理です!無理です!』
    って言っておられた保護者さんが、ステージ終わって、
    自分の子どもが入口でお客さんに握手してもらって
    『ありがとうございましたー』って挨拶してるのを見ると、やっぱ感動するらしい。

    健康な、ねえ?他の兄妹とはやっぱりぜんぜん違うので、
    そういう子どもたちが、
    健常な他の兄妹ができないような経験をしてるのは、
    やっぱり、うれしいみたいですね」

    西村さん
    「中央公会堂の1200席が満席で立ち見が出たときには、
    保護者さん、すごい誇らしかったみたいで。

    客席いてたら、わが子が舞台で拍手をうわーってもらって、
    それ、すごい気分良かったようなんです。
    『帰るとき、胸張って帰りましたー』言ってはったから、
    『え、お母さん、なんで胸張ってんの?お母さん、なんもしてないでしょー』
    って思ったんですけど(笑)ああ、そうなんやあと思って」

    西村さん
    「保護者さんはやっぱり、いまだにこう、
    悔しい想い、差別されて悔しい想いをすごーくしてはる。

    そんな中でちょっとでも理解してもらえる、
    ということはもう理屈じゃなくて、元気が出るみたいですね」

    理屈で考えれば、拍手をもらっているのは子ども。
    でも、その拍手がお母さんにも染みてくる。人の誇りに触れてくる。
    「そうだと思うよ。」
    母親になった経験もないのに、なぜか強くそう思った。

    「まんぼうショー」では、こんな出来事もあったそうだ。

    西村さん
    「お年寄りの施設には『こんにちは』がなかなか言えなくて、
    私のまわりをぐるぐる回ったり、
    うれしいことがあるんやけど言えなくて、でんぐり返りしてみせたり、
    そういう何年も発語のないお年寄り、けっこういらっしゃる。

    そういう方たちがまんぼうショーを見たときに‥‥しゃべりはったんですよ。
    『がんばって生きていかなあかんねんな』って言いはったんです」

    西村さん
    「こっちはもう散々失敗したり、気絶しそうになったりしてても、
    なんか喜んでもらえる部分がある。

    この人たちの魅力かそら分からないですけれど、
    やっぱり、この人たちが元気を分けてるというか、
    役に、ちゃんと役に立ってる。
    それが上手とかそんな問題じゃないんですよ」

    思いもよらず涙が出そうになったので、あわててインタビューを終えた。
    ふっと集中を解いて顔を上げると、地味に思えた作業所が、白く明るく光って見えた。

    Epilogue

    西村さんと新田さんは、まんぼうの仕事についてこう語っていた。

    西村さん
    「毎日おんなじ机に座って伝票を整理してるとか、そんな単調なとこじゃないから、
    自分が頑張れば頑張るほど面白くなる仕事。
    こんなええとこ、なんで来んの?と私はいつも思うんです」

    新田さん
    「ほんと、そうですよね(笑)」

    西村さん
    「思います!」

    どんな人に来ていただきたいですか?と尋ねると「健康な人に来てほしい」とのこと。
    それは、メンバーの心身の急変についていくために必要なことでもあるし、
    もう少し根っこのところでも、大事なことだと思う。

    事務所のそばには、西村さんが「庭」と呼ぶ大阪城公園がある。
    メンバーとスタッフの皆さんは、ここで毎年、季節を味わいながら過ごしているのだそうだ。

    西村さん
    「私、ここらへんで生まれ育ったんですけど、
    この仕事するまで、こんなにわが庭を楽しんだことは、かつてなかったです」

    この仕事を通して、楽しみが、誇りが、美しさが感じられる。
    そこには、メンバーのみなさんがいる。

    彼らは、人々にどんな影響を及ぼしているのだろう。
    わからないけれど、西村さんの言うとおり、
    彼らはたしかに「役に立っている」のだと思う。

    後日、僕は堺市で行われた「まんぼうショー」を観に行き、そこである体験をした。
    それは、発語のない障がい者の方に「救われる」という体験だったのだけれど、
    あの凝り固まったものがほぐれていく感じをどう伝えたらいいのだろう。
    少なくとも僕にとっては
    「だれが障がいを持っていて、だれが持っていないのか」
    という考えがひっくり返る体験だった。

    話が抽象的になりすぎてしまったけれど、
    まんぼうには「なにか」があるのだと思う。
    「なにか」としか言えないけれど、
    それはとても大切な種類のものだと、僕には思える。

    ご縁のある方、直感が働いた方、
    よかったらぜひ、まんぼうの活動に参加してみてください。

    僕はとりあえず、次のまんぼうショーを観に行きたいと思っています。

    (2012/12/25 インタビューと文:澤 祐典、写真:箭野 美里)

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  • 企業名・団体名特定非営利活動法人まんぼう
    募集期間未定(掲載日から募集人員に達するまで。)
    募集業種
    (どんな仕事か詳細明記が可能でしたらお願い致します。)
    障がい福祉サービス生活介護事業の生活支援員。
    障がい者が、地域で楽しくいきいきと暮らせるように支援します。
    具体的には「楽笑・まんぼうショー」の公演やバザーの運営、散歩等の外出時の付き添い、自主製品製作の補助など。(全て未経験からでも始められます。)
    雇用形態非常勤職員(正社員登用あり。)
    応募資格不問。
    勤務地大阪市中央区法円坂1-1-35 アネックスパル法円坂4階
    勤務時間9:00~16:00(休憩45分)
    給与時給900円から1,000円(試用期間2カ月間は時給850円)
    休日・休暇土日祝、夏季休暇、年末年始(但し、第2・第3土曜日は営業、翌週月曜日に振替休日。土日祝にバザー等の行事がある場合は出勤、翌週月曜日に振替休日。)
    待遇 (交通費・社会保険・手当・福利厚生・資格優遇など)交通費:実費支給(上限、月14,000円)
    社会保険完備
    有給休暇:法定通り
    採用予定人数若干名
    選考プロセスこのサイトからエントリー
     ↓
    面 接
    WEBサイトhttp://manbowshow.com/
    メッセージハンディを持った人が、暮らしやすい社会を想像してみてください。その社会では誰もが、楽しく暮らせると思いませんか?
    まんぼうは、社会にもっと障がい者(少数派)のことを知ってもらい、全ての人が地域で楽しく暮らせる社会を目指して活動しています。
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